口腔機能発達不全症とは「食べる機能」、「話す機能」、「その他の機能」が十分に発達していないか、正常に機能獲得ができておらず、明らかな摂食機能障害の原因疾患がなく、口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的な関与が必要な状態のことをいう。
- 口腔機能発達不全症の評価と管理、 指導・訓練の基本的な流れ
- 症例
- 口唇閉鎖、舌位のトレーニング
- ガムトレーニング
口腔機能発達不全症の評価と管理、指導・訓練の基本的な流れ
1 「口腔機能発達不全症」チェックリスト(離乳完了前)
2 「口腔機能発達不全症」チェックリスト(離乳完了後)
チェックリスト1,2の機能Aにおける「食べる機能」、「話す機能」の項目(C)において2つ以上の該当項目があるものを「口腔機能発達不全症」と診断する。
なお、離乳完了前においてはC-1~C-9を、離乳完了後においてはC-1~C-6の項目を1つ含むこととする。
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日本歯科医学会ホームページ(https://www.jads.jp/index.html)
歯科診療に関する基本的な考え方「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」令和6年3月改訂版より抜粋
※算定要件
カルテにチェックシート、管理計画表、写真、指導記録、検査値を添付し、患児(保護者)に管理計画表の写しを提供します。
写真撮影は初回には必ず実施し、その後は少なくとも管理料を3回算定するにあたり1回以上行います。
(JSPP社会保険検討委員会資料より抜粋)
症例
機能的因子(口腔習癖や口呼吸、機能的顎偏位など)による歯列・咬合に異常がある。
これらのように、癖による歯列・かみ合わせの異常はまずは原因の除去を行います。
(舌を前に出さない、唇を咬まない、指を吸わない、うつ伏せで寝ないなど)合わせて、
口腔機能の育成のために、口を閉じる、舌の位置を正しいポジションにする指導が必要です。
図Aのように、それぞれがバランスの取れた場所に位置することにより歯列を維持し、また飲み込むときの舌の位置は上あごを押します。飲み込む瞬間に舌が前歯を押すのは、乳児型嚥下という異常嚥下です。
図Cのような舌の位置にするためのトレーニングを行って、正常な機能育成を促します。
口唇閉鎖、舌位のトレーニング
唇の力を(口輪筋)つけるために、風船や吹き戻し、飲み込む際の舌の位置を指導する方法
ガムトレーニング
咬む・飲み込むという機能に重要なのは唇を閉じることと舌の位置。
ガムトレーニングで楽しく、舌の位置と筋肉の動きを確認しながら、しっかり咬む筋肉を育てましょう。
- トレーニングガムを選択するときのポイント
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- むし歯の原因になる糖が入っていない、デンタルガムを使用しましょう。
- お子様が飽きないように、味持ちが良いガムを使用しましょう。
- むし歯予防効果があるガムを使用すると良いでしょう。
- ❶ガムを口に入れて1回咬む
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最初に咬みはじめたのは、右側 ・ 左側(〇をつける)
1回咬んで止まり、右で咬んだか左で咬んだか確認します。
同じ側で咬んでいることに気付いたら均等に咬むことを意識します。 - ❷ガムを咬み始め、側頭筋を確認しながら左右で咬む
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ガム表面のザラザラ感が無くなったら、こめかみ付近に手を当てたまま側頭筋の動きが左右均等であることを確認しながら右側で10回しっかり咬みます。左にガムを移動して同じように10回咬みます。
- ❸咬筋を確認しながら左右で咬む
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頬に手を当てたまま、咬筋の動きを確認しながら右側で10回しっかり咬みます。
左にガムを移動して同じように10回咬みます。 - ❷❸を3~5セット行います(★)
- ❹ガムを丸めて前歯で咬む
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ガムを丸めて前歯で10回咬みます。必ず口を閉じて行います。
- ❺ガムを丸めて前歯に押し付ける
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ガムを丸めて前歯に上唇で押し付けます。
これを5回繰り返します。 - ❻ガムを丸めてスポットに押し付ける
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ガムを丸めて前歯の裏側のスポットに舌で押し付けます。
いつも舌が上あごに位置するように習慣付けます。これを5回繰り返します。 - ❼ガムを丸めてスポットに押し付けたまま唾を飲む
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ガムを丸めてスポットに押し付けたまま唾を飲みこみます。 これを5回繰り返します。(★)
ガムを用いて、飲みこむときの舌の位置を確認しています。
ガムトレーニングを行っていない時も、飲みこむときは舌をこの位置にしましょう。(★)状態に合わせ、回数を指導してもらいましょう
歯科医院様用ダウンロード動画
ガムトレーニングの動画をダウンロードしていただけます。
【医療従事者向け】医療従事者の方へトレーニングや指導のポイントを含め解説しております。
【患者さん向け】患者さん視聴用の動画です。院内でご利用ください。
トレーニングの効果
それ以外にもガムを噛むことで、様々な効果が期待できます。
•リラックス効果による噛みしめ(TCH)の予防
小児の約30%に口唇閉鎖不全があります。
また、成人になってもその割合は変わらないため、気が付いた時に医院へご相談していただくことが重要です。
土岐 志麻 先生
とき歯科(青森県青森市 開業)