『教えて 大橋先生の人事講座』第6回目のテーマは「職場の問題を聞き出す面接術」です。
人事コンサルタントの大橋高広先生にお話いただきました。
セミナー講師
大橋 高広先生
- 同志社大学を卒業後、大手通信系企業にて新規開拓営業を担当
- 経済団体にて中小企業の経営支援を担当
- 中堅製造業にて総務・人事・経理等のバックオフィス業務を担当
- 株式会社NCコンサルティングを設立、 同社代表取締役社長に就任
- 関西経済同友会 会員
- 大阪商工会議所 人事労務サポート推進パートナー
- 八尾商工会議所 専門相談員
- 守口門真商工会議所 専門相談員
- 和泉商工会議所 専門相談員
セミナー動画
モリタ友の会有料会員に登録すると
セミナー動画がご覧いただけます。講演内容
今回は、以上の5つのテーマに分けてお話します。
では、さっそく始めていきましょう。コンセプト共有法
職場の指示というのは、作業内容を伝えることがほとんどだと思います。それは逆に言うと、作業内容しか伝えていないということ。スタッフは、なぜそれをやるのか=作業を行う意味を理解していないことが多く、その場合、「まだやっていないの?」とか「やり方が違うんだけど…」などというミスマッチが起こりやすくなってしまいます。
作業を行う意味や目的、効果がわかっていないと、他にもいろいろな問題が出てきます。たとえば、医院を経営しているとスリッパの置き方や待合の隅のちょっとした埃など、小さなことまで気になるのが普通なのですが、スタッフには、「そこまで気にする必要ありますか?」としか思えない。その先の「もしそういうところに敏感な患者様がいらしたら、もう通いたくないと思われるかもしれない。そうすると大切な患者様を逃してしまう」というところまでイメージできていないのです。
さらに、事前に「目的とゴール」を伝えておくことも大切です。面談をするとなったときも、事前に目的を伝えておかないと、「通常の業務で忙しいのになぜ面談をするのですか?」となってしまう。ですから、「職場に問題があるように感じるから、現状を知るために面談を行います」、そして、「面談ではこういうことが聞きたいと思っているので、事前に準備をしておいてくださいね」というところまで伝えてほしいと思います。ここまで言えば、「時間がないのになぜ?」などと言われることにはなりません。
医院の方針などを伝えるときも、朝礼や夕礼など、集合時のほうが手際よくスムーズに伝えられますからどうしても集合時に伝えがちですが、大切なことは個別面談で伝えることをおすすめします。その理由は、スタッフによって理解のレベルが違うから。ですから、集合時に伝えるのは誰でも理解できるようなレベルの話だけにして、「最近ちょっと顔色が悪いけど大丈夫?」とか、「新しい医院を出そうと思っているんだけど」といったセンシティブな話のときは、個別の面談にしてください。そうすることで、スタッフからいろいろな意見や感想も出てくると思います。ただ、集合に比べて効率は悪いので、内容に合わせて集合か個別かをうまく使い分けるようにしてください。
社内アポイント法
次は、「社内のアポイントを取りましょう」ということです。面談は先生からのお願いであると捉え、スタッフを患者様だと思って行動してほしいのです。
たとえば、「今ちょっと時間ある? 大丈夫なら来て」と声をかけたとします。けれども、スタッフにはそのとき、何か別の用事があったかもしれない。それを遮ってしまうと「やらされ感」が増してしまいます。本来、商談であれば必ずアポイントを取るはずですから、スタッフとの面談もそれと同じように、まずはアポイントを取って、場所を決めて、院内にスケジュールソフトがあるなら先生がそれに入力するところまでやってください。
営業で活用されているザイアンスの法則も参考になります。これは、単純接触効果とも呼ばれていて、接触する回数が多ければ多いほど対象に対する評価や好感度が上昇するという心理学的傾向のことなのですが、面談も同じで、一度に長い時間を取ってしっかり行うよりも、短い時間でも回数を重ねる=接触回数を増やすほうが信頼関係を構築しやすいと言われています。ですから、毎月30分行うのではなく、週に1回5〜10分を積み重ねるほうが効果的だということを、面談の計画を立てるときに意識してほしいと思います。
ノンアルコール法
すでに意識されている先生方も多いと思いますが、今は価値観も働き方も多様化していますから、膝を突き合わせてお酒を飲めば信頼関係ができるという発想は極力控えたほうがよいでしょう。スタッフにはアルコールが苦手な人も、夜の外出が難しい人もいるでしょうから、そうした人たちのことも考慮して、たとえばランチタイムなど、誰でも参加できる時間帯と場所で面談をするように体制を整えてほしいと思います。
モリタ友の会有料会員に登録すると
引き続き全文がご覧いただけます。大橋からのお願い
本プログラムを受講された後、必ず何か1つでも実践してみてください。
何か行動を起こせば必ず未来は変わります。
このたびのご縁を大切に私自身も日々自己研鑽に励んでまいります。
ぜひ皆さまで一緒に頑張ってまいりましょう。