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| 96号('99年 6月掲載) |
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里村へき地診療所 野田雅俊先生
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| 昭和54年、30歳で鹿児島市で開業以来18年間、歯科衛生士の家内はもちろんのこと、恵まれたスタッフに助けられながら地域医療に携わってきました。その間、子育てに励みながら、自分の仕事や人生のあり方をずっと考え続けるなかで、いつかは僻地医療に取り組みたいという気持ちが強くなりました。 これは、内科医として僻地で診療所の勤務医をしていた亡父の影響が大きかったと思います。2人の娘は成人し、それぞれの道を歩み始めたところです。人生の転機はだれにでもあるでしょう。私も人生を見つめ直し、医師として存在感のある仕事をしようと決心して、診療所に入ったのが2年前の4月のことです。 インドには「人生には学びの時期、社会に生きる時期、社会で学んだことを社会に返す時期がある」という考え方があります。今、私にも社会的な存在として生きる好機が訪れたと感じています。最初は地域のためという気持ちが先立ちましたが、2年目からは、これは自分のためのライフワーク、一生の勉強なんだ、そう思えるようになりました。 ここ里村には高校がないので、子供たちは中学を卒業すると皆、島を離れるため、村は3人に1人が高齢者です。子供達が「島立ち」するまでに、少しでもデンタルIQを高めてやること、また予防活動や成人歯科検診、在宅医療を積極的に行うことで、村民の歯科への関心を高めることが最も重要な課題だと考えています。そのためにも行政はもちろん医科の先生や保健婦さん、訪問看護センターとの連携を強めて、スタッフの協力を得ながら全人的な歯科医療を進めたいですね。 1年遅れで島に来た家内は、まだ方言や習慣の違いにギャップを感じていますが、最近では私も2〜3kgクラスのイシダイやクロダイが釣れるようになり、家内は私がさばいた魚を食べてくれます。休日は家内と浜を散策したり、野山の花を部屋に飾ったり、のどかな島の暮らしを楽しんでいます。開業当時の患者さんから激励や感謝の手紙が届いた時は、感激でいっぱいになると同時に、残してきた患者さん達のためにも、頑張らねばという気持ちになりますね。 |
阿久根市の南西28km、串木野市の西42kmの海上に浮かぶ細長い甑島列島。上甑島、中甑島、下甑島の三島が連なり、全島が甑島県立自然公園に指定されています。 里村は上甑島の北東端にあり、串木野から高速船シーホークで約50分、カーフェリーで約1時間20分に位置する甑島列島の玄関口。 里村は、北海道函館市、和歌山県串本町とともに日本三大トンボロ(陸繋砂州)として知られる村です。トンボロとは沿岸流によって島と島が繋がれた砂州をいい、里村のトンボロは南北約1500m、幅250m〜1000mにわたって美しい海岸線を見せています。 里村の見どころは、やはり景勝地・長目の浜。展望台からは幅50m、長さ4kmにわたって細長く続く海の中道(日本最大の礫州)と、なまこ池、貝池、鍬崎池の美しい湖沼群が見られます。村はキビナゴ漁が盛んで、7月には可憐な鹿の子ゆりが咲き乱れます。玉石垣が続く武家屋敷跡の散策や、市の浦海水浴場・キャンプ場でのマリーンレジャーのほか、水中展望船・きんしゅうの海底巡りなども楽しみ。「エンヤー」の掛け声とともに、長さ150mものカズラの大綱を持ち上げながら練り歩く、「かずらたて」は里村ならではの奇祭です。9月のボードセーリング大会で、島は大いににぎわいます。 |
![]() ![]() ●鹿児島県里村の情報は、インターネット、http://www.pref.kagoshima.jp/island/koshiki/koshiki_top.htmlでも入手できます。 ●写真:永野一晃 |