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第37回(144号)

人間ウォッチングのすすめ ~相手に関心を持つ~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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人間ウォッチングのすすめ~相手に関心を持つ~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

先日、知人と二人でゴルフの練習に行こうと思い、練習場に予約の電話を入れたときのことです。私は左打ちで、知人は右打ちなので、左打席と右打席の予約を入れようと思い、予約の空き状況を聞きました。
あいにく左打席は2時間30分待ち、右打席は一番早い時間だと1時間待ちということでした。当然のことながら、2人で一緒に練習に行くのですから、私の左打席の待ち時間に合わせて、2時間30分後に左も右も予約を入れるつもりでした。
しかし受付のスタッフが電話口で言ったことは、「では右打席の方は15時、左打席の方は16時30分で予約をお取りしますね」と言われました。私はあわてて「いえ、2人でいきますので、どちらも16時30分で結構です」と言うと、「はい、分かりました」と言うのです。
2人、別々に予約を取っているのならともかく、一緒に予約を入れているのですから、当然同じ時間と考えるのが自然ではないでしょうか。
あまりにも機械的で驚きました。このスタッフの方はお客さまのことをまったく想像もしないのでしょう。単に空き時間を確認して自動的に予約を入れようとしているだけです。これであれば、自動券売機で切符を買うのと同じですね。
いつも対応してくれているスタッフであれば、何も言わずとも遅いほうの時間に合わせ、打席も隣の打席を用意してくれます。
スタッフによってこんなにも気の利き方が違うのです。気が利くか気が利かないかと言うのは、相手に関心があるかどうかだと思います。相手が何を望んでいるのか、どういう状況なのかを想像するからこそ、相手にあった対応ができるのです。
先日、ある医院の院長がこんなことをおっしゃっていました。
「スタッフがあまりにも気が利かないので悲しくなる。自分がしていることは、スタッフができていないから、あえて自分がしているのであって、院長がしてくれるから…と思わないで欲しい。言えばやってくれるが、こんなことまで言わなくてはならないのかと思うと情けなくなる」と嘆いていらっしゃいました。
最近、いろいろな職場で同様のことを見聞きします。たとえば、コールセンターの応対指導においても、一部のオペレーターは一方的に説明をして、お客さまのことは置き去りです。誰に対しても同じ説明なので、理解してくれるお客さまもいれば、理解できないでいるお客さまもいるのです。
このようなオペレーターに共通して言えることは「相手のことを知ろうとしない。相手に興味を持たない」ということです。マニュアルにある決められた文言を伝えるだけで、相手の状況や求めていることを質問していないのです。

気が利くというのは、相手に合わせるということです。相手に合わせるためには、自分の伝えたいことを言う前に相手を知ることが大切です。
たとえば、パソコンの説明であれば、話しぶりから初心者だなと思ったら、専門用語を使わずに、丁寧に説明をする、理解したかどうか確認しながら、説明をしていく、お客さまが知っておくと便利だろうなと思うことをあらかじめ伝えておく、などです。
電話であれば、お客さまの状況や求めていることは、質問しなければ分からないことも多いのですが、目の前の患者さんと対応しているのであれば、質問しなくとも観察していれば分かることも多くあるはずです。
たとえば、待合室で落ち着かない様子であれば、急いでいるのかな? と想像がつくはずです。
「お待たせして申し訳ありません。あと○分ぐらいでお入りいただけますが、お急ぎでしょうか?」と一声掛けることができるはずです。
また、チェアに座っている患者さんが身体を固くしているのであれば、緊張しているのかもしれませんし、もしくは寒いのかもしれません。
「寒くないですか? ひざ掛けをお持ちしましょうか?」と一声掛けることもできるでしょう。
私がいつもモリタの患者接遇セミナーにおいて、患者さんとのコミュニケーションをスムーズにできるようにするためにお伝えしていることは、“人間ウォッチングをすること”です。
話すための材料をご紹介し、実習にも取り入れているのですが、どんな話をするのにも相手を知らなければ会話を合わせることはできません。
たとえば、患者さんが学生でいつも日に焼けているなら、何かスポーツをしているのかしら? いつも予約を取るときに、出張の予定を確認している会社員の方であれば、どちらに行かれるのだろう? 小さな子供がかわいいキャラクターのおもちゃを持っていたら、大事なんだろうな? など、相手の様子を見て興味を持つことが大切です。
気付いたことから会話を始めるようにすれば、相手に合わせた会話もできるようになるはずです。そして、興味を持つことで相手が何を望んでいるかも、気付けるようになると思うのです。
今の若い人たちは、他人に関心がないとよく言われますが、人を相手に仕事をしていく以上、相手に興味がなくてはどんな仕事でも通用しません。
“気が利く”という感覚は急に身につくものではないと思いますが、若いからこそ、今からその感覚を育てていただきたいものです。
電車の中や人ごみで、人間ウォッチングをしてみてはいかがでしょうか…。

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