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第41回(148号)

リコール来院率を上げるには?

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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リコール来院率を上げるには?

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

先日、患者接遇セミナーを担当させていただいた参加医院の院長から、「リコール来院率を上げるにはどうしたらよいか」というご質問をいただきました。
様々な角度から対策は考えられると思いますが、患者接遇を指導している私の立場からアドバイスさせていただくとすれば、2つのポイントがあると思います。まず1つ目は『歯石を取ることと、その後のメンテナンスの必要性・効果を患者さんが理解、納得できるようにしっかりと説明すること』です。
リコール来院というと、定期的にお口の中のケアやチェックをすることで、せっかく治した歯をその後も維持し、いつまでも健康な歯を保っていただくようにすることですね。ところが一旦治療が終わり、「次回は歯石を取りますね」と言われていても来院しない患者さんがいらっしゃいます。その多くは、次回の来院の予定を取っていなかったり、予約の時間を決めていても他の用事ができてキャンセルしてしまったりするようです。
おそらく「もう治療は終わっているからいいか」と自分で都合よく考えて、後回しにし、そのうち機会を失ってしまうという方が多いのではないでしょうか。
患者さんは、治療後にしっかりと歯石を取らなくてはいけないことや取らないと何故いけないかという意味、さらにメンテナンスをすることで自身にどんなメリットがあるのかということを十分に理解していないからでしょう。つまりわざわざ行くほどの価値を感じていないのだと思います。
人は納得しなければ、なかなか自発的には動かないものです。だからこそ、その必要性をしっかりと理解してもらうことが大切なのです。治療後にリコールのためのお知らせはがきを送ることも、来院を忘れていた方に思い出していただくためには良いですが、やはり歯石を取ることやメンテナンスに価値を感じていない方は行こうとしないでしょう。
ではいつ、どのように、その説明をするのか。まずは最初の治療計画を説明する時です。治療を始める前に、今回の治療内容の説明と同時に、どれぐらいの期間がかかるのか、費用はどれぐらいかなど、患者さんの納得と理解を得ることが大切ですね。その際にメンテナンスの重要性と効果についてしっかりと説明してから治療に入ることがポイントです。
治療の必要性を自ら実感して来院されているのですから、治療を受けるモチベーションは高いはずです。その高いうちに、歯石を取ることやメンテナンスについてしっかりと理解をしてもらうのです。口頭の説明だけでなく、資料を使ったり、説明書きをお渡しすることも有効でしょう。
さらに治療が終了した時にも今後のことについて再度、“患者さんにとってメンテナンスが何故必要か、どんな効果があるか”ということを改めて説明し、納得していただくことが必要です。さらに次回の来院の予約を取っておくこともお勧めします。それらを実施した上でのリコールはがきであれば、忘れ防止にもなり効果的です。
もう1つのポイントは、『患者さんとの信頼関係を築いておくこと』です。以前、患者接遇セミナーに参加してくださった歯科衛生士のお一人がこんなことをおっしゃっていました。「私が何度指導しても聞いてくれなかったことを、ドクターが言ったら、一回で聞いてくれた。ショックでした」。

その歯科衛生士の方はとても真面目に仕事に取り組んでいる方ですが、患者さんとのコミュニケーションは苦手のようでした。彼女は伝えるべきことはしっかりと伝えていましたし、作業もきっちりと行っていました。しかし、それはどの患者さんに対しても同じ説明と対応、つまりマニュアル的な対応だったのです。もちろん正確に仕事をすることはとても大切なことですが、それ以前に患者さんとの信頼関係が築けていなかったことが問題だったのです。
人は好感を持っている人の話は聞こうとするものです。好感を持っていなければ、たとえ良いことをアドバイスされたとしても素直に聞き入れようとはしないので、信頼関係を築くことは難しいでしょう。では好感を持っていただくためにはどうしたらよいのでしょうか。
実は“応対マナーが良い”だけでは不十分です。患者さんのことを、どの人にも同じ対応をするのではなく、“個”としてみているかということです。その患者さんが、前回話していたことや体調、紹介者などを覚えていて、それを会話の中に織り交ぜる、その方や状況に合わせて話し方や表情を変えていく、つまり“○○さん”への対応というように一人ひとり接していくことが大切です。
そうすることで、人は自分のことを覚えてくれている、自分に興味を持ってくれている、自分のことを理解してくれていると感じるようになり、好感を抱くようになるものなのです。そのように接していく中で、その患者さんにあった説明の仕方をしていけば、患者さんも“自分のために言ってくれている”という気持ちが強くなり、耳を傾けてくださるようになるのではないでしょうか。
このように、1つ目のポイントである、“歯石を取ることと、その後のメンテナンスの必要性を患者さんが理解、納得できるようにしっかりと説明すること”というのも、信頼関係が築けている上ではじめて効果が出てくるのです。
リコール率を上げるための手段として、はがきを出す、電話をかけるなど、手間や費用をかけることの前に、まずは日頃からの患者さんとのコミュニケーションを大切にしていくことから始めてみてはいかがでしょうか。

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