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第91回(198号)

その対応、本当に「患者さん目線」になれていますか?~新人受付に伝えたい、歯科受付で大切なこと~

株式会社ロングアイランド 接遇マナー講師 伊藤 純子

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その対応、本当に「患者さん目線」になれていますか?
~新人受付に伝えたい、歯科受付で大切なこと~

株式会社ロングアイランド 接遇マナー講師伊藤 純子

歯科医院の受付は、ただ予約を取ったり、会計をしたりするだけの仕事ではありません。患者さんにとっては「医院の顔」であり、来院して最初に接する相手、また最後に言葉を交わす相手でもあります。だからこそ、受付の対応ひとつで「感じの良い医院だな」と思っていただけることもあれば、反対に「もう来たくない」と感じさせてしまうこともあります。
新人の皆さんは、覚えることも多く、毎日目の前の業務に懸命になっていることと思います。電話対応、予約管理、保険証確認、会計、カルテ準備など、慣れないうちは業務の流れを覚えるだけでも大変です。先輩の動きを見て真似をしながら、「間違えないように」「迷惑をかけないように」と頑張っている方も多いでしょう。しかし、新人のうちは、どうしても“形を覚えること”や“作業をこなすこと”に意識が向きやすく、相手の気持ちを考える余裕がなくなってしまいがちです。もちろん、仕事の流れや説明内容をしっかり頭に入れることは大切です。ただ、それ以上に忘れてはいけないことが、「相手は今どんな気持ちだろう」「自分がこの患者さんだったら、どうしてほしいだろう」と考えることです。

例えば、診療の都合で患者さんをお待たせしてしまう場面があります。ただ「少々お待ちください」とだけ伝えられても、患者さんは「あとどれくらい待つのだろう」「忘れられていないかな」と不安になります。しかし、「お待たせして申し訳ありません。前の診療が少し長引いておりまして、あと10分ほどでご案内できる予定です」と理由や状況を一言添えるだけで、患者さんの受ける印象は大きく変わります。
また、後から来られた患者さんが先に呼ばれた時も同じです。説明がなければ「自分の方が先に来たのに」と不満につながりますが、「急患対応のため順番が前後しております」と一言あれば、納得していただけることがほとんどです。
会計の場面でも、「今日はいつもより高いですね」と言われることがあります。その時に、ただ金額を伝えるだけではなく、「本日は検査が追加になったため、前回より少し金額が変わっております」と説明することで、患者さんの安心感につながります。このように、お待たせする時も、会計内容を伝える時も、理由や説明をきちんと伝えることはとても大切です。人は理由が分からないことに対して、不安や不満を感じやすいものです。反対に、きちんと説明を受ければ、多くのことに納得してくださいます。
また、受付でよくある事例として、電話対応に集中していて、来院された患者さんへの対応が遅れてしまう場面があります。電話に出ている間に患者さんが受付の前に立っていても、そのまま電話に集中してしまい、患者さんからすると「気づいているのに無視されている」と感じてしまうことがあります。もちろん、電話対応中ですから、すぐに話しかけることはできません。しかし、患者さんの姿は見えているはずです。その時にほんの少し目を合わせて会釈をする、頭を下げる、目配せをするだけでも、「今対応できませんが、気付いていますよ」という気持ちは十分伝わります。それだけで患者さんは安心してくださいます。反対に、その動作がないだけで、「ずっと立っているのに気付いてもらえない」「感じが悪い」と思われてしまうこともあります。ほんの数秒の気遣いですが、その差はとても大きいものです。
このような小さな気配りの積み重ねは、患者さんとの信頼関係を築くうえでとても大切です。患者さんは、特別なことをされた時よりも、こうした日々の何気ない心遣いをよく見ています。そして、「この人はきちんと自分のことを見てくれている」と感じることで、少しずつ安心感や信頼感が生まれていきます。
何かトラブルが起こった時だけ急に丁寧な説明をしても、普段の関わりがなければ患者さんには言い訳のように聞こえてしまうことがあります。日頃からこうした小さな気遣いを積み重ねているからこそ、いざという時の説明にも耳を傾けてもらいやすくなるのです。
来院された時に「こんにちは、今日は暑いですね」と声をかける。お帰りの際に「風が強いようですので、お気をつけてお帰りください」と一言添える。そんな何気ない会話でも構いません。こうした小さなやり取りの積み重ねが、患者さんとの距離を縮め、安心感や親近感につながっていきます。
患者さんは、「自分のことを覚えてくれている」「気にかけてくれている」と感じることで、医院やスタッフへの信頼を深めていきます。そして、その信頼関係があるからこそ、何かトラブルがあった時にも「きちんと説明してくれている」「この人が言うなら仕方ない」と受け止めてもらいやすくなるのです。
受付の仕事は、ただの事務作業ではありません。患者さんの不安を和らげ、安心して通っていただくための大切な接遇業務です。だからこそ、マニュアル通りに動くだけではなく、「この方には今どんな言葉が必要だろう」「どうしたら安心していただけるだろう」と考えながら対応することが求められます。
最初から完璧にできる人はいません。ですが、ただ仕事を覚えるだけで終わるのではなく、常に患者さんの立場に立って考える習慣を身につけることで、必ず“信頼される受付”へと成長していくことができます。ぜひ日々の業務の中で、「自分が患者だったらどうしてほしいか」を意識してみてください。その小さな気遣いの積み重ねこそが、患者さんに選ばれる医院づくりにつながっていくのです。

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