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自信が持てないあなたへ
~スキルに悩むときのヒント~
株式会社ロングアイランド 接遇講師伊藤 純子

私は歯科の専門家ではありませんが、接遇マナー講師として多くの歯科医院に関わらせていただいています。外から診療現場を観察する立場だからこそ、気づくこと、見えることがあります。
その中でよく耳にするのが、「自分のスキルに自信が持てない」「このやり方でいいのか不安になる」という、歯科衛生士さんたちの声です。
これはけっして珍しいことではなく、現場で真剣に患者さんと向き合っているからこそ生まれる、ごく自然な悩みです。

一人で診療する現場の“孤独”
歯科衛生士の仕事は、ある程度自立してくると、基本的には『患者さんと自分だけ』で進めることがほとんどです。新人の頃は先輩のアシストについたり、ほかの歯科衛生士のやり方を近くで見て学ぶこともできますが、ひとり立ちするとそれが難しくなります。
他の歯科衛生士が「どのような説明をしているのか」「どんなふうに会話をしているのか」「自分とはどう違うのか」、そういった学びのチャンスが減ってしまうと、自然と「自分のやり方で合っているのか?」「もっと良い方法があるのでは?」と、不安を抱きやすくなるのです。
多忙な毎日で、振り返る時間が持てない
とくにメインテナンス中心の診療スタイルでは、分刻みの予約で日々の業務に追われがちです。患者さんの処置を確実にこなすことに集中するあまり、スキルアップや他のスタッフと意見交換する余裕が持てないという声も少なくありません。
一方で、勉強会や相互実習の時間を勤務時間内に取り入れているクリニックもあります。学びの機会が日常の中に組み込まれている環境では、スタッフ同士で技術を共有したり、自分の説明の仕方を見直すきっかけにもつながり、結果的に大きな自信となっていくようです。
小さな工夫が、自信を育てる第一歩に
では、自分の職場ではどうすれば良いのでしょうか?
ここでは、実際に現場で見てきた『学びの工夫』をいくつかご紹介します。
○ 院内ミニ勉強会
週1回でも30分でも、テーマを決めて知識や工夫を共有する場をつくると、学ぶ側も発信する側も刺激になります。
○ 相互実習・ロールプレイ
歯科衛生士同士で施術をし合い、患者さん役の立場を体験することで、言葉の選び方や説明の分かりやすさに気づけることもあります。
○ 他スタッフの診療見学
患者さんの了承を得たうえで、他の歯科衛生士の診療に立ち会う時間を設けるのも効果的です。「なるほど」と思える発見がたくさんあります。
○ 接遇の意識を少しだけプラス
「目を見て話す」「今から行うことに対する説明をひと言添える」「終わったあとに“お疲れさまでした”とねぎらう」、これだけでも患者さんの安心感がぐっと高まります。
これらの時間を取り入れることが自分たちの成長につながることを勇気を出して、院内で提案してみましょう。
技術だけではない、信頼をつかむ“もうひとつの力”
個室の診療室があるクリニックで、対照的な二人の歯科衛生士さんを見学したことがあります。
一人は、施術前に軽く雑談を交えて患者さんをリラックスさせたり、「今日の歯ぐきの状態を見ながら進めますね」と丁寧に声かけをしていました。患者さんは終始リラックスした様子で、「またお願いしますね」と笑顔で帰られました。
もう一人は、手技は正確でスムーズでしたが、言葉数が少なく、無言の時間が長く続いていました。患者さんはやや緊張した様子で、どこか不安そうに見えたのが印象的でした。
この違いは『技術力』ではなく、『接遇』に対する考え方や取り組み方の違いです。つまり、信頼を築く力もまた、“磨くことができるスキル”なのです。
昨日より一歩、前に進めたなら大丈夫
最後にお伝えしたいのは、「自信がない」という気持ちを否定しないでほしい、ということです。他人と比べるのではなく、“昨日の自分”より少しでも前に進めたかを意識してみてください。不安を感じるのは、それだけ真剣に患者さんと向き合っている証拠です。そして、あなたのその想いに共感する仲間も、きっとすぐそばにいます。
接遇も技術も、どちらも『後から伸ばせる力』。だからこそ、一人で悩まずに、ちょっとだけ誰かに聞いてみる、話してみる、真似してみる・・そんな一歩が、必ず自信に変わっていきます。
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