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そうだったのか!
簡単・確実・スピーディ
歯周病ケアのための音波式電動歯ブラシ
「DENT. EX systema ビブラートケア」
医療法人財団健和会
みさと健和歯科・かばら歯科歯科衛生士佐藤 美智代
柳原歯科歯科医師土田 昌巳
医療法人財団健和会
みさと健和歯科・かばら歯科
歯科衛生士佐藤 美智代
柳原歯科歯科医師土田 昌巳
目 次
はじめに
歯周ポケットに効果的な"システマ毛"ですが、刷掃指導をしていると歯ブラシのコントロールが難しく感じます。強いブラシ圧と大きなストローク習慣がある患者さんからは「すぐ毛が開いてしまう。」という声を聞きます。ですが、以前訪問診療をしていた高齢の方に「DENT. EX systemaultrasonic」を使ってもらったところ、普通の歯ブラシではゴシゴシ大きなストロークで磨かれるのですが、振動があるブラシを口に入れると、そっと歯面に押し当ててあまり動かさないのです。振動はブラシ圧を適正に保つ効果があり、"システマ毛"にこそ最適であると実感しました。
そしてこのほど、ライオン歯科材(株)より音波式電動歯ブラシ「DENT. EX systema ビブラートケア」が発売されました。この製品は、"システマ毛"とタテ・ヨコの"マルチアクション音波振動"で、歯周ポケットに毛先が優しく届いてプラークを除去する「歯周病ケアのための音波式電動歯ブラシ」です。
今回、「DENT. EX systema ビブラートケア」(以下「ビブラートケア」)を実際に試用した症例について報告します。
1手用より簡単・確実・スピーディな
刷掃の実現
症例 1 20歳代の女性です。朝の歯磨きを行わずに来てもらい、染め出しの後、「DENT. EX システマ44H」にて3分間鏡を見ないで磨いてもらいました。あちこちに磨き残しが見られます。システマ毛は歯面への位置づけ、ストローク、ブラシ圧の正確さが求められ、ラフな操作では磨き残しが発生しやすいようです。その後、「ビブラートケア」を渡し、1週間ほど使ってもらった後、染め出しを行いました。ノーマルモードを使用して3分間鏡を見ないで磨いたところ、手用では不十分だった部分も磨けています。手用に比べ、早く確実な刷掃が可能です。
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図 1被験者は右ききなので、右側のプラーク量が多い。
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図 2下顎前歯歯間部、右下頬側歯頸部に磨き残しが見られる。手用ブラシの場合、頬側はきき手側の清掃が甘くなる。下顎前歯は縦磨きなどの工夫が必要になる。
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図 31週間「ビブラートケア」で清掃。半日磨いていないにもかかわらず、全体的にプラーク量が減っている。
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図 4「ビブラートケア」で3分間清掃。手用では不十分であった下顎前歯は縦磨きなどの工夫をしていないが、よく磨けている。
2術者磨きでその効果を体験
症例 2
20歳代の女性です。辺縁歯肉の軽い発赤が認められ、歯肉炎です。「ビブラートケア」を使用してノーマルモード5段階のうち2番目にマイルドな振動で術者自身が清掃しています。これ以上強くすると痛みを感じるようでした。辺縁歯肉に軽い出血が見られ、ポケットに毛先が到達していることを実感することができます。
PMTCに用いる回転器具とまた違った感覚です。SCやSRPの後で「DENT. システマ デンタルペーストα」を用いて術者磨きをすることで、歯面にはフッ素をポケット内にはIPMP等の薬剤を効果的に浸透させることができます。
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図 1辺縁歯肉に軽い発赤がある歯肉炎。歯頸部に沿ってプラークが認められる。
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図 2右下2番は舌側転移しており清掃が難しい場所。
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図 3左下頰側は習慣的なブラッシングではあまり意識されていない。
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図 4下顎前歯舌側。叢生のため清掃が困難。
(鏡像反転) -
図 5「ビブラートケア」の2番目にマイルドな振動で術者磨き。“システマ毛”が歯肉溝に到達したために起きた辺縁歯肉の微小な出血に注目。
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図 6右上3、4、5番辺縁歯肉からの出血。右下2番も石灰化したプラークが残るものの十分清掃されている。
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図 7左上1、3、5番辺縁歯肉からの出血。歯面の光沢感。左下6、7はやや石灰化したプラーク。
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図 8叢生がある下顎前歯舌側も効果的に刷掃されている。(鏡像反転)
3深い歯周ポケットへの効果
症例 3
60歳代の女性です。歯周病が進行しており、左上大臼歯部頬側では根尖が露出しています。3つの振動モードの中で最も軽い13,000回/分のワイドスウィングモードを用い、歯間ジェルが"システマ毛"の誘導により歯周ポケット内へ到達するか確認します。今回はX線造影剤としてヨウ素化合物製剤・リピオドールウルトラフルイドを用います。事前に歯科医師による問診、説明など情報提供を行い、同意の上実施しています。
造影剤を歯ブラシにつけ、術者自身が刷掃しています。術前と術後のX線写真を見比べると、造影剤が左上6分岐部、67間に貯留しているのがわかります。
「DENT. システマ薬用歯間ジェル」などIPMPを含む抗菌作用のある薬剤を使った場合でも同様の到達性により効果が期待できます。他の部分はノーマルモードで刷掃しています。歯列不正、重度の歯周病と条件は悪いのですが、音波振動+システマ毛は効果的です。左上の露出した歯根もピカピカになりました。
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図 160歳代の女性。歯科助手の経験もあり、ブラッシングは比較的良好。歯頸部にプラークの付着はあるが、歯肉の発赤、腫脹は少ない。
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図 2左下臼歯部は付着歯肉が少ない。また、左上大臼歯部は根尖近くまで露出。叢生もあり全体的に清掃が困難な状況である。
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図 3左上大臼歯は口蓋の支持のみで残存。25年前から歯根露出があり、年を追うごとにコントロールが難しくなっている。(鏡像反転)
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図 4X線造影剤としてヨウ素化合物製剤・リピオドールウルトラフルイドを用いる。
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図 5造影剤は歯間ジェルと同じようなやや粘稠な液体。
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図 6造影剤を毛先に付け、ワイドスウィングモードで根面に当てる。“システマ毛”が細かいところに入り込み、振動が造影剤を送り込む。
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図 7術前のX線写真。口蓋根が骨に付着しているものの、頰側根は露出。
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図 8造影剤は6番の口蓋根と頰側根の分岐部と6、7番の間に貯留している。“システマ毛”と音波振動の効果である。
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図 9歯列不正、重度の歯周病、狭い付着歯肉と条件は悪いが、「ビブラートケア」なら効果的な清掃を行うことができる。
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図 10磨き上げられた歯根。歯列不正、根面露出と厳しい条件ではあるが「ビブラートケア」を用いることにより、ここまでケアできる。
症例 4 70歳代の男性です。この患者さんは左下78の間に6mm程度のポケットがあり、ワイドスウィングモードで造影剤を付けて清掃しました。術前と術後のXP写真を比べると。78間の鼓形空隙が造影剤で埋まっているのが確認できます。他はノーマルモードで清掃しました。症例3もそうですが、複雑な口腔内を「ビブラートケア」なら実にスピーディに磨き上げることができます。
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図 1下口唇の緊張が強く、下顎前歯唇側の清掃が難しい。実は私の父76歳。
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図 2現在残存歯30本。さらに、このレベルのプラークコントロールはおみごと。
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図 3左下78間に6mm程度の歯周ポケット。時々腫脹することもあるとのこと。ワイドスウィングモードで造影剤ブラッシング。
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図 4歯周ポケットに毛先が到達したため辺縁歯肉からの出血がある。輝く歯面は素晴らしい。
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図 5まだまだ30本をこのまま維持できそうな口腔内。
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図 6造影剤で左下78間の歯間鼓形空隙が埋まっているのが確認できる。深い歯周ポケットへの効果が期待できる。
4歯面の清掃効果は“システマ毛”であってもラウンド毛に負けない。
すべての症例とも歯頸部、歯列不正部、歯肉溝への刷掃効果はもちろん、歯磨剤を用いていないのに歯面全体が光っています。「ビブラートケア」は大きく分けると3つの振動モードがあり、真ん中の振動のノーマルモードで約25,500回/分。この程度の振動数があると“システマ毛”でもラウンド毛に負けない刷掃能力があるといえそうです。またこのモードは強さを調整できます。ちょっと痛いときは▽ボタンを。物足りないときは△ボタンを押します。さらに強力な約33,000回/分のポイントスウィングモードもあります。歯科関係者は「ちょっと強すぎる」と考えるかもしれません。しかし、「力を入れないと磨いた気がしない」と言う多くの患者さんには歓迎されそうです。
まとめ
歯科衛生士として「ビブラートケア」を使ってみて、その清掃効率、歯周ポケット、歯列不正部への毛先到達性に驚きました。症例3は私の母なのですが、左上大臼歯部もこのレベルのケアが持続できれば、もうしばらくは保存可能でしょう。「ビブラートケア」は歯周病ケアに大きな力を発揮してくれそうです。
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