『教えて 大橋先生の人事講座』第7回目のテーマは「職場の問題を改善する方法」です。
人事コンサルタントの大橋高広先生にお話いただきました。
セミナー講師
大橋 高広先生
- 同志社大学を卒業後、大手通信系企業にて新規開拓営業を担当
- 経済団体にて中小企業の経営支援を担当
- 中堅製造業にて総務・人事・経理等のバックオフィス業務を担当
- 株式会社NCコンサルティングを設立、 同社代表取締役社長に就任
- 関西経済同友会 会員
- 大阪商工会議所 人事労務サポート推進パートナー
- 八尾商工会議所 専門相談員
- 守口門真商工会議所 専門相談員
- 和泉商工会議所 専門相談員
セミナー動画
モリタ友の会有料会員に登録すると
セミナー動画がご覧いただけます。講演内容
今回は、以上の5つのテーマに分けてお話します。
では、さっそく始めていきましょう。ヒト改善、モノ改善、コト改善について
このテーマは非常に重要ですから、ぜひ概念を掴んでいただきたいと思います。
私は以前から改善は3つあると提唱しており、
◎1つ目がヒトの改善
一般的によく行われているヒト改善が、研修や勉強会の実施、現場で教えるOJTなどです。
◎2つ目がモノ改善
家具の設置や機械・システムの導入などがそれに当たります。
◎3つ目がコト改善
これは職場のコミュニケーションの改善や業務の改善のことを指しています。
ヒト改善はぜひとも取り組んでほしい改善ですが、注意点は、着手してから結果が出るまで長い時間がかかるということ。しかも、対象者が何らかの理由で退職した場合、効果がなくなってしまう可能性がありますから、今の段階ではコストパフォーマンスが良いとは言い切れません。その場合、モノ改善=システム導入、あるいはコト改善=メソッドで解決していくほうが短・中期的に見ればコストパフォーマンスは高いでしょうし、現在はデジタル化も進んできていますから、機械やシステムを導入するほうが長期的な視点で考えると役に立つと言えるかもしれません。
ですから、今回はコト改善=院長先生やリーダー層の方々が今すぐ実施できて成果が出る方法について、お話していきたいと思います。
スタッフのトリセツ
私のホームページ( 大橋高広 公式ホームページ )からトリセツシートがダウンロードできるようになっていますから、ぜひご活用ください。
トリセツシートに取り上げてほしい項目は5つあります。
1つ目は、「仕事をする上で大切にしていること」。それぞれのスタッフが、何のために働いているかを知ることはとても重要です。もしかしたら、退職を視野に入れ、スキルアップのために仕事を続けているかもしれないし、転職や独立には全く興味がなく、ずっと同じ場所で働きたいと思っているかもしれない。いろいろな考え方のスタッフがいるので、その人が何を大事にしているか、将来どうなりたいのか、それぞれが思い描く将来像をしっかりと聞いておくことが大切です。
2つ目は、絶対に外さないでほしい項目なのですが、「仕事中にどんなことにイラッとするのか」です。先生方は、作業の途中で話しかけられてイラッとすることはありませんか? そんなイラッとした気持ちが顔に出ると、相手に悪い印象を与えます。そうならないためのポイントは、先に説明しておくこと。たとえば、「作業中に話しかけられるとイラッとしてしまう」と先に説明しておけば、もし実際にイラッとしても、相手も「以前、説明されていましたね。次からタイミングを考えて言うようにします」という対応になります。それを、イラッとしてしまってから「作業中に話しかけられるとイラッとするんだ」と言うと言い訳がましくなりますし、話しかけたほうも「実はもっと他に何かあるのでは?」と勘繰ってしまう。事前に話しておけばそれは「説明」になりますが、後から話すとすべて「言い訳」になってしまいます。ですから、事前に話しておく(説明しておく)ということが非常に重要なのです。
3つ目・4つ目は、「得意なこと」「苦手なこと」。歯科衛生士や歯科技工士が、それぞれの本来の業務に長けていたとしても、パソコンで書類を作るような作業は得意ではなく、もしかしたら「絶対にやりたくない」と思っているかもしれません。そうした苦手なことを先に説明してもらっておきましょう。また、得意なことを書いてもらうことも有効です。ある医院では、SNSが好きだというスタッフに医院のSNSの運用を任せたところ、アクセスが急増し、集患につながったということがありました。このように、意外なことが医院のプラスに働くこともありますから、得意なこともぜひ項目に挙げていただきたいと思います。
5つ目は、「将来実現したい目標」。当たり前といえば当たり前なのですが、スタッフはそれぞれ自分固有の目標があります。「最高の技術を持つ歯科衛生士になりたい」「医院のメンバーをとりまとめるリーダーとして活躍したい」など様々です。もしかすると、「一度歯科ではない仕事にチャレンジしてみたい」と考えているスタッフもいるかもしれません。そのため、各スタッフの目標を理解していると、仕事の割り当て方や教育方針などを最適化することができます。こちらの項目もスタッフ育成・定着率向上にはとても重要な項目です。
最後にもう一度ポイントをおさらいしますが、事前に話すと「説明」になりますが、後に話すと「言い訳」になる。先に説明して皆さんで共有すれば問題は軽減されるということを覚えておいてください。
やめる業務MTG 「ECRSの原則」
業務改善では、やめる業務ミーティングという方法も推奨しています。頻度は2、3ヵ月に一度くらいがちょうどいいと思います。仕事というものは、放っておくと時間の経過とともになぜか増えていくものなので、定期的に見直して「やめる」ことも重要です。ただ、これは先生やリーダークラスの方が主導するべきもので、現場レベルではできません。なぜかというと、「やめる」という判断ができないからです。現場レベルのスタッフは当然、「これをやめて何かあったら私の責任になるのでは?」と考えますから、決裁権限を持った責任者が行う必要があります。現場のスタッフに改善を依頼してもなかなか進まないのは「判断ができない」からで、だからこそ、やめるべき業務をみんなで決めるミーティングを行うべきなのです。
さらに、ECRS(Eliminate/排除、Combine/統合、Rearrange/再編成、Simplify/簡素化)とは、業務改善の原則です。
モリタ友の会有料会員に登録すると
引き続き全文がご覧いただけます。大橋からのお願い
本プログラムを受講された後、必ず何か1つでも実践してみてください。
何か行動を起こせば必ず未来は変わります。
このたびのご縁を大切に私自身も日々自己研鑽に励んでまいります。
ぜひ皆さまで一緒に頑張ってまいりましょう。