『教えて 大橋先生の人事講座』第2回目のテーマは「人事に取り組む5つのメリット」です。
人事コンサルタントの大橋高広先生にお話いただきました。
セミナー講師
大橋 高広先生
- 同志社大学を卒業後、大手通信系企業にて新規開拓営業を担当
- 経済団体にて中小企業の経営支援を担当
- 中堅製造業にて総務・人事・経理等のバックオフィス業務を担当
- 株式会社NCコンサルティングを設立、 同社代表取締役社長に就任
- 関西経済同友会 会員
- 大阪商工会議所 人事労務サポート推進パートナー
- 八尾商工会議所 専門相談員
- 守口門真商工会議所 専門相談員
- 和泉商工会議所 専門相談員
セミナー動画
モリタ友の会有料会員に登録すると
セミナー動画がご覧いただけます。講演内容
では、さっそく始めていきましょう。
【メリット1】
スタッフのモチベーションが上がる人事評価制度をきちんと整えれば、スタッフのモチベーションが上がります。もし人事評価制度がなければ、“なぜこの評価なのか”という理由がスタッフに伝わりづらく、好き嫌いで評価されていると感じるスタッフが出てくるかもしれません。ですから、スタッフの頑張りを適正に評価するためには、何を評価するかが明確になっている人事評価制度を取り入れることが非常に大切になってきます。
人事評価制度ができれば、次は定期的に面談を行い、スタッフとの信頼関係を構築してください。ただ、いかに良い評価制度を作っても、半年に一度、人事評価シートを見て「これはやっていますか?」「はい、やっています」くらいの話では信頼関係の構築までには至りません。最近の言葉ではクリニックへのエンゲージメント(=仕事に対するポジティブな心理状態)を高めるとも言いますが、定期的な面談でクリニック側から信頼関係の構築に取り組むことが大切で、それをやっておけば何か問題があってもすぐに対応することができるのです。
普段の雑談や声掛け、飲み会だけで、本音の悩みまで聞き出すことはなかなかできません。ですから、心理的安全性の高い個室を使うなどして面談の機会をきちんと作り、人事評価制度を機能させてクリニックの風土を形成していただきたいと思います。
【メリット2】
スタッフが辞めなくなる二つ目のメリットは、スタッフが辞めなくなることです。スタッフが自分の働きを評価してくれるクリニックで働きたいと考えるのは当然のことですし、自分があまり評価されていない…とモヤモヤしながら数年が経つと、どんな人でも辞めてしまいます。ですから、人事評価制度を取り入れ、なおかつ、マネジメントをするリーダーを昇格させるということも重要です。
これはクリニックだけでなく、日本の社会全体に言えることなのですが、実際の現場では、実務が得意な人がどんどん昇格します。けれども、その人が職場をまとめる力を持っているかまではわかりません。良い職場をつくるためには、マネジメントの適性がある人を昇格させていくことが大切で、そういう人が職場をまとめてくれればスタッフも辞めなくなるのです。
そしてもう一つ大切なのが、職場のルールを整備して場当たり対応をなくすこと。クリニックではいろいろなことが突発的に起こるので、やむを得ないこともありますが、その場当たり対応が毎回違うと、やはりスタッフの不満を買いやすくなってしまいます。ですから、できる限りルールを整備し、場当たり対応を極力なくすよう努めていただきたいと思います。
復帰制度を設置して出戻りを歓迎することも大切です。辞めたいというスタッフを引き留めた場合、条件交渉になることが多いので、クリニック側が痛手を負う可能性が高くなります。ですから、辞めたいという人には、「復帰制度を用意しているのでいつでも戻ってきてくださいね」と伝えてそのまま見送ってください。実際、他のクリニックに転職しても戻ってくるケースも多いので、辞めたいと言われたときには勇気を持って送り出し、復帰制度で戻ってもらう、これが賢いやり方です。そして、スタッフが辞める理由はほとんどが人間関係です。隣の芝生が青く見えたり、空気を入れ替えたくなって出ていくけれども、後に戻ってくるケースも多いですから、復帰制度はぜひ整えてほしいと思います。
たしかに、賃金を理由に辞めたいと言ってくる人もいるかもしれません。ただ、それが本当かどうかは実際のところわかりません。賃金というのは在職中には交渉しづらいものですが、辞めたいと思ったとき、「家庭の事情があるのであと月に10万円必要なんです」と言えば、クリニック側も「そんなに上げるのは難しいですね」と言わざるを得ませんから、辞めやすくなるのです。親の介護といった家庭の事情などもどうしようもない事実ですから、退職理由として挙げられることが多いのですが、それが本音かどうかは考察の余地があると思います。私もいろいろなところでスタッフ面談をさせてもらっていますが、退職理由はほとんどが人間関係ですから、そこに着眼点を置いていただければと思います。
【メリット3】
合わないスタッフが去っていく
このメリットは本当に大切で、少し厳しい話になりますが、もしクリニックに合わないスタッフがいれば、人事評価制度を使って注意を促すことができます。仕事上で問題が発生したとき、大目に見て許してしまうことが一度でもあるとそれが癖になり、人事評価制度が機能しなくなります。ですから、そこは厳しく、「こういう人事評価制度があるので気をつけてくださいね。もし研修を受けたいとか、クリニックに求める支援があるならきちんと伝えてださいね」と注意を促すことが大切です。それでもできないということであれば、評価が低いスタッフとして、決められたルールに従い、低い処遇を実行するのです。具体的にはボーナスを出さないとか、昇給しないという形で対応することが望ましいと思います。
これがなぜ大切かというと、クリニックに合わないスタッフを放置しておくと、本当に重要だと思っているスタッフが気を悪くして辞めてしまうケースが少ないないからです。合わないスタッフに去ってもらうことを、感情論や交渉で進めるのではなく、ルールを整備し、認識を促し、それでも改善しないのなら“もう無理ですよ”というプロセスを辿りながら進める、そこがポイントです。
【メリット4】
採用募集費が削減できる次は、採用募集費が削減できるというメリットです。一般的に採用募集費は高く、利益を大きく圧迫するものですが、人事評価制度を採用して職場が良くなると採用募集費は減っていきます。
職場が良くなれば、リファラル採用=口コミ採用ができるようになります。特に医療系の場合は、同じ学校の出身だったり、資格でつながっていることが多く、有資格者同士の人脈があるので、良い職場は既存のスタッフから口コミが出やすく、採用力も上がるのです。
モリタ友の会有料会員に登録すると
引き続き全文がご覧いただけます。大橋からのお願い
本プログラムを受講された後、必ず何か1つでも実践してみてください。
何か行動を起こせば必ず未来は変わります。
このたびのご縁を大切に私自身も日々自己研鑽に励んでまいります。
ぜひ皆さまで一緒に頑張ってまいりましょう。