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100年後に残す日本の風景 歯科医療従事者による風景写真カレンダー2025 入賞作品紹介

未来に伝えたい、
残したい。

「100年後に残す日本の風景」をテーマに、歯科医療従事者の皆さまより風景写真を募り、撮影月ごとに選ばれた12作品を収めたカレンダーを制作しています。2025年カレンダーには、全国から351点の写真が寄せられ、入選12作品、優作12作品が選ばれました。

  • ご使用の環境により、色合いが異なる場合がございます。

2025年カレンダー
作品紹介

審査総評

今年の応募作品も日々のなかより、心ときめく時の姿を捉えた作品が集いました。異常気象のなか、自然の在り方も少しずつ影響を受け変容しつつあります。そのなかで捉えられた作品は単に出会いを捉えたのではなく、今という戻る事のできない、貴重な時の姿を捉えています。写真の価値観も時代とともに変わりますが、皆様方が捉えた、ときめく出会いが、この先も失われない様、願い審査をさせて頂きました。

今を見直す。
作品を創作するクリエーター達は、今までには無いモノを生み出す豊かさを持っている。
多様な事象を改めて見直す事で新しい発見、新しい解釈を見つけ出す事ができる。

人は知を求めて生きています。日々学び体験し自己の人生を豊かに生きてゆく。
人生において、人はどれほどの出会いを育むのでしょうか。好奇心と探究心がその数を決めて行くでしょう。

師岡清高

元大阪芸術大学芸術学部写真学科教授
日本写真芸術学会会員、日本写真作家協会顧問
Canon EOS学園大阪校講師

入選作品 紹介

  • 1
    「早朝給餌場に向う
    タンチョウの群れ」
    須賀 康夫 (愛知県名古屋市)
    ● 撮影場所:北海道阿寒郡 鶴居村
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    講 評

    「年の初めにふさわしい、鶴の飛翔を選ばせていただきました。丹頂鶴は減少危機種で、いかに、鶴の姿に出会える鶴居村でも、この様に美しく群れて飛ぶ鶴の姿は、なかなか出会えないものです。また、出会えたとしてもなかなか撮ることは難しい被写体です。鳥の生態を熟知してチャンスを待たなければなりません。この状況に出会うためには幾度も鶴居村に通われたのではと推察いたします。透きとおる空に舞う丹頂鶴の美しい姿を逃さず捉えられた作品は、今年の吉兆を示す様に輝いており、初春を祝うように選ばせていただきました。」

  • 2
    「しだれ梅」
    竹内 尚則 (奈良県桜井市)
    ● 撮影場所:三重県津市 結城神社
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    講 評

    「フレームいっぱいに写し取られた枝垂れ梅。腰をくねらせ、枝には紅梅が咲き、周りには馥郁とした花の香りが漂ってくるように見えます。しかし、この作品の本当の魅力は、散り落ちた花々の姿を捉えているところです。花の盛りは短くて儚いものです。ただただ美しいものに目を向けるのではなく花の命に目を向け、枝垂れ梅を撮られた作者の眼識を評価させて頂き選出させていただきました。」

  • 3
    「クライマックス」
    植田 勉 (大阪府大阪市)
    ● 撮影場所:奈良県奈良市 東大寺二月堂
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    講 評

    「お水取り、この行事が終わると春が来ると言われています。作品に捉えられた炎はとても大きく、松明の中でも最も大きな籠松明を撮影されたのではないでしょうか。作品はクライマックスと題され、お水取りの行事の中でも一番の見所を逃さず写し撮ることが出来ています。二月堂の舞台から舞い落ちる火の粉を浴びるとその年は無病息災で過ごせるとも言われ多くの人が舞台下に集まり、良い撮影場所に陣取ることはなかなか容易いことではありませんが、良い撮影場所から手練れた技術と知識で見事に、燃え盛る炎の姿を捉える事だが出来ています。」

  • 4
    「山里の桜」
    田村 治義 (和歌山県伊都郡)
    ● 撮影場所:奈良県五条市 光専寺
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    講 評

    「里には雲がたなびき、黄色いレンギョウと大きな桜が里を眺めているようです。作品は日本の美しい姿を捉えています。まるで桃源郷のようなこの穏やかな光景。自然との共存。人にとって豊かさとは様々ですが、これこそ守り伝えるべき豊かさでは無いでしょうか。街は時代を越し変貌してゆきますが、この光景をいつまでも守り、山里の平安が続きますよう願いたいと思います。」

  • 5
    「棚田にあがる花火」
    浦川 剛 (福岡県福岡市)
    ● 撮影場所:佐賀県東松浦郡玄海町
    浜野浦の棚田
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    講 評

    「谷間に打ち上げられた花火が山間の漆黒の棚田に美しく花を咲かせて居ます。じっと見つめていると聞こえるはずのない、花火の音がこだまするよう聞こえてきます。シンプルな構図が見る人の心を捉えて離しません。作品を見返していると何故か遠い昔話の中にいるような、懐かしい世界に誘われました。」

  • 6
    「雨と緑、ついでに紫陽花」
    馬瀬 勝 (三重県松阪市)
    ● 撮影場所:三重県度会郡度会町
    宮リバー度会パーク
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    講 評

    「紫陽花ほど雨に似合う花はありません。新緑の6月、梅雨の中に咲く美しい花紫陽花。目も心も洗われる様です。作品は、とても大胆な構図で写し取られています。大きな木立を中心に拝して、奥行きと広がりを効果的に表した表現は、森の中に舞台を設えたように写し捉えています。じっと眺めていると森の中から動物たちが現れてきそうです。」

  • 7
    「プラネット」
    片山 克己 (富山県富山市)
    ● 撮影場所:石川県金沢市 本興寺
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    講 評

    「大小の水滴の中に現れる彩。神秘的でファンタジーな世界を写真が示しています。夢見るように美しく優しい色彩が見る人の心に安らぎを与えてくれます。よく撮った写真を観られ、何を撮られたのですかと聞かれますが、実は分からない方が良い場合があります。分からないことは知らない事。すなわち新しい未知なるモノとの出会いが生まれ、知る喜びが生まれます。芸術の魅力は新なるが華と言われる所以でもあります。」

  • 8
    「咲き誇る」
    田中 敏夫 (広島県福山市)
    ● 撮影場所:広島県尾道市
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    講 評

    「透き通った夏空に向い、天をつく蓮の姿を美しく捉えることが出来ています。もっとも花の一番、美しい時期は少しですが過ぎているように見えます。咲き誇った花の姿も魅力的ですが、やがて散る儚さを抱えた蓮華の姿に心動かされる作品です。美しさに憧れるのは人の常ですが、対象を豊かな眼差しで読み取られる作者の見識がこの作品を生み出したと思います。」

  • 9
    「秋色の尾瀬」
    阿久津 啓三 (福島県郡山市)
    ● 撮影場所:群馬県利根郡片品村 尾瀬ヶ原
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    講 評

    「黄金色に色づいた尾瀬ヶ原。日本の風土は四季を通して豊かな表情を私達に享受してくれます。凍てつく冬から、芽吹き花咲く春。輝く夏を経て収穫の秋。移り変わる姿はやがて冬を迎え。循環する季節は多彩な姿を楽しませてくれます。その中でも特に秋は、錦秋の美しさや黄金色の世界に出会える一番魅力的な時期でもあります。選ばれた作品は美しい清秋のなか秋季の盛りを捉え流事ができて居ました。」

  • 10
    「牧場の朝」
    川村 尚彦 (北海道旭川市)
    ● 撮影場所:北海道北見市 本沢牧場
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    講 評

    「陽がのぼり、朝霧を迎えた牧場、耳をすませば牧場の牛たちの鳴き声が聞こえてきそうです。北海道北見市本沢牧場。広大で、まるで日本では無いようなスケールの牧場を美しく捉える事ができて居ます。牧場の木々が色づいているところを見ると、晩秋の早朝でしょうか。間も無く向かえる厳しい冬の姿が目に浮かびます。静かな佇まいに魅了され、いつまでも眺めて居たい光景です。」

  • 11
    「秋の彩り」
    杉山 拓紀 (三重県松阪市)
    ● 撮影場所:三重県松阪市
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    講 評

    「舞い降りて水面に浮かぶ五色楓と、優雅に泳ぐ錦鯉。雅な日本画を想像させていただける作品です。多くの落ち葉が水面に漂っているので晩秋の候でしょうか。水面を飾る多彩な彩りが、錦鯉を染めるようにも見えます。水中の鯉たちも秋を楽しむかのように泳ぎ、穏やかな秋のひとときが写し捉えられています。」

  • 12
    「樹氷林」
    池田 剛 (広島県福山市)
    ● 撮影場所:鳥取県西伯郡大山町
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    講 評

    「青く静けさが漂う樹氷林、凍てつく森の前にじっと佇み林を見つめる作者の眼差し。ピンと張り詰めた空気感を感じとる事ができます。作品を見ていると作者が森と対話をしているように思いました。神秘的で青い森は厳冬のなか、まだ来ぬ春をじっと待っているかのように見えます。見るのではなく読む事で捉えられた作品として評価させいただきました。」

優作作品 紹介