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第79回(186号)

物販は苦手ですか?~喜ばれる提案~

株式会社ロングアイランド 接遇講師 伊藤 純子

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物販は苦手ですか?
~喜ばれる提案~

株式会社ロングアイランド 接遇マナー講師伊藤 純子

最近TVを見ていると、オーラルケア商品のコマーシャルが増えたと思いませんか?歯磨剤、洗口液、歯ブラシ、歯間ブラシ、口腔洗浄器など…。あるオーラルケアブランドが20~60代800名+電動歯ブラシユーザー200名を対象に行ったオーラルケアに関する実態調査によると、約半数がコロナ禍で「お口の健康を見直したい」と考え、4人に1人は「以前に比べてオーラルケアの意識が高まった」と回答したそうです。 またコロナ禍でオーラルケアにかける費用を追加した人が全体の22.0%と、自宅でできるセルフケアにお金をかけるようになっているという結果が出ているそうです。ドラッグストアに行くと何十種類ものオーラルケア商品が並んでいます。市場のオーラルケアに対する意識は高まっていて、アイテムをいろいろ使っている方も多いようです。一方で「ペーストとジェルの違いは?」「私に合う歯磨き粉は?」「歯間ブラシとデンタルフロス、どちらでもよいの?」など、よくわかっていないこともあるのではないでしょうか?
あるクリニックでの研修で診療の様子を観察しました。メインテナンスが終わった後、歯科衛生士の方が患者さんに「こちらは、今皆様にお勧めしている歯間ブラシです。いかがですか?」とお勧めしていました。すると患者さんは「それは何ミリですか?」(結構詳しい!)と聞いてきたのですが、その歯科衛生士は「……。書いていないのでわからないですね…」と回答していました。これではせっかくお勧めしても患者さんは購入しようとは思わないですね。当の本人も商品を提案することに苦手意識があり、勧めづらそうでした。
メインテナンスをすることによって患者さんのお口の中を良い状態に保つことは歯科スタッフとしての願いだと思います。しかし来院時にどんなにきれいに口の中を掃除しても、患者さんが普段のお手入れを上手くできていなければ、良い状態に持っていくことは難しいでしょう。その患者さんに適した歯磨きの仕方やケア商品をお勧めすることは必要だと思いますが、口腔ケア商品を勧めるタイミングが悪かったり、商品知識が不十分だと、患者さんは「セールスされた!」と感じてしまうかもしれませんね。

そこで商品をお勧めする時のポイントをお伝えしましょう。

①商品知識をしっかり備える
  • 複数ある商品の特徴や違い、どのような症状、年齢の方に適しているのか。
  • 市場で売られている商品との違い、価格(ネット通販での価格との比較など)
  • メリットとデメリット(デメリットがあればそれを補う商品:日中と寝る前とで使うものを変えるなど)
  • 使い方、使うタイミングなど

患者さんの中にはテレビCMやネットでの情報で、ある程度の知識を持っている方もいらっしゃいますので、最低限、上記の知識は備えておきましょう。

②商品を説明する前にすべきことは“ヒアリング(相手を知ること)”
いきなり商品の説明をしたり、誰に対しても同じ説明をするのではなく、その患者さんの状況、お口の中の状態に合わせて説明することが大切です。「いつもどのように磨いていますか?」「どんな歯磨き粉、歯ブラシを使っていますか?」など、その患者さんの現状を知り、その方に合わせた説明ができるようにしましょう。
③説明するタイミングも重要
メインテナンスの1回目、正しい歯磨きの仕方を指導する時などにオーラルケア商品を勧める、と決めている方もいると思います。しかし必ずしもその時ではなくてよいかもしれません。患者さんから質問されたときはもちろん、患者さんのお口の中で、良くない状態や磨き残しの癖が見受けられるようになった時はオーラルケアアイテムをお勧めする適切なタイミングです。
④患者さんのお口の中の状態、年齢、ライフスタイルに合わせて説明する
ヒアリングで聴き出した患者さんの良い点はそのまま続けるように促し、症状や磨き方の癖がある場合には、それらを引き起こしている原因を説明します。人は自分に当てはまる説明に興味を示します。その上でその患者さんの症状を改善するためにどのような磨き方、どのような口腔ケア商品を使うとよいかを説明します。例えば「これはクリニックでお勧めしているデンタルフロスですが、この歯とこの歯の間は狭いので歯間ブラシは入りにくいと思います。フロスを使うと狭い隙間でも入りやすいので汚れが取れやすくなりますよ」など、患者さんの状態に合わせたお勧めの仕方をすることで患者さんの納得度が上がります。

いかがですか?これらのポイントを押さえてお勧めすることで、“売りつけている”というネガティブな気持ちを持つ必要がなく、患者さんにとっては“教えてほしかった情報”つまり喜ばれる提案となるのです。技術を提供するだけでなく、歯科スタッフだからこそできるサービスです。
もちろん言うまでもないことですが、これらの話を聴いていただける信頼関係を日頃から築いておくことは大切ですね。しっかりと商品知識を備え、患者さんに喜ばれる提案をしてみませんか。

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