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クリニックの電話応対は統一できていますか?
株式会社ロングアイランド 接遇講師伊藤 純子

受付のスタッフが手を離せない時、皆さんはクリニックの電話を取っていますか?あるクリニックでは、電話の子機を複数台配置していて、2回鳴ったら誰でも手が空いているスタッフがすぐに取るようにしていました。迅速な対応で、どのスタッフも電話を取る意識があることが素晴らしいと思いました。つまり、全員がクリニックの代表として同じレベルの応対ができるようにしておくことが重要です。
私はクリニックで研修を行う際、ミステリー調査と称して、患者さんや業者の立場で電話をしています。すると、良い点や改善点が見えてきます。例えば、対応に出たスタッフによって伝えていることや聞いていることが違う、応対者の名前を名乗る方とそうでない方がある、感じの良い方と事務的な方、暗い対応、など、同じクリニックの電話であるのに、印象がバラバラであることがあります。その結果をお伝えすると、院長がご存じでないことが多いです。
接遇マナー研修をすると、電話応対、言葉遣いが難しいというスタッフが多いと感じます。特に、新人スタッフは電話応対に慣れていないため、電話を取ることに気後れしたり、聞くべきことや伝えるべきことを漏らしてしまうことが見受けられます。クリニックの代表として電話に出るためには、家族や友人との話し方と違って、しっかりと名乗り、言葉遣いが丁寧であること、明るい受け答えに加え、必要事項を聞き漏らすことなく、聞き取ることが求められます。

電話応対を上達するためには、慣れることがいちばんです。何度も取っているうちにスムーズに話せるようになります。
電話応対のメリットは、顔が見えないので、スクリプト(応対の流れ、聞くべきポイントを記載した台本のようなもの)を見ながら話せるということです。コールセンターのスタッフは簡単な内容であれば、1, 2日の研修だけで、応対に出ていることもあるようです。そこでスタッフ全員(クリニックによっては受付スタッフ、助手全員)の応対レベルを均一化させ、向上するために、スクリプトを作っておくことをお勧めします。
例えば、
①挨拶 時間帯に合わせた挨拶
②名乗り クリニック名と応対者の名乗り
③用件 相手の要件をしっかりと聴き、復唱する
④相手の確認 名前、患者番号、電話番号など
⑤結果の復唱 予約日時の復唱
⑥必要事項の伝達 保険証、診察券、来院時間(問診票記入のための時間)初診の場合は、検査をして、治療は次回になるなど
⑦締めくくりの挨拶 内容に応じた挨拶
もちろん、クリニックによって、伝えるべき内容、聞くべき内容は違います。それらを漏らすことがないように、スクリプト化しておきます。受付スタッフであれば、そのシートを電話の横に置いておき、見ながら応対し、メモを取るようにすれば、最低限の正確な応対はできるようになります。他のスタッフは、ポイントを書いたメモをユニフォームのポケットに入れておいて、それを見ながら対応をすると良いでしょう。
しかしながら、これは正確な応対をするための方法にすぎません。
クリニックの電話応対は、正確性だけでなく、“感じの良い応対”がとても大切です。正確なやり取りを淡々と行うと、「冷たい、事務的」と感じられがちです。そこで必要となることは、“声の明るさ”、"分かり易さ”、"スピード"、“気持ちのこもった応対”です。
1 声の明るさ 電話ではこちらの顔が伝わらないので、笑顔の代わりに“笑声”が必要です。ワントーン声を上げ、普段以上に笑顔を意識して話すことで、声が明るく伝わります。
2 話すスピード スクリプトに慣れてくると、早口になったり、一方的に話してしまう方も見受けられます。 重要なことは意識してゆっくり話すようにしましょう。
3 相槌 電話では相手の反応が見えないため、反応しないと相手は不安になります。相手が話している内容を受けて、「はい」「そうですね」「ええ」「わかりました」など、適度に相槌を入れることを意識しましょう。
4 感情表現 スクリプトを見ながら話すことで正確性は上がりますが、その分淡々とした話し方になりがちです。挨拶やいたわる言葉、感謝や謝罪の言葉は特に意識して気持ちを込めて話すようにしましょう。さらに、会話の中に接客用語(恐れ入ります ありがとうございます 少々お待ちください お待たせしました など)をできるだけ多く取り入れることで、丁寧さが増します。
この 1~4 がどれぐらいできているかどうかは、なかなか自分ではわからないこともあるでしょう。
そこで、前述のスクリプトを見ながら練習をしてみてください。その際に、ご自身の応対を録音してみることをお勧めします。私の研修では電話応対の練習の際に、ご自身のスマホで録音していただき、それを他のスタッフと一緒に聞いていただきます。すると、ご自身の声が低い、スピードが速い、淡々としている、など今まで意識しなかったことに初めて気づき、他のスタッフからのアドバイスもすんなりと受け入れられるようになります。この方法は手軽で効果のある方法ですので、ぜひ試していただきたいと思います。
そろそろ新人スタッフが入ってくるクリニックも多いと思います。スクリプトを渡すことも必要ですが、このような練習方法を一緒に行うことで、スタッフ同士のコミュニケーションも活性化し、スムーズに馴染ませることができるのではないでしょうか。
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