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100年後に残す日本の風景 歯科医療従事者による風景写真カレンダー2026 入選作品紹介

未来に伝えたい、
残したい。

「100年後に残す日本の風景」をテーマに、歯科医療従事者の皆さまより風景写真を募り、撮影月ごとに選ばれた12作品を収めたカレンダーを制作しています。2026年カレンダーには、全国から469点の写真が寄せられ、入選12作品、優作12作品が選ばれました。

  • ご使用の環境により、色合いが異なる場合がございます。

2026年カレンダー
作品紹介

審査総評

写真で何ができるのか、写真が誕生した時代には写真家は技術者でしたが、現在は、表現者となり、何を語るのかを問われる時代になりました。この度の審査作品は、豊かな感性で対象を読み解き表現された作品が数多く受けられ、撮影された方々の見識の豊かさが作品に表れていました。なかでも、一月に掲載される作品「初日の出」では、平面の中に深い奥行きと広い世界捉え、豊かな空間の中に主題を語る事ができていました。2月に掲載された作品「一億年の時の目覚め」では美しい光景に惑わされずに堆積してきた時の姿に気づかれた事など、対象を把握して切り取るだけではなく。対象の中にある存在の意味を豊かな探究心で探られた作品など、作者の深い眼差しを共有させていただけた審査でした。


年々、応募される作品はシャッターを切る喜びと、作者の豊かな感性が溢れており、写真で何を語らうか。皆様方の新しい解釈が多くの方たちと共有できます事を願っております。

師岡清高

入選作品 紹介

  • 1
    「初日の出」
    池田 剛 (広島県福山市)
    ● 撮影場所:岡山県高梁市
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    講 評

    「登る太陽を大きく捉えた作品は、コンテストでよく見受けられますが。本作品はファインダーの中に深い奥行きと、広い世界を設え、広くたなびく雲海と深き山々を越して登る日の出は、ただただ美しいだけではなく、神々しく表現されている。写真家は常のその場に立ち会わなければならない。すなわち、ここに起し出来事を捉えることができたのは、作者の知識と素晴らしい出会いから生まれた作品で、日出ずる国日本を想起する様な作品である。」

  • 2
    「一億年の時からの目覚め」
    佐藤 貴彦 (岩手県盛岡市)
    ● 撮影場所:岩手県宮古市
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    講 評

    「現代美術家、杉本博司氏は世界中の水平線を捉え、古代人の見た風景としてシースケープを制作した。
    今も昔も変わらぬ風景、そこに何があるのか。世界は概念に包み込まれているが、概念に囚われる事なくアプローチされた作品は、そこにあって不思議では無い光景に新たな意味を立ち上げた。作品「一億年の時からの目覚め」は、日々変わらぬ日の出を背景に、長きにわたる時の姿を岩から読みとらせている。作品の美しさ、画面構成の巧みさは言うまでもなく、タイトルに示された解釈の素晴らしさ創造力の素晴らしさを称賛すべき作品である。」

  • 3
    「桜の一番列車」
    浦川 剛 (福岡県福岡市)
    ● 撮影場所:福岡県赤村
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    講 評

    「美しく咲き誇る桜並木のなか、走る一番列車。まだ夜が開けぬ薄明かりのなか、巷の静けさを破り走り去る列車の姿を作品は美しく捉えている。作品はとてもシンプルで印象的な作品である。美しいブルーの色調が画面全体を占め、走り去る列車の明かりがとても温もりを感じさせる。ありがちな鉄道写真とは一線を画し銀河鉄道をも思い浮かばせる。静寂のなか進行するストリーを想起させる作品である。」

  • 4
    「藤のシャワー」
    馬瀬 勝 (三重県松坂市)
    ● 撮影場所:三重県津市
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    講 評

    「藤の花の花言葉は優しさ・忠実・決して離れないですが、長寿の縁起の良い木ともされています。ここでは、藤の花が垂れ下がるところから藤のシャワーと読まれました。画面からはみ出す様に捉えられた藤は淡い彩にそまり、私も藤の花に包まれシャワーを浴びてみたくなりました。この作品の良さは、作者が美しい藤の花に魅了されながらも藤の花を藤のシャワーと読まれたことです。藤の花を藤と言ってしまうのではなく、シャワーと想起されたことが、多くの鑑賞者とは違った解釈を見いだされた事です。」

  • 5
    「競う」
    西家 孝 (静岡県沼津市)
    ● 撮影場所:静岡県富士市
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    講 評

    「美しく晴れた富士の裾野を並走する新幹線を捉えた作品。鉄道写真を撮られる方達の情報収集にはいつも驚かせられます。何時列車が何処を通過するのか、知識がなければ捉えることができず、豊かな情報と知識を活かして撮影が行われています。この作品も間も無く引退するドクターイエローと新幹線の並走を捉え、とても貴重な出会いを写しとる事が出来ています。もうすぐ出会うことが出来なくなるドクターイエロー、ここに富士山と共に永遠の姿が記されました。」

  • 6
    「黄金の絨毯」
    植田 勉 (大阪府大阪市)
    ● 撮影場所:静岡県袋井市
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    講 評

    「美しく咲き乱れるハカタユリ、大胆な構図に魅了されました。前面に花の姿を大きく捉えることにより、花の香りが匂う様に示されています。背景にはタイトル花の絨毯とされている様に、大地に広げた絨毯ように咲き乱れる花の姿を捉えられており、ハカタユリの咲き誇る姿を美しく表現されています。花の作品はついつい美しさに惑わされ、撮らされてしまうことが多いのですが、しっかりと花の特徴読み解き、見える花の解釈ではなく、花の姿に秘められた解釈を見つけ、語ることができていました。」

  • 7
    「青もみじ」
    木村 拓郎 (大阪府枚方市)
    ● 撮影場所:京都府京都市
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    講 評

    「青もみじ、花言葉としてもよく使われるタイトルです。大切な思い出、美しい変化を表す言葉でもあります。
    そこには自制や遠慮が語られ日本独自の美意識を表すものでもあります。質素なもの、足るを知る心豊かな解釈を初夏の光景の中に見出し写し撮ることが出来ています。向かい合った対象を豊かに読み解き、作品化する作者の豊かな感性と解釈が青紅葉の中に侘び寂びを詠み語ることが出来た作品でした。」

  • 8
    「ひまわりの丘」
    竹内 尚則 (奈良県桜井市)
    ● 撮影場所:兵庫県小野市
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    講 評

    「ひまわりの丘。見渡すかぎり咲き乱れるひまわり。数えきれないひまわりに圧倒されました。作品は夏の日差しのなか、輝くように咲くひまわりを美しく捉える事が出来ています。私的な事ですが、作品のひまわりは、ソフィアローレンの映画ひまわりを思い起こさせ、ヘンリー・マンシーニの甘く切ないテーマ曲が聞こえてくる様です。そして愛と希望と儚い物語を思い起こさせました。やはり写真はそこにある事を示すだけではなく、多くの事柄を想起させてやみません。」

  • 9
    「親子の木」
    川村 尚彦 (北海道旭川市)
    ● 撮影場所:北海道美瑛町
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    講 評

    「都会では見ることのできない大空。広くて高い心地よい青空を背景に、親子の木が大地から芽吹くように立っています。作品は、とても雄大な光景の中、何もない事の豊かさが示されていました。雲がわたり、風がそよぐ大地。豊かで平和な姿は、人類が永遠に引き継ぎ残してゆきたい光景だと思いました。ここに立たれた作者が大空に向かい深い深呼吸をされている姿が見えてくる様でした。」

  • 10
    「Universe」
    今渡 隆成 (北海道札幌市)
    ● 撮影場所:北海道足寄町
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    講 評

    「空に煌めく星が水面に反映、美しく輝く空から映画スターウオーズを思い起こさせる作品です。空と水面と山影というシンプルな構成が功をそうし、タイトルのUniverse、地球をも含んだ宇宙を美しく語る事ができています。輝く夜空には、宇宙で繰り広げられる森羅万象を想起させる様な佇まいがあり、宮沢賢治の銀河鉄道をも思い起こさせました。子供の頃、星の数を数えたり星に願いをかけたりしましたが、作者はこの宇宙の星にどの様な想いを馳せられたのでしょうか。」

  • 11
    「深秋」
    田中 敏夫 (広島県福山市)
    ● 撮影場所:島根県奥出雲町
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    講 評

    「秋深し、散り落ちたイチョウの葉が山里を彩り、鄙びた山寺を美しく描く事ができています。季節の移ろいは思いがけない輝きをもたらしますが、何時それがもたらせられるか、想像することしかできません。ゆえに出会う時の大切さを改めて感じます。きっと作者はこれまでの豊かな経験と知識を持つ事でこの時、この場に立つ事ができたのでしょう。写真は常にその場にあるものを記録するだけではなく、時の姿を記録しています。この作品は、季節の移ろうなか一瞬の煌めきを逃さず捉えることが出来た素晴らしい作品です。」

  • 12
    「雪の石庭」
    森田 章介 (大阪府吹田市)
    ● 撮影場所:京都府京都市
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    講 評

    「静かに降り注ぐ雪に包まれた竜安寺。雪化粧をした石庭の美しさに改めて感動させられました。何時もは多くの観光客で溢れ、騒がしい竜安寺ですが、作品は本来の石庭の佇まい示しており。枯山水は禅の精神をデザイン化されたもので、余白や謎を用いて深い精神性を現しています。計算し尽くされた遠近法は鑑賞者の心に感動と深い思索を促しています。作品は石庭の静寂な姿を逃さず捉えており、禅の心を美しく伝える事ができていると思いました。」

優作作品 紹介