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第48回(155号)

スタッフ全員が参加する医院経営 ~その3~ タブレット端末の活用

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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スタッフ全員が参加する医院経営
〜その3〜最近のタブレット端末の活用

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

最近は歯科医院や病院などでもタブレット端末を活用しているところを見かけるようになりました。
問診表の記入をタブレット端末で直接入力してもらい、電子カルテに反映させたり、患者さんに治療方法を提案し、説明して合意を得て治療を進めていくために使用しているようです。
歯科では具体的にどのように活用されているのかを体験するために、私もその説明を受けさせていただきました。
その歯科医院では、矯正やインプラントなどの治療を検討している患者さんにはアポイントを取り、時間を設けてドクターが説明をしていました。
まず助手の方が治療のチェアに案内し、タブレット端末を私に手渡します。そしてタブレットの操作の仕方を簡単に説明し、治療の進め方と使用する材料、費用、治療期間と通院期間の目安などの説明を見るように促します。画面は自動的に動いていきます。一つひとつの文章をじっくりと読んでいると、まだ読みきらないうちに次のページに移っていきました。
途中まで読み進んだところで助手の方がいらして、「ドクターから詳しく説明がありますので、聞いてみてください」と言って、ドクターと入れ替わりました。
『まだちゃんと見ていないんだけど…』と思いましたが、ドクターは先ほどタブレットで見た説明に加えて私の口腔内を鏡で見せながら、「方法として2つありますが、ひとつは〜、もうひとつは〜、○○さんの場合はこの歯とこの歯のサイドをそれぞれ削って…」と具体的に説明していただいたので、治療の方法、進め方についてはよく理解できました。
ただ費用については、チェアに座っていて資料も見ていない状態でしたから、なかなか突っ込んだ質問はできませんでした。
実際に説明を受けてみて感じたことは、タブレット端末を活用し説明を事前に見せることでドクターを待っている時間を活用していること、ミラーを使ってその患者に合わせた説明をしていることが良いなと思いました。
ただ残念なこととしては、タブレットを渡され、一方的な説明から入ったことや、画面が自動で進んでいくためにじっくりと見たい部分を見返すことができなかった点でした。またタブレット端末になじみのない方にとっては戸惑うこともあり、説明の内容に集中できないのではないかとも思いました。
そしてチェアに寝ている状態で説明を受けると、どうしても治療をする側と受ける側という受身の体勢、心理状態になり、こちらからの質問はなかなかしにくいものだなとも感じました。
実際に患者さんの立場に立って体感してみると、画面は自分のペースで動かすことができると良いなとか、費用や期間、通院する回数などについてはもう少しリラックスした空間で、話しやすい雰囲気を作り、画面や資料を見ながら対面で話をしたほうが話しやすく質問しやすいな、などといろいろ改善点は見えてくるものです。

先日お会いした方の歯科医院でも電子カルテへの入力にタブレット端末を取り入れたそうですが、途中から手書きと併用されるようになったとのことでした。患者さんによっては入力に戸惑う方がいらっしゃるので、その場合は紙に書いていただきこちらで入力をしたり、電子カルテだけではうまく表現できないことは添付した写真に手書きで図を入れるなど、手書きとの併用をするようになったとのことでした。
また企業研修においてタブレット端末を取り入れ、テキストをなくしたところ、受講者からはその場で書き込みたいことがメモできないとの意見も上がり、改善検討中だということでした。
便利で効率的になるツールを積極的に取り入れていくことは良いと思いますが、かえって理解しづらくなったり、手が掛かってしまっては意味がありませんね。
最近は年配の方でもパソコンやタブレット端末を使っている方も増えてきているようですが、まったく使ったことがない方もまだまだいらっしゃいます。
最近の流行だからといって即取り入れるのではなく、患者側の立場になって体感してみることが大切ですし、またどの部分に取り入れると効果的なのか、メリットとデメリットをよく検討して慎重に取り入れていくことが大事ですね。
そしてタブレットに限らず、皆さんの医院に新しいツールを取り入れたり、作成するときには、ぜひスタッフ同士で使用する際のロールプレイング(役割演習)をしてみてください。
使う側、見る側に立ってみることで、より患者さんがわかりやすい説明ツールをスタッフ全員で模索しながら作っていくことも医院経営においてとても重要なことです。
次回は、患者さんが話しやすい空間、コミュニケーションのとり方についてお話したいと思います。

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