わが街・わが村・わが医院

道北編/北海道礼文町

美しい利尻富士が見える
診療所で 島民の歯の健康を
守る仕事が私の ライフスタイルに
なりました。

94号('98年10月掲載)




礼文たんぽぽ歯科クリニック 阿部 朝彦先生

●1947年(昭和22年)サハリン生れ
●1994年(平成 6 年)東日本学園大学歯学部卒業
●1998年(平成10年)礼文町香深井で礼文たんぽぽ歯科クリニック開業

 父が日本の最北限・礼文島の香深で診療していたのは、28年前の昭和45年です。当時の人口は7,500人余り、今では約4,200人に過ぎません。私は大学卒業後、公務員を経て医院に勤務し、歯学を志して平成6年に東日本学園大学(現・北海道医療大学)を卒業しました。転機が訪れたのは昨年秋のことです。ある地元の方から、香深地区は口腔衛生の状態が悪いので、診療所をぜひ開いてほしいと依頼があり、開業することになりました。  この地区は特に子供の虫歯、中高年の歯周病が多く見られ、高齢者は無歯顎の人もかなりの数にのぼっています。私も予防歯科の観点から、残存歯をできるだけ生かす治療を心がけ、「抜かない、痛みの少ない治療」に努めているところです。礼文島は漁で生計を立てている町なので、漁師の患者さんも見えます。漁師たちは魚群を見る「ガラス箱」の縁を噛んだりして歯を酷使するために、前歯部の欠損が多いことに気づきました。昼間忙しくて来院できない患者さんのために、夜間診療を始めたところ、ゆっくり診てもらえるととても喜ばれています。  香深井小学校で「歯磨き教室」を開いた時は、魚の歯の標本を子供たちに見せながら、歯の大切さを説明しました。わずか27人しかいませんが、子供たちは「ミュータンス菌のことがよくわかった!」「これからは必ず歯磨きします!」と元気な作文を書いてくれました。嬉しかったですね。  島民とはいわば親戚づきあいです。よく玄関にとれたての魚が無造作に置いてあることがあります。その「贈り主」が誰かはすぐに分かりますけれど(笑)。昼どきに近所の家に顔を出そうものなら、「メシくってけ」と引き留められたりすることもしばしばですね。それにしても、礼文島のほっけは最高ですよ!タラバガニ漁に出て、5kgクラスを揚げたこともあります。まさに「半漁半医」のようなのどかな島の暮らしは、私の性に合っているようです。  島の高齢化はどんどん進んでおり、これからも予防の大切さをもっと啓蒙したいと思います。車椅子でも気軽に来院できるように、玄関の段差もなくしたいとも考えています。島民の健康を守る仕事をライフワークとして続けられるのは、とても幸せなことですね。 




海抜ゼロメートルから 300種以上の
高山植物が咲き競う、
日本最北の「花の浮き島」、
礼文島。


利尻・礼文の二つの離島と稚内市から幌延町に至るサロベツ原野を含む日本最北端の国立公園、利尻礼文サロベツ国立公園。利尻島の北に位置し、凛々しい利尻富士を望む礼文島は、日本・ロシアの国境に対峙する最北の島。面積82km2、周囲72km。馬の顔のように南北に長く、なだらかな丘陵地帯が広がる島です。礼文島の名前の由来は、沖の島を意味するアイヌ語の「レプンシリ」。およそ300年前の貞享2年、松前藩が支配する漁場として開かれたところです。「花の浮き島」の形容どおり、礼文岳や桃岩、礼文林道には、北海道の最高峰・大雪山なら1,600m以上でしか見られない、レブンウスユキソウ、レブンコザクラ、レブンキンバイソウ、チシマゲンゲなど300種を越える高山植物が乱舞しています。アイヌの古戦場といわれ、桃の形をした高さ250メートルの巨岩・桃岩から眺める利尻富士は絶景。夏はレブンソウ、レブンアツモリソウなどのお花畑が楽しめます。島の最高峰・490mの礼文岳の360度の大パノラマ、メノウ海岸と呼ばれる元地海岸に立つ奇岩・地蔵岩と夕陽、西上泊海岸や澄海岬(すかいみさき)の海岸美、日本最果ての岬・スコトン岬、ミズバショウが群生する島内唯一の湖・久種湖(くしゅこ)のほか、ムラサキウニ、バフンウニ、タラバガニ、ホッケ、カレイ、タコなど北海の味覚も魅力です。

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●写真:永野一晃



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