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皆さんの職場は気持ちの良い空間ですか?
株式会社ロングアイランド 接遇講師伊藤 純子

クリニックの印象として“キレイである、清潔感がある”ということは患者さん目線からとても大切なことで、どこのクリニックもかなり気を配っていると思います。しかし、実際クリニックの内側(バックヤードやスタッフルームなど)はいかがでしょうか。院長室やスタッフルームの机の上には書類やモノが積み上げられている、通路や階段に段ボール箱などが積み上げられている、そんな光景を目にすることがあります。このような状況の中で、何がどこにあるかを皆さんは把握できているのでしょうか。
年末の大掃除はどこのクリニックもされていると思いますが、掃除をすることに精一杯で、ファイリングの見直しやモノの整理にまでなかなか手が伸びなかったというクリニックもあると思います。掃除と整理整頓、収納は違います。どんなに埃を拭いたり、モノを整え、表面的にきれいになったとしても、収納の仕方を工夫していなければすぐにモノは積み上がり、雑然としてくるのではないでしょうか?

あるクリニックのストックルーム(治療に使用する器材や石膏、印象材などが置かれている棚)で、歯科医師が何かを探しているようでした。3段目の箱に手を伸ばし、次に2段目、1段目、それでも見つからず、また4段目を探してやっと見つけて診療室へ戻っていきました。
また、ある歯科衛生士が患者さんに提案した商品のサンプルを診療室から離れたストックルームに取りに行っていました。さらに、ある時は歯科衛生士が施術中にフロスが切れたようで、他のキャビネットにあるフロスを取りに行っていました。
このように探している時間や必要なものを取りに行っている時間はほんの少しの間かもしれませんが、少し無駄なように思えました。備品や薬剤、口腔ケア製品のサンプルなどの箱が無造作に置かれていたり、種類が違う製品が同じ一つの箱に入っていると、探すための時間がかかります。もちろんスタッフの皆さんはどのあたりに何があるかということはある程度把握していると思います。しかし、新しく入ってきたスタッフにとってはどうでしょうか?その都度、何がどこにあるのかを聞かなくてはなりません。職場で複数のスタッフがいる場合、モノを収納するルールが必要かと思います。
まず、“モノの住所を決めること” “使う頻度の高いもの、関連するモノは近い位置においておくこと”、そして“使用したら必ず元の住所に戻す”ということです。使ったものを元に戻す、という当たり前のことから始めるだけでも、探し回る時間やストレスが軽減されるはずです。同時に在庫管理も必要です。いつも使用するモノが手元に少なくなってきたら、次の治療が始まる前にすぐに補充することを心がけておくと良いでしょう。
次に、“エリア分けをする“ということです。あるクリニックのバックヤードで、材料や用品、サンプルの箱のすぐ横にスタッフの飲み物やお菓子が置かれていて、折り重なっている光景を見たことがあります。裏口の下駄箱の上にパソコンが置かれていて、その横に掃除道具が置かれているなど、とても雑然としていました。患者さんのためのスペースを優先するために、どうしてもバックヤードが手狭になってしまうのは仕方ないことですが、やはり、診療に使うものとスタッフの私物などはしっかりとエリアを区切るべきでしょう。
棚を付ける、ついたてを作る、収納ボックスやトレーなどで区分けするなど、モノの種類や関連に応じてエリアを分ける、グルーピングする(関連するモノを纏めてグループにする)ことですっきりとするはずです。さらに、分かりやすく、すっきりと見せるための工夫として、収納のボックスを揃えることをお勧めします。エリア分け、グルーピングをしていても並んでいるボックスの色や形が様々だと、ごちゃごちゃに見えてしまいます。また、大きさの違う箱を並べると、つい別の箱を上に乗せてしまい、せっかく整頓したモノが入り混じって、一目で見つけられなくなることもあるでしょう。
先日あるクリニックで、スタッフの皆さんと一緒に整理整頓、収納の状況チェックをしました。すると口腔ケア製品のサンプルが箱に雑多に詰め込まれていました。サンプルをもっと活用するためにも、患者さんにすぐにお渡しできるよう、各チェアサイドに配置しておくことをお勧めしました。
商品や備品については、消費することが多いものは、丈夫な収納ボックスに商品名や材料名を書いたシールを貼る、もしくは箱に書いてある商品名を切り取って貼り付けるなどして、必ずその箱に入れるようにすると、すぐに見つけて取り出すことができます。
さらにボックスの色を統一する、エリア(治療に関係のあるもの、スタッフ個人のものなど)や種類、内容などに応じてボックスを色分けして区別すると見た目にもすっきりします。
とはいえ、職場の整理整頓、収納は一人の力では難しいと思います。皆が使う場所ですから、自分たちでルールについて話し合うことから始めてはいかがでしょうか。一度にやろうとせず、場所やモノに応じて少しずつ取り組んでいきましょう。毎日働く場所です。理想通りにはならないとは思いますが、少し工夫することで仕事の効率も上がり、ゆとりが生まれると思います。少しでも、動きやすく、働きやすい、気持ちの良い空間づくりを目指してみてはいかがですか。
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