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第83回(190号)

五感を意識して第一印象をアップ~嗅覚が与える影響~

株式会社ロングアイランド 接遇講師 伊藤 純子

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五感を意識して第一印象をアップ
~嗅覚が与える影響~

株式会社ロングアイランド 接遇講師伊藤 純子

歯科医院の口コミを見ていると、患者さんが初めて行った歯科医院に対して少なからず第一印象が影響していることが分かります。「クリニック内はとても清潔で気持ちが良い」「受付のスタッフが明るくて感じが良い」「先生が優しく、丁寧に説明してくれるので安心」というように、特に最初に受けた印象は残りやすく、その後の評価や判断に影響を与えます。逆に、最初に行った時の印象が悪ければ、別のクリニックを探そうとするのではないでしょうか。
コミュニケーションを図るうえで、第一印象の決め手になる要素は目からの情報が55%、耳からの情報が38%、話の内容が7%の割合で影響を与えると言われています。目からと耳からを合わせると、93%。影響力がとても強いことが分かります。もちろん丁寧で分かりやすい説明は最も重要なのですが、それができていたとしても、見た目の印象や話し方が良くないと、せっかくの説明も信頼性に欠けてしまうかもしれないのです。クリニックを清潔に保つこと、スタッフの表情や話し方、立ち居振る舞いを磨いていくことは重要です。
人間には、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚といった5つの感覚があり、先ほどお話しした視覚、聴覚以外にも、おろそかにできない感覚があります。これら5つの感覚のうち、人がその感覚を忘れていく順番をご存知でしょうか?
“聴覚→視覚→触覚→味覚→嗅覚“の順番だそうです。つまり“におい(匂いor 臭い)”はいちばん記憶に残りやすいということです。なぜなら嗅覚は五感の中で唯一脳へ直接伝わる感覚だからだそうです。

歯科医院が苦手な人の理由の一つに“歯医者さん独特のにおいが苦手”という意見があります。これは治療に使う薬品の“におい”でクローブ(歯科業界ではユージノール)のにおい成分だそうです。私たちは“におい”を最初のうちは敏感に感じられますが、ずっとその場にいることで感覚が鈍感になり、あまり感じなくなります。ですから歯科医院で働く皆さんにとっては全く気にならないことかもしれません。しかし初めてそのクリニックに入った方は敏感に感じ取っているはずです。この“におい”が気にならない方もいますが、幼少期にこの“におい”の中で治療をされて痛い思いをした経験のある方にとっては、この“におい”を嗅ぐだけで、その時の痛みや風景がよみがえってくることもあります。そのため、「歯医者さんの“におい”が苦手」と思うのかもしれません。
ある歯科医院で「化粧室がいつ行っても良い香りがしていて、あえて行っていました」という言葉を患者さんから聞いたことがあります。私もそのクリニックの化粧室がとても良い香りで癒された経験があります。
このように最近では、「待合室で待っているときや化粧室に行ったときの良い香りで落ち着く」といった患者さんの声を耳にするクリニックがふえてきているようです。これらのクリニックは、先ほどのような“歯医者さんのにおいが苦手”という患者さんに配慮し、空気清浄機を置くだけでなく、意図的にリラックスできる効果のあるアロマなどを選んで使用しているそうです。患者さんが癒される、前向きになれる、といった効果のあるアロマはモチベーションが上がりそうですね。
しかし、“におい”の影響は場所や薬からだけではありません。人から発する“におい”の影響もあります。 あるマーケティング会社の行った調査によると、『香りで第一印象が変わったことがある?』に『はい』と回答した方が半数以上だったそうです。つまり2人に1人が“におい”によって影響を受けたということです。良い香りで印象が良くなるのであればよいのですが、きつい香水や体臭、口臭といった“におい”によって第一印象が下がってしまうことは避けたいものですね。
皆さん、特に歯科医師、歯科衛生士、歯科助手の方々は患者さんとの距離がかなり近くなることが多いと思います。患者さんが歯周病であったり、むし歯があったりすることで、治療中にその“におい”を感じることが多いと聞いたことがあります。一方で患者さん側からも同様の声を聴くことがあります。「治療中、先生からお酒臭い“におい”がした。二日酔い?ちゃんと正確に治療してくれるの?」 「メインテナンスを受けた時に歯科衛生士の方の口臭が気になった。自分のケアはちゃんとしているの?」など、不信感に繋がりかねないことです。
ちなみに同調査で『良い香りに気づいたシーンは?』という質問に対する回答の1位は『すれ違った時』、2位は『初めて会う時』でした。限られた空間、狭い空間でのすれ違い、接近の多い歯科医院だからこそ、自身の“におい”には気をつけたいですね。
まだまだ残暑は厳しく、出勤するだけで汗をかいてしまうと思います。香水でごまかすのではなく、汗取りシートを使ったり、ユニフォームの洗濯時の香りに配慮するなど、日々のちょっとした気遣いで、自身の印象を上げることができるのではないでしょうか。「明日は仕事があるので飲みすぎないようにしよう、ニンニク料理など臭いのきつい食事は避けよう」など、自分をコントロールすることは相手に対するマナーであると同時にプロ意識とも言えます。
クリニック、スタッフの印象を上げるために、“におい”に意識を向けてみてはいかがでしょうか。

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