ErLaser 25th Anniversary 進化を止めずに光差す未来へ

2022年、株式会社モリタのEr:YAGレーザーは、
発売より25周年を迎えます。お客様への感謝の気持ちを込めて、
記念講演会、webinarなどさまざまなイベントの企画、
また情報の発信をして参ります。

25周年フォーラム
ErLaser 25th Anniversary

With Gratitude for the 25th Anniversary

Er:YAGレーザーの発売より25年。多くの先生方にご活用いただいております。
2023年3月末よりインプラント周囲の歯石除去に関する薬事への拡大が承認され、更に臨床の幅が広がりました。今回のフォーラムでは歯周病への活用、インプラント周囲への応用、また日常臨床での新たな可能性、海外での活用方法も含め、最新のトピックスを各分野でご活躍されている7名の先生方にご講演頂きます。本会場以外にもサテライト会場も準備しておりますので是非ともEr:YAGレーザーの世界を感じ取って下さい。

  • 講 師
  • [写真] 渥美 克幸 先生渥美 克幸 先生
  • [写真] 長谷川 嘉昭 先生長谷川 嘉昭 先生
  • [写真] 船越 栄次 先生船越 栄次 先生
  • [写真] 水谷 幸嗣 先生水谷 幸嗣 先生
  • [写真] 山口 文誉 先生山口 文誉 先生
  • [写真] 山本 敦彦 先生山本 敦彦 先生
  • [写真] 渡辺 聡 先生渡辺 聡 先生
  • 座 長
  • [写真] 青木 章 先生青木 章 先生
  • [写真] 篠木 毅 先生篠木 毅 先生
  • [写真] 津久井 明 先生津久井 明 先生
  • 配信期間

    2022.11.13 sun 10:00~17:00

    申込受付開始 7月11日(月)
  • 開催会場

    大手町サンケイプラザ

    〒100-0004 東京都千代田区大手町1-7-2 Tel.03(3273)2230

    [地図]
    • 【電車の場合】
      各線「大手町駅」下車A4・E1出口直結/丸の内線・半蔵門線・千代田線・東西線・都営三田線
    • 【車の場合】
      首都高速都心環状線神田橋インター降車/駐車場(有料)7:00〜23:30 30分 400円

      ※車の際は近隣ビル駐車場をご利用ください。

    各支店にてサテライト中継
    北海道支店・東北支店・名古屋支店・
    京都支店・大阪本社・広島支店・福岡支店

    講演会当日のサテライト会場からのご質問に関しましては後日回答となります。
    各サテライト会場の定員数につきましてはこちらよりご確認ください。

  • 参加費

    【大手町サンケイプラザ会場】

    • モリタ友の会有料会員(本人)5,500円 (税込)
    • 未入会または無料会員14,500円 (税込)

    【サテライト会場】

    • モリタ友の会有料会員(本人)3,300円 (税込)
    • 未入会または無料会員5,500円 (税込)
  • 定 員

    130

    • ※新型コロナウィルス感染症の動向により、開催を中止させていただく可能性がございます。
      また、感染拡大防止のため記載の定員に満たない状態での受付締切や会場変更、県をまたぐ受講がご遠慮をお願いする場合がございます。予めご了承ください。
    • ※こちらは大手町サンケイプラザ会場の定員になります。
    • ※定員になり次第締め切らせていただきます。
  • お申込み

  • お問合せ

    株式会社モリタ大阪本社セミナー係

    〒564-8650 大阪府吹田市垂水町3-33-18
    TEL 0120-988-291または06-6338-7146 
    FAX 0120-988-520
    受付時間:9時〜17時(土曜・日曜・祝祭日除く)

特別インタビュー
Interview

[写真] 船越 栄次 院長

Report オペが困難な高齢者に
低侵襲で高い改善効果を期待

福岡県福岡市 船越歯科医院
船越 栄次 院長

歯周治療やフラップ手術への応用にEr:YAGレーザーが有効であることを文献で知り導入を決めました。
私はこれまで41年間歯科医師として努めてきましたが、そのキャリアに比例して患者さんも歳を重ね高齢化が進んでいます。重度の歯周炎のケースでは、歯肉を剥離して丹念に歯石を取り除いていくという大きな侵襲を伴う外科治療の必要がありますが、様々な病気を抱えた高齢の方の場合、そうした外科治療を行うわけにもいかず、これまで適当な治療法がなかったのです。
Er:YAGレーザーの導入以来、ポケット内まで麻酔なしでアプローチできますし、デブライドメントや歯石除去も適切かつスピーディに行えるようになりました。さらにEr:YAGレーザーが持つ吸収波長により、内毒素をコントロールすることもできますので、炎症もおさまりオペと遜色がないと感じられるほどの改善が期待できます。当院の85歳女性の患者さんを例を挙げると、この方の場合本来なら抜歯適用になる歯牙が複数本ありましたが、健康状態と年齢的なことから外科的な処置は控え定期的に患部にEr:YAGレーザーを照射し経過を観察することにしました。その結果、最初の照射から現在までの3年間、一度も歯肉が腫れることがなく、とても安定した状態を保っています。その方が痛みを感じることなく快適に噛めている様子を見て、Er:YAGレーザーが低侵襲で身体組織に負担の少ない点に大きな驚きと期待を感じています。
近年では歯周病菌が全身の健康に及ぼす影響について注目が集まっていますが、国内での症例報告によると、Er:YAGレーザーで処置を行った場合、血中に菌がみられなかったという報告を見て、大きな可能性を抱くとともに、今後当院においても有効な治療ツールの一つになると感じています。

[写真] 船越 栄次 院長さらに若手歯科医師の研鑽の場として1990年頃から続けてきた「船越歯周病学研修会」においても、従来の外科処置に加えてEr:YAGレーザーを取り入れた実習を行っています。Er:YAGレーザーを使用することにより、治療の幅も広がり、良好な予後を患者さんに提供できるというアドバンテージがあると考えています。

[写真] 船越歯科医院の内観
開業から40年、地域の皆様の健康維持増進だけでなく、後進育成の拠点として長らく歯科医療に貢献してきた。
インタビュー動画
[写真] 原田 和彦 院長

Report レーザーのプラスイメージと
高い治療効果に患者さんからも高評価

東京都千代田区 原田歯科クリニック
原田 和彦 院長

当院には歯周病の患者さんが比較的多く来院されます。通常のケースでは歯科衛生士によるクリーニングを行いますが、ポケットが5~8ミリと深いケースでは、ベテランの歯科衛生士でもアプローチが難しいことがあります。そんな場合、当院ではEr:YAGレーザーを積極的に応用し、回復や治癒へと導いています。これまで重度の歯周病では、歯肉剥離掻爬術(FOP)が用いられてきましたが、患者さんに「歯ぐきを切開して歯根や歯槽骨に付着した歯石を除去する方法ですよ」とご説明すると、明らかに恐怖を感じて断られたり、以後来院されなくなるケースも多くありました。Er:YAGレーザー導入以降は、フラップ手術に恐怖を感じる方にはレーザー治療をお薦めしています。患者さんは“レーザー”という言葉に「最先端で高い技術」というプラスのイメージをお持ちの方が多く、ほとんどの方が「レーザー治療だったら受けたいです」とおっしゃいます。

[写真] 原田 和彦 院長実際、難症例にレーザーを活用してみるとフラップ手術と変わらない効果が得られると感じることも多く私自身も導入当初はとても驚きました。とくにフラップ手術の場合、術後歯肉が下がってしまったり、前歯部では歯間乳頭がなくなってしまうことがどうしても起こりますが、Er:YAGレーザーで行えば実はそれほど歯肉が下がることがないというのもメリットです。痛みも少なく、治療時間や治癒にかかる時間も比較的短いので患者さんからの評価も高く、口コミなどで聞いて来院される方も年々増えていることから、今後さらなる広がりを期待しています。

[写真] 原田歯科クリニックの入口
1987年の開業以来「秋葉原の歯のホームドクター」として、アットホームな対応と確かな治療を心がけてきた。
[写真] 原田歯科クリニックの受付
新型コロナウイルス蔓延以前からスタンダード・プリコーションに基づいた高度な感染対策を行っている。
[写真] 原田歯科クリニックの診察室
診療用チェアにはソアリックと確かな治療をアシストするEr:YAGレーザーとを設置。
インタビュー動画
[写真] 上田 秀朗 院長

Report 少ない侵襲で維持安定
今後の応用範囲の広がりに期待

福岡県北九州市 うえだ歯科
上田 秀朗 院長

多くの勉強会でEr:YAGレーザーの活用例が紹介される中で、とくにフラップ手術への応用の際にスムーズに肉芽組織が除去されている症例を見て「すぐに試してみたい」という衝動に駆られ、矢も盾もたまらず導入を決めました。それ以来当院では、おもに歯周外科やインプラント即時埋入の適応ケースなどで、抜歯窩の肉芽切除を行う際にEr:YAGレーザーを活用しています。導入前はそうした肉芽はキュレットなどを使って一つひとつ丁寧に取っていたのですが、Er:YAGレーザーを使うとスピーディに切除でき、細かい繊維もキレイに取れるので、その結果骨の再生も促進されていると感じますし、術後の治癒もスムーズです。用途に合わせてチップのラインナップも充実し、歯周外科でスケーラーでは届きにくい根分岐部までアプローチできとても重宝しています。

[写真] 上田 秀朗 院長開業から35年が経過し、当院ではメインテナンスで来院いただく高齢の患者さんが増加傾向にあります。その方々のなかには歯周組織のコントロールを懸命に行ってもポケットが一向に改善しない方が一定の割合でおられ悩んでいましたが、Er:YAGレーザーの導入以降、少ない侵襲で維持安定させることができるようになりました。
私が所属する「北九州歯学研究会」では、例えば、重度のう蝕や歯内療法、難治性の根尖病変への応用をはじめ、折に触れ会員の先生方がEr:YAGレーザー関するさまざまな活用法を模索・追及されています。今後Er:YAGレーザーの応用範囲がさらに広がっていくことを大いに期待したいですね。

[写真] うえだ歯科の外観
駅直結高層マンションの2階に立地。審美性と機能性が調和したオーダーメイドの歯科治療を提供する。
[写真] うえだ歯科の受付・待合室
受付・待合室はエステサロンのような落ち着いた、くつろげる空間を演出。
[写真] うえだ歯科の診察室
患者さんが求める治療を理解するためには、何よりもコミュニケーションは欠かせない。
インタビュー動画
[写真] 宝田 恭子 院長

Report 無麻酔で歯周ポケットに
アプローチでき
患者さんからの評価も上々

東京都江戸川区 宝田歯科医院
宝田 恭子 院長

SRPの際にEr:YAGレーザーを使用すると、その後の歯肉の状態が良いというユーザーの先生の文献を目にして、どうしても自分で使ってみたいと思ったことが導入のきっかけです。実際に使ってみると付着歯肉もよく付いてきて効果があるという手ごたえもあり、導入してよかったと感じています。長年メインテナンスを継続してきた患者さんからもSRPの際にEr:YAGレーザーを使用すると「歯肉が締まってきた」という感想をいただくことも多く、最近では「先生、今日はレーザーを使わないのでしょうか?」と患者さんの方からリクエストがかかるほどです。ポケットの深さにもよりますが、私が診ているほとんどの患者さんの場合には無麻酔で照射しても痛みを感じられることがないので、そこも大いに気に入っています。皮膚科をしている私の娘夫婦のうち、夫の方が歯肉の状態が悪く、私の医院で何度かEr:YAGレーザー治療を試みました。

[写真] 宝田 恭子 院長すると徐々に良くなってくるのを彼も実感し、「歯科ではレーザーで不良肉芽を切除しているのですか?」と唐突に質問されました。皮膚科でも褥瘡性潰瘍の不良肉芽を積極的に切除する際にレーザーを使用しているとのことで、分野は違えど同じような用途で活用されていることを知り、私の中でレーザー治療に対する信頼感はより高くなりました。さらに、例えば高齢の患者さんで動揺歯を抜歯したくない状況の場合、これまで維持が難しかったのですが、Er:YAGレーザーをうまく活用することで積極的に歯を残すことができるようになったことも大きなメリットと感じています。

[写真] 宝田歯科医院の外観
JR総武線小岩駅より徒歩5分。開業以来、地域の方々はもちろん、メディアを通じて全国に口腔の大切さを発信し続けている。
[写真] 宝田歯科医院の受付
清潔でシンプルな受付の様子。カウンターには宝田先生執筆の最新刊をディスプレイ。
[写真] 宝田歯科医院の待合
アンチエイジングには常にアンテナを張り、多くの引き出しから患者さんに適したアプローチを提案。
インタビュー動画
[写真] 大野 芳弘 院長

Report 独特のタービン音がないので
とくに小児のう蝕治療に有効です

愛知県刈谷市 刈谷おおの歯科
大野 芳弘 院長

大学時代からの恩師の先生が「アーウィンアドベールEVO」をご使用だったので、試しに使用させていただいたところ、まず使用時の音がとても小さいことに驚きました。これなら小児の患者さんにも恐怖心を与えないと感じたことと、モリタの講演会を聴いたことが導入の決め手でした。
導入後はおもに小児のう蝕治療をはじめ上唇小帯の切除など、成人の患者さんの場合は歯周病治療の際に歯肉溝内の洗浄するときに良く使用します。
すぐには効果の実感は湧きませんが、次の来院の際にとても治りが早く痛みも少ないということで、患者さんに喜んでいただくことが多いですね。
小児のう蝕治療では、何よりあの独特のタービン音が恐怖心をあおって治療がうまく進まないことがありますが、レーザーを使用することで削られている感覚がほとんどないので、これまで嫌がってどうしてもできなかった治療が可能になるケースもあります。それを繰り返していくうちに「あそこのむし歯治療は怖くない」と評判になってきたのか「レーザーならむし歯治療を受けてみたい」というお子さんも増えてきました。

[写真] 大野 芳弘 院長ただ、いくらレーザーを使用しても肉眼やルーペでは見え方に限界があるので、例えば歯周ポケット掻爬のケースなど、より精度が求められる治療の場合はマイクロスコープを併用することにしています。
アドベールEVOの場合「う蝕歯無痛的窩洞形成加算」での保険算定が可能ですので、今後も積極的に小児のう蝕治療に活用していきたいと思っています。

[写真] 刈谷おおの歯科の外観
モダンで親しみやすい雰囲気の外観。専用駐車場も10台完備。
[写真] 刈谷おおの歯科の受付・待合室
刈谷おおの歯科では「清潔で温かい歯科医院」を目指している。
[写真] 刈谷おおの歯科の診察室
保育士による託児サービスをはじめ子育て世代の患者さんにもきめ細やかな配慮が見られる。
インタビュー動画

開発者インタビュー
Interview

[写真] 船越 栄次 院長

Report低侵襲で患者さんに優しい治療を目指して
歯科用レーザー「Erwin(アーウィン)」
発売25周年 開発者インタビュー

株式会社モリタ製作所 第一研究開発部
濵田 和典 (左)

株式会社モリタ製作所 第一研究開発部
日吉 勝海 (右)

2022年に誕生から25年を迎えた歯科用Er:YAG(エルビウムヤグ)レー ザー「アーウィン」。その開発経緯とこれまで克服してきた課題や製品へのこだわりなどについて、開発担当である株式会社モリタ製作所 第一研究開発部の濵田和典氏と日吉勝海氏にお話を伺いました。

レーザー機器開発の経緯について教えてください

日吉 Er:YAGレーザーが発売されるまで、歯科用レーザーはレーザーメスなどの用途で活用されることが多く、歯牙などの硬組織に対する実用化は遅れていました。モリタ製作所では“タービンに変わって歯を切削できるツール”としてのレーザーの可能性を模索し、1970年代からCO2 レーザーやNd:YAGレーザーを使用した様々な研究を行ってきましたが、歯質に対して熱によるクラックが発生するなど硬組織の切削には不向きなことが判明し断念しています。しかし社内では「レーザー光を活用して歯の切削を行いたい」という想いが根強く、その後水への強い吸収特性を持つEr:YAGレーザーの波長に着目し、研究開発を続けてきました。

濵田 歯を切削する際の「キーン」というタービン音を不快に感じる方も多いですし、強い痛みを伴うこともあります。レーザーで切削できれば、音もタービンに比べて静かですし、切削時の痛みや振動もほとんど伴わない。当時としては夢のある画期的な開発だったと思います。

日吉 それまでEr:YAGレーザーを採用した医療機器は国内にありませんでしたから、承認を得るための臨床試験の際にも苦労したそうです。試験では動物やヒトで有効性と安全性を確認するのですが、実際にEr:YAGレーザーによって得られた効果かどうかを証明できるところまで資料を揃える必要があり、多くの大学の先生方にもご協力いただきながら、ようやく1995年に、う蝕除去、小帯や歯肉切開などの軟組織処置、歯石除去についての認可を受け、1996年に国内初となる歯科用Er:YAGレーザー装置「アーウィン」を上市することができました。

濵田 残念ながら初代アーウィン開発の際、私たちは入社前でしたので、その苦労や感動を体験することはできませんでした。その後、1997年には「Er:YAGレーザー臨床研究会」が発足され、臨床家の先生方によってEr:YAGレーザーの臨床応用や新たな可能性について熱心な議論・研究が重ねられられています。

実用化に向けて困難な課題などはありましたか

濵田 Er:YAGレーザーは一般工業界でほとんど応用されていなかったので構成部品の調達が難しいうえコストも割高でした。さらに、レーザーの中でも発振効率が悪く、例えばCO2 レーザーに比べて発振の際に非常に多くの電力を必要といった課題がありました。

日吉 特に発振装置からハンドピースにレーザー光を伝送する伝送管については、通常の伝送ファイバーでは、レーザー光がファイバーに吸収され伝送効率が低下してしまいます。このためCO2 レーザーで多く採用されている関節型マニピュレーターを使用することも検討しましたが、関節型の場合、術者の自由な動きを阻害する可能性もあり、この部分では非常に苦労したと聞いています。

[図] 中空導波路の構造
中空導波路の構造

濵田 その後、「中空導波路」を使用した伝送ファイバーを東北大学と共同で研究開発し、実用化することで、常に安定したレーザー光をハンドピースに送り出すことが可能になりました。中空導波路は図のように、ガラス製の中空ファイバーの内側に銀膜をつけて、さらにその内側を樹脂でコーティングしています。このため、伝送効率を低下させることなく、自由度の高い操作性や耐久性を実現することができたのです。

日吉 初代アーウィンでは従来の光ファイバーを採用したため途中でファイバーが劣化するトラブルも見られましたが、2代目となる「アーウィン アドベール」からは中空導波路を採用し、その後のアーウィンの独創性を示す特長の一つになっています。

アーウィンの特長やこだわりについて教えてください

日吉 まずEr:YAGレーザーそのものの特性として水に対して高い吸収性があるということです。そのためアパタイトそのものを熱で蒸散させるのではなく、アパタイトを結びつけている水分に瞬間的に吸収され、その水分を飛散させることで硬組織を蒸散します。また、その蒸散はレーザー光を照射した表層部分のみに行われるために組織深部への熱影響が少なく周囲組織へのダメージが少ないという利点があります。

濵田 製品については特に“使い勝手”の部分にこだわっています。特に歯周治療のオペの際などで細かい処置を要求されるケースに対してストレスなく使える操作性。自由度の高い伝送ファイバーだけなく、ハンドピースを持った際にできるだけ重さが伝わらないような重量配分を工夫したり、レーザー光のチップからの出方についても先生の使い勝手のよさや効果の出やすさを考慮して多彩なチップバリエーションをもたせています。

日吉 臨床研究会などではユーザーの先生方の要望を積極的に収集し、その結果スタンバイ時間の大幅な短縮や直感的でわかりやすいディスプレイ、さらに治療内容に応じた照射条件のメモリー設定など、使い勝手や操作性を向上した「アーウィン アドベール EVO」を2011年に発売し現在に至っています。

濵田 多くのバリエーションをもつ先端チップなど、さまざまな改良が加えられてきましたが、もっとも工夫を凝らしたのは先端部分の形状です。例えば、先端をとんがり帽のような円錐形にしてレーザー光を横方向に拡散させたり、先端に少しテーパーを付けた表面を粗らすことでレーザー光が横に漏れながら真っ直ぐ出るようにするなど、形状を少しずつ変化させてレーザー光の出方を変えていろいろな症例に対応できるように進化させてきました。

海外でのレーザーの活用状況について教えてください
[写真] 中空導波路を採用した伝送ファイバー<
術者の自由な動きを妨げない中空導波路を採用した伝送ファイバー

濵田 海外の論文や学会発表をウォッチしていると、歯科用レーザーは手軽なので半導体レーザーが多いようです。ついでEr(エルビウム)系のものが多く、CO2 レーザーはメスや止血の用途に特化しています。Er系の場合はまだレーザーの特性を十分に開拓されているとは言えない部分があるので、例えばハンズオンセミナーを開催するなど、海外の先生方にもEr:YAGレーザーの特性を理解していただく活動を続けています。

日吉 海外での歯科用レーザーの用途は歯周治療や根管治療が多いと感じます。特にインプラント周囲炎に関する報告は近年とても増えていて、歯周粘膜へのアプローチやインプラント表面に付着した歯石の蒸散にEr:YAGレーザーが活用されているケースが増えているので、今後注視していきたいところですね。

Er:YAG レーザーの将来展望についてお聞かせください

濵田 Er:YAGレーザーにはまだまだ可能性が秘められていて、それを最大限というところまでは引き出せていないと感じています。引き続き大学の先生方にもご協力を仰ぎながら研究開発を続け、さらに応用範囲を広げていきたいですね。また、ユーザーの先生方からのお声に耳を傾け、さらに高みをめざしていきたいと考えています。

日吉 長きにわたり歯科用レーザーについて研究を重ねてきた結果、Er:YAGレーザーの歯科診療に対する有効性が評価され、2008年以降保険適用の範囲も徐々に拡大し、先生方にとっても身近な治療ツールになりつつあると感じます。今後も、患者さんにとって低侵襲で痛みが少なく、さらに先生方にとって使い勝手の良い製品になるよう研究開発に邁進していきたいと考えています。

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モリタ製作所「歯科用レーザー」開発の歴史

  • ・CO² レーザー伝送用マニピュレーターの開発
    ・超鋼ミラー使用で動物実験(ラット歯牙に照射)

    1972年
    [写真] CO² レーザー伝送用マニピュレーター

    当時伝送が困難であったCO² レーザーの光をエアータービンの空気軸受けの材料である超硬ミラーを用いて作成したマニピュレーターを用いて評価実験を行った。

  • ・CO² レーザーにて動物実験(兎肝臓に照射)

    1975年
    [写真] CO² レーザーにて動物実験(兎肝臓に照射)

    軟組織へ使用した際の止血に対する有効性は確認できたものの、硬組織への照射は熱による歯質クラック発生の問題が発生した。

  • ・Nd:YAG レーザーにて硬組織切削の検討

    1978年
    [写真] Nd:YAG レーザーにて硬組織切削の検討

    ノーマルパルス発振や、Q スイッチ発振のNd:YAG レーザーによる硬組織切削の可能性を検証する実験では、歯質への吸収特性は切削には不向きであることが判明。研究対象は耐酸性付与によるう蝕予防に移っていく。

  • ・Er:YAG レーザーによる歯科応用の研究開始

    1989年

    歯質の吸光特性はEr:YAG レーザーの波長に特異的に吸収されている事実に基づき、歯科用のレーザーとしてEr:YAGレーザーの研究開発を開始した。

  • ・Er:YAGレーザー共同研究プロジェクト

    1990年

    大学との共同研究を開始。ビーグル犬を用いた安全性確認の試験や非臨床試験を実施、学会にその成果を発表した。

  • ・Er:YAGレーザー 臨床治験

    1994年

    4大学にて臨床治験を実施。

  • ・Er:YAGレーザー「アーウィン」発売開始

    1996年
    [写真] Er:YAGレーザー「アーウィン」

    硬組織が削れるレーザーとして新聞等にも取上げられ大きな話題を呼んだ。

  • ・中空導波路の開発

    1997年

    Er:YAGレーザーの伝送手段としての中空導波路の研究を推進。同時に新システムの装置を用いて動物による安全性確認試験開始。

  • ・「アーウィンアドベール」発売開始

    2004年
    [写真] アーウィンアドベール

    小型化と注水の内蔵により取り回し性能がアップした。

  • ・う蝕歯無痛的窩洞形成加算新設

    2008年
  • ・「アーウィンアドベールEVO」発売開始

    2011年
    [写真] アーウィンアドベールEVO

    さらに軽量化され、スタンバイ時間も短縮された。タッチパネルを採用することにより操作性が向上した。

  • ・CS600F・PSM600T・R600T のコンタクトチップがラインナップ

    2015年
    [写真] アーウィンアドベール
  • ・口腔粘膜処置・レーザー機器加算が新たに保険適用

    2018年

薬事情報

  • 販売名:アーウィン アドベール 一般的名称:エルビウム・ヤグレーザ 機器の分類:高度管理医療機器(クラスⅢ)特定保守管理医療機器
    医療機器承認番号:21500BZZ00720000
  • 販売名:レザチップ 一般的名称:レーザ用コンタクトチップ 機器の分類:高度管理医療機器(クラスⅢ)
    医療機器承認番号:21500BZZ00721000
  • 販売名:ソアリック 一般的名称:歯科用ユニット 機器の分類:管理医療機器(クラスⅡ)特定保守管理医療機器
    医療機器認証番号:222ACBZX00016000
  • 販売名:ライカM320 FULL HD カメラ内蔵 一般的名称:可搬型手術用顕微鏡 機器の分類:一般医療機器(クラスⅠ)特定保守管理医療機器
    医療機器届出番号:13BX00324320FD1
知れば明日からの歯科診療が変わる Er:YAGレーザー