『教えて 大橋先生の人事講座』第4回目のテーマは「組織が成長するためにやるべきこと」です。
人事コンサルタントの大橋高広先生にお話いただきました。
セミナー講師
大橋 高広先生
- 同志社大学を卒業後、大手通信系企業にて新規開拓営業を担当
- 経済団体にて中小企業の経営支援を担当
- 中堅製造業にて総務・人事・経理等のバックオフィス業務を担当
- 株式会社NCコンサルティングを設立、 同社代表取締役社長に就任
- 関西経済同友会 会員
- 大阪商工会議所 人事労務サポート推進パートナー
- 八尾商工会議所 専門相談員
- 守口門真商工会議所 専門相談員
- 和泉商工会議所 専門相談員
セミナー動画
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今回は、以上の5つのテーマに分けてお話します。
では、さっそく始めていきましょう。2層構造と3層構造の違い
図の左側からわかる通り、経営者とそれ以外の全スタッフという構造が2層構造です。クリニックに限らず、他の組織でも2層構造になっているところが多いのですが、私は2層構造ではなく、3層構造にしていただくことをおすすめしています。
2層構造と3層構造の違いは、真ん中に管理職が挟み込まれていること。経営者となる先生がいて、マネジメントする管理職がいて、この管理職が一般スタッフを育て、管理する形です。経営者である先生は管理職の育成や管理に注力することになります。
少し振り返ってみてほしいのですが、先生が現場から離れているときは賑やかに話しているのに、先生が戻ってくるとシーンと静まり返る…、そんな経験はありませんか? 実は経営者とスタッフというものはそういうもの。経営者に対して話しやすいと感じるスタッフは少ないのです。ですから、管理職を育成することによって、組織の全体的なマネジメントを機能させなければなりません。
階層別に必要なスキル「カッツモデル」
ここからは、2層構造から3層構造に進化する=管理職を育てることによって、マネジメントがより再現性高く機能していくということをお伝えしたいと思います。
このことを上手く解説されているのが、ロバート・カッツ教授です。カッツ教授が発表されているカッツモデルでは、マネジメントを行う上で必要な3つのスキルが示されています。一つは実務能力などのテクニカルスキル。二つはコミュニケーション能力などのヒューマンスキル。三つは経営計画の立案・実行力などのコンセプチュアルスキルです。
テクニカルスキルについては、研修やOJTで教えられていると思いますし、経営計画に関するコンセプチュアルスキルも、最近の先生方はしっかり身につけられていると思います。
意外な盲点がヒューマンスキルです。ヒューマンスキルはなぜか研修を1回実施して終わりとか、感想文を1回提出させて終わりとか、その程度で済まされていることが多いのです。短い研修を受け、感想を書くくらいではなかなかスキルは伸ばせません。ヒューマンスキルが大事だと言いながら、実践的な研修や育成をほとんど行わないなど、ヒューマンスキルを鍛える機会を設けていないから、管理職層(ミドルマネジメント)が欠落しやすくなってしまうのです。
図の右側の色の部分の比率=重要度なのですが、この図からもわかる通り、管理職層と指導職層はヒューマンスキルが非常に求められています。しかし、実際は意外と鍛えられていない。だから、全体バランスが崩れ、先に述べた3層構造にならないのです。
管理職を育てるためには、ヒューマンスキルを上げるべく、研修する場をつくること、そして成果確認をし、反省点を見つけ改善していくという流れをつくることが大切です。
マネジメントスキルを習得させるメリット
ヒューマンスキルを身につけて管理職のマネジメント能力が向上すると、職場のコミュニケーションが活性化します。職場のコミュニケーションが活性化するというのは、ただ単にワイワイガヤガヤするということではなく、管理職が職場の問題を理解し、それを先生と共有し、改善につなげることができるということ。言い換えれば、管理職をきちんと育成しないと現場のスタッフの本音や職場の本質的な問題が拾えないということになります。ランチ会や懇親会を行っても本音のところはなかなか出てこないものですから、そこは管理職に任せて、クリニック側に意見を届けてもらうことが大切です。
管理職が育たない根本的な原因とは
管理職やリーダーが育たない理由は、実務スキルだけを見て人を採用するからです。こうして採用された人は、実務については興味があっても、マネジメントについては興味がないため、たとえば、採用の決裁権を与えたとしても採用する力がない。マネジメント適性を持ったスタッフがそもそも院内にいないのです。
もしいたとしても、教育ができていない可能性もあります。これはやはり1日研修や感想文を書かせるというだけでは足りず、OJTで実務を教えるように、定期的に教育していかなければなりません。そして、たとえ教育をしたとしても、人事評価をするために面談をして、そこで出した評価をフィードバックするという実践的なプロセスが必要です。現場の雑談レベルではなく、仕事としてコミュニケーションを取り、その成果をきちんと生かせる管理職を育てるためには、やはり人事を整備する必要があるのです。
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引き続き全文がご覧いただけます。大橋からのお願い
本プログラムを受講された後、必ず何か1つでも実践してみてください。
何か行動を起こせば必ず未来は変わります。
このたびのご縁を大切に私自身も日々自己研鑽に励んでまいります。
ぜひ皆さまで一緒に頑張ってまいりましょう。