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Dental Talk

歯科医師と歯科衛生士が連携して行う歯周外科治療と術後メインテナンス “タキノ歯科流”Er:YAGレーザー活用法

京都市右京区 医療法人社団 裕和会 タキノ歯科医院 理事長 瀧野 裕行/歯科衛生士 村井 結衣

目 次

歯科医師と歯科衛生士が連携して行う歯周外科治療と術後メインテナンス 	“タキノ歯科流”Er:YAGレーザー活用法 瀧野 裕行×村井 結衣
タキノ歯科医院では、多くの症例において歯科医師と歯科衛生士が積極的に連携を取りながら治療にあたっています。そんなタキノ歯科医院の歯周外科治療におけるメソッドや、新たに導入された「アドベールSH」の使用感、さらには治療後のメインテナンス方法について、瀧野裕行理事長と村井結衣歯科衛生士にお話を伺いました。

チーム全体でケアしていく雰囲気づくりが大切

[写真] 京都市右京区 医療法人社団 裕和会 タキノ歯科医院 理事長 瀧野 裕行

瀧野 当院では、初診や治療計画の段階から歯科衛生士が関わり、歯科医師と意見を交換しながら治療方針を決めていくことが多いです。例えば、メインテナンス中の患者さんでも「この方はそろそろ外科治療に入った方がいいと思います」などと、歯科衛生士が提案することも珍しくありません。そういう意味では歯科医師と歯科衛生士がうまく連携しながら治療に臨めていると感じています。
村井 先生方が歯科衛生士の考えを受け入れてくださるので、自分たちが持つ違和感などを率直にお伝えし、治療方針を一緒に考えていく流れができていると思います。特に歯周外科治療の場合は、歯科医師、歯科衛生士、患者さんが目指すゴールを共有しながら進めていくものですから、そこにズレがないかを確認する意味で、ちょっとしたことでも相談するようにしています。
瀧野 また、当院では私たちの治療方針に関する提案を受け入れてくださる患者さんが多いと感じます。それはおそらく、歯周外科治療を決して難しいと感じさせないスタンスでスタッフ全員が説明するので、患者さんも安心して受け入れてくださるのだと思います。当院では、このように歯周外科治療などの侵襲度の高い治療に対して、スタッフ全員で患者さんをケアしていく雰囲気づくりを大切にしています。

歯周外科治療を選択する判断基準とは

瀧野 歯周外科治療に進めるべきかどうかの判断基準について、歯科衛生士としてどのように考えていますか。
村井 垂直性骨欠損がSRPだけで治らないとか、BOPや動揺の状態によって判断することが多いですね。先生方の場合はいかがでしょうか。
瀧野 垂直性骨欠損の状態によって難易度も変わってきますし、CTやパノラマ、10枚法写真を比較しながら、本当に歯周外科が必要かどうか、また、仮に歯周外科を行った場合、意図した結果に着地するのかを踏まえて判断します。若い先生は、歯周病がかなり進行してから歯周外科治療に進めることが多いようです。しかし、そこまで待ってしまうと、良い結果が得られない可能性があります。そのため私は、もっと手前の段階で、これ以上進行すると改善が難しくなることを患者さんに説明して、早い段階から歯周外科治療を提案することが多いですね。

“タキノ歯科流” Er:YAGレーザー活用法

[写真] 京都市右京区 医療法人社団 裕和会 タキノ歯科医院 歯科衛生士 村井 結衣

村井 私の入職前から、瀧野院長はおもに歯周外科治療にEr:YAGレーザーを使用されていますね。
瀧野 当院ではもともと「アーウィンアドベール25」(以下:アドベール25)を導入していました。Er:YAGレーザーは特にデブライドメントの際に重宝しています。感染性肉芽組織などは通法だと除去するのにかなり苦労しますが、Er:YAGレーザーを使うことで作業が容易になりますし、歯周外科やインプラントに加えて抜歯窩の掻爬のケースで、Er:YAGレーザーでしっかり掻爬した時とそうではない場合を比較すると骨の治りがかなり違ってきます。殺菌効果とLPSの不活性化が期待できるという点でも歯周治療には有効的な道具ではないでしょうか。他には、歯根端切除やエンドサージェリーなどのケースでも、その効果を大いに感じています。
村井 ソケットプリザベーションのケースでは、Er:YAGレーザーを使用しない場合と比べて、どのくらい違うように感じるのでしょうか。
瀧野 ケースによりますが、皮質骨がしっかりできるまで待つと、約5, 6か月ほどかかるところ、Er:YAGレーザーを使って掻爬すれば、4か月ほどでインプラント埋入が可能になることが多いと思います。当院では、スポンジ状で様々な形の骨欠損部に使いやすいという理由から人工骨に「Bonarc®」を使用するケースが増えていますが、その場合さらに埋入時期を早めることができる印象があります。また、感染性肉芽組織を除去する際、鋭匙などで掻き出そうとすると、目詰まりしながら取り除いている感覚があり、さらにそれを取り除くため、ラウンドバーなどで骨ごときれいにする必要があります。ところが、スメア層の表面を整える感覚でEr:YAGレーザーを照射すると、残したい骨状組織はそのままで、悪い部分だけがはじけ飛んでくれます。剥離していくと一見骨に見えるので、そのまま埋入すれば良さそうな部分でも、Er:YAGレーザーを当ててみると、意外に骨の中に軟組織がたくさん入り込んで周囲を阻害しているケースも見られます。その場合、少し待てば骨に変わる部分も多いと思いますが、クオリティーを考えれば、きちんと掻爬して再度GBRを行う方が良いと考えています。
村井 デコルチケーションの場合、専用のバーを使う先生が多い中、瀧野院長はEr:YAGレーザーで掻爬した後、そのままEr:YAGレーザーを使ってデコルチケーションをされていますね。
瀧野 デコルチケーションは、抜歯窩に行う場合とGBRなどで骨を再生させる欠損部位に対して行う場合があります。抜歯窩では、抜歯後に根尖部分の出血が見られず骨が硬化して治癒が悪くなることがあります。その場合、血液供給を促す意味でも変性し硬化した抜歯窩にデコルチケーションを行って、少し骨を砕いておきます。その際、ラウンドバーでは抜歯窩に使いにくく、回転数によっては熱影響もあります。そこでEr:YAGレーザーを使うことで余分に削りすぎず低侵襲なデコルチケーションが可能で、バーから出てくるオイルによる感染のリスクもありません。GBRの場合も同様です。

症例紹介① 抜歯窩搔爬
    • [写真] 抜歯後、「アドベール SH」にて感染性肉芽組織を除去
    • [写真] 抜歯後、「アドベール SH」にて感染性肉芽組織を除去
    抜歯後、「アドベール SH」にて感染性肉芽組織を除去。(プリセットモード PS600T 40pps/50mj)
  • [写真] 感染性肉芽組織を除去後、「SH」にてデコルチケーションを行い意図的な出血を促す
    感染性肉芽組織を除去後、「SH」にてデコルチケーションを行い意図的な出血を促す。(プリセットモード PS600T 40pps/50mj)

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