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第84回(191号)

予約が取れない歯科医院~スタッフにできる工夫~

株式会社ロングアイランド 接遇講師 伊藤 純子

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ASSISTANT ASSISTANT

予約が取れない歯科医院
~スタッフにできる工夫~

株式会社ロングアイランド 接遇講師伊藤 純子

評判が良く、患者さんが絶えないというクリニックがあります。しかし、「次の予約は1か月先と言われた。そんなに間を開けて本当に大丈夫なの?」「もう何度も通っているけど、いったいいつになったら終わるのかしら…」「痛いから診て欲しいのに、9日先になると言われた」など、患者さんからの不安や不満の声があることも事実です。
予約が4か月先まで取れないという人気のレストランは、そのお店の価値は高まり、何としても行ってみたいというお客様が増えていきます。しかし歯科医院の場合は、通院してもらい治癒させることが目的です。治療には適切な期間が必要ですし、何より緊急時の対応もしなくてはいけません。その点で一般のサービス業と大きな違いがあります。また、他の医療機関との違いもあります。そもそも歯科は内科や眼科などと比べて、一人当たりの治療時間が長いのが一般的です。次回までに問題が出ないよう一区切りの処置をして終わらせる必要があるため、少なくとも30~60分の治療時間をとっているクリニックがほとんどです。
あるクリニックに新規の患者さんから電話があった時のことです。「予約が取れるのは1か月先になります。ご都合の良い日はありますか?」と平然と対応していました。スタッフにとっては当たり前の状況になっているのだと思いますが、患者さんは困惑すると思います。「お電話いただきありがとうございます。大変申し訳ないのですが、現在予約が大変込み合っておりまして、予約をお取りできるのが○日以降になってしまいますが、よろしいでしょう?」と“、申し訳ない“という気持ちを言葉に込めてお伝えすれば、内容によっては受け入れていただけるかもしれません。緊急性のある症状であれば、内容に応じて他院をお勧めするのが誠意ある対応でしょう。このように予約が取れない状況が続くということは、歯科医師やスタッフ、チェアユニットの数が足りないのかもしれません。しかし、現実問題としてすぐには解決できないこともあるでしょう。このような状況の中でスタッフにできることはないでしょうか。

①治療内容に応じて予約のコントロールをする
予約枠の取り方は平均的に30~60分の枠で取っているクリニックが多いと思います。初期のう蝕、抜歯を伴う治療、根管治療、印象採得など、所要時間、回数や期間も違います。60分枠で取っていても、55分かかる治療もあれば20分くらいで終わる治療もあるでしょう。そこで受付のスタッフは各々の治療時間を把握する必要があります。例えば55分かかる治療の後に同様の治療の予約を入れると、治療が長引いた場合、次の患者さんの治療も後ろに押してしまい悪循環が出てしまいます。そこで治療内容と所要時間を把握したうえで、長引きそうな治療と短いであろう治療を組み合わせて予約を入れるよう調整します。もちろん理想通りにはいかないこともありますが、これらを意識して行うのと、ただ空いているから入れるというのでは、明らかに違ってきます。例えば、それぞれの治療ごとに色を決めてスケジュール表に入れていくことで、急患を受け入れる隙間時間が見えてくるかもしれません。何より待たせることを少なくするメリットがあります。そのためには、歯科医師、歯科衛生士と打ち合わせをし、所要時間や要望を共有しておくことです。複数の歯科医師がいる場合は、歯科医師ごとに所要時間が違ったり、要望が異なる場合もあります。これらの情報を把握したうえでスケジュール調整をしていくことが受付の力量と言えるでしょう。
②キャンセル対策をする
せっかくスケジュール調整をしても安易にキャンセルをされてしまっては空き時間が出てしまったり、新たに予約を取り直さなくてはなりません。クリニックとしてのキャンセルポリシーを決め、しっかりと患者さんに理解していただきましょう。初診の患者さんには問診票記入のために15分前に来ていただく、遅れがちの方には10分前に到着していただくよう促す、またメインテナンスの時間に空きが出た時にはLINEなどの手段で一斉に空きがあることをお知らせするシステムを取り入れるなど、キャンセルや遅延によるリスクを減らす工夫をしましょう。
③治療計画をあらためて説明する
それぞれの治療において所要期間、通院回数は違います。歯科医師やカウンセリングスタッフは最初に説明をし、患者さんの理解と納得を得て、通院に対する優先順位を高めてもらうことが重要です。また治療室で歯科医師が説明をしたとしても、あらためて受付でポイントを説明し、患者さんのスケジュール調整をお願いします。来院に都合の良い時間帯や曜日を聞き、あらかじめ先の予約を入れておいていただくことも有効でしょう。また期間を空ける必要がある場合や、逆にあまり空いてしまうと治療に支障が出てしまう場合があることも、内容に応じて説明することで患者さんにも全体の期間や回数のイメージ、キャンセルすることによるデメリットを再認識していただきましょう。
このように、スムーズな治療、スケジュールの組み立ては患者さんの協力、理解で成り立っていると言えます。予定の時間通りに来院してくださる患者さんを気持ちよく出迎え、ご都合を合わせてくれた時にはしっかりと感謝の言葉を伝えましょう。お待たせしてしまう時には「いつも時間通り来てくださっているのにお待たせして申し訳ありません」、また予約変更の連絡をくださった時には、「ご連絡ありがとうございます。次回まで少し間が空いてしまいますが、その間、お口のケアをしっかりとなさってください。もしお痛みなど何かありましたらご連絡ください」など、フォローをしておくことも患者さんとの信頼関係を高めることに繋がります。スタッフにできる工夫を考えてみませんか。

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