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歯科DXのあり方とは〜事例を交えてご紹介〜

歯科におけるDX

厚生労働省が進める医療DX

厚生労働省は、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために以下の取組を行っています。

  1. デジタルヘルスケアの促進:医療情報のデジタル化や電子カルテの普及など、
    デジタルツールを活用して医療サービスの質を向上させるための取り組みが行われています。
  2. 健康情報の共有・連携の強化:医療機関間や患者と医療機関の間での健康情報の円滑な共有・連携を促進し、
    診療の迅速化や医療の連携強化を図っています。
  3. AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の活用:医療診断や治療においてAIやIoTを活用し、
    効率的な医療サービスの提供を目指しています。
  4. 診療報酬の改革:DXを進めるにあたり、診療報酬制度の改革を行い、
    デジタル技術の導入を促進する仕組みづくりを進めています。

これらの取組により、効率的で質の高い医療サービスの提供を目指し、医療のデジタル化と連携強化を進めています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001118552.pdf

医療機器のデジタル化
(デジタルデンティストリー)

歯科医院におけるデジタル化は通称『デジタルデンティストリー』と呼ばれています。

具体的な例としては、口腔内をスキャナーで撮影してタブレットなど端末の画面上で状態を確認し、さらには歯の状態を計測して3Dプリンタで歯列模型や補綴物を作成する技術などです。
さらに計測したデータをAIアルゴリズムで解析して、最適な歯列模型の制作などを行うことなどもできます。

従来の歯科医院では、治療行為だけでなく、歯列模型や補綴物などを製造するためのスキルが必要でした。
現在も人間の手を介した作業が多いものの、人間が行うことができる作業には量的にも質的にも限界があります。

デジタルデンティストリーが進み、歯科医院で行われる作業や取り扱うデータを可能な限りデジタル化することで、以前よりも物事を効率的に進めることができるようになりました。

歯科医院におけるデジタルデンティストリーの技術はまだまだ未知数であり、今後さらなる発展が期待できる分野です。
今後多くの歯科医院が生き残りを賭け、デジタルデンティストリーに積極的に取り組んでいくことでしょう。

デジタル化のメリット

歯科医院をデジタル化することによってデータを整理・保存・共有できるため、歯の治療行為をこれまでよりも効率化できる点が最大のメリットです。

歯の治療法や歯科技工にはさまざまな種類があり、その多くは歯科医師や歯科技工士などの手を介して行われていました。
例えば歯列模型を作成する際においても、歯科医師が取った印象に石膏を流し込み、完成した模型に歯科技工士が手を加えるなど多くの作業や人の手が必要でした。

しかしながら、IT技術の発達とともにデジタル対応の医療機器が開発され、デジタル機器によるデータの電子化が進むことによって、歯科医院の治療行為も圧倒的に効率化できるようになってきました。

治療行為が効率化されることよって、患者の治療に対するストレスや不安が軽減され、より快適な歯科治療が可能になることが期待できます。また、業務効率化によりコストの削減にも繋がるでしょう。

デジタルデンティストリーに代表される技術

デジタルデンティストリーに代表される技術として、具体的に以下のような機器等が挙げられます。

  • 口腔内カメラ/スキャナー
  • 3D印刷(3Dプリンタ)
  • デジタルラジオグラフィー・レントゲン
  • CAD/CAM
  • ミリングマシン

https://d.dental-plaza.com/archives/8764 より抜粋

MDS Morita Digital Solution モリタが進めるDX 詳しくはこちら

歯科DX実践事例
「会計から問診まで」

「まる歯」田中理事長が推進する受付業務のDX化

[写真] 医療法人社団 まる歯 渋谷歯科 田中 健久 理事長
医療法人社団 まる歯 渋谷歯科
田中 健久 理事長

日本の人口は、2050年には現在の約1億2400万人から1億人を切るまでに減少すると言われています。生産年齢比率が低下し、近い将来人手不足がさらに深刻になることは間違いないでしょう。従来のマンパワーに依存した働き方ではやっていけない時代がもうそこまで来ています。
私はそうした人手不足に対応するため、院内設備のデジタル化や省力化を中心とした業務効率化に早くから取り組んできました。その範囲は医院運営全体に及び、DX化は着々と機能しつつあります。
今回は、主に受付業務が担当する「予約」「来院・診療受付」「問診」「会計」の分野で実践している取り組みについてご紹介していきましょう。

予 約電話対応を減らしWebやEメール中心の体制にシフト

当院では早い段階からWeb予約システム「Genifix(ジニフィクス)」を導入し、現在本格的に活用しています。
予約だけでなく質問や相談をすべて電話で受けてしまうと、その間スタッフの手が完全にふさがってしまい、医院にとっては大きな痛手です。また、電話だと「言った・言わない」など患者さんとのトラブルに発展することもあるので、当院ではEメールによる対応を基本にしています。Genifix導入後は、1名でも余裕をもって受付業務をまわすことができるようになりました。
さらに、患者さんはスマートフォンアプリ「Myはいしゃさん」をお使いいただくことで、場所や時間に制限されず次回予約や変更も可能ですし、デジタル診察券やリコール通知を含めた医院からのお知らせを配信できるなど、医院と患者さん双方に大きなメリットがあると感じています。

  • [写真] 「Genifix」の予約画面
    「Genifix」の予約画面。次回の治療内容などをシステムが自動判別し、空き状況を表示。
  • [写真] 「Myはいしゃさん」のデジタル診察券
    「Myはいしゃさん」のデジタル診察券を使えば来院手続きや会計処理がさらにスピーディに行える。
来院・診療受付来院・診療受付システムを導入し業務負担を軽減

来院・診療受付業務もこれまでスタッフの負担は大きく、その軽減手段としてらくらく受付システム「Genicept(ジニセプト)」を新たに導入しました。患者さんは受付のタッチパネルに用件をタッチし、受付でお待ちいただきます。診療時間になると自分の名前と診療室の部屋番号がモニターに表示され、その案内に従って診療室へと入室します。
今では大学病院や大型病院で同様のシステムが導入されていることも多く、高齢の方も慣れておられますし、「患者さんが戸惑ってしまうのでは?」と心配される必要もありません。その他、患者さんの来院状況や待合室の様子も「院内View」で確認できるのでスタッフが受付に常駐する必要もなくなり効率的な対応が可能になりました。

  • [写真] 来院受付機に用件をタッチ
    来院受付機に用件をタッチし、デジタル診察券をカメラにかざすことで受付完了。
  • [写真] 画面表示で診療室に誘導
    順番がきたら音声と画面表示で診療室に誘導。
  • [写真] 「院内View」により、院内状況を見える化
    「院内View」により、院内状況を見える化。
    患者さんの状況をスタッフが把握できる。
問 診ペーパーレス実現・入力ミス防止のほか、収集データをリスティング広告などに応用

省力化・ペーパーレスを推進するため、問診には問診票入力システム「OwletableⅡ(オウレットエイブル2)」を導入しています。患者さんがタッチするだけで入力でき、その情報はデンタルオフィスコンピュータ「DOC-5 PROCYON3」のSOAP情報と同期されるので、カルテ入力の手間がありません。名前や住所など個人情報も患者さんが入力するため、入力ミスの心配もなくなりました。
さらに、利用価値が高いと感じるもう一つの理由は、患者情報を収集し統計が取れるところです。患者さんの年齢、性別、居住地、主訴などのデータを収集・分析することで広告のリスティングにも応用できます。例えば、データによると、渋谷歯科では若い患者さんが多く、主訴もう蝕による疼痛が多いことが分かっていますから、それに即した広告を展開することで効率的な集患も可能になります。まさに“一石三鳥のシステム”と言えるでしょう。

  • [写真] タブレットに表示された問診内容
    タブレットに表示された問診内容に患者さんご自身でタッチして入力していただく。
  • [写真] さまざまな分析材料
    入力された内容は集計され、さまざまな分析材料やリスティング広告などにも応用可能。
会 計受付スタッフを介さず自動精算、省力化と違算防止を両立

お金を扱う会計業務はスタッフにとって精神的な負担が大きい業務の一つです。その負担を一気に解消する「自動精算機」の導入効果は計り知れないものがあると感じています。
購入コストや維持管理費などでためらう方も多いようですが、優秀なスタッフを1人雇用したと考えれば、数年後には十分ペイできるのではないでしょうか。
先にご紹介した「Genicept」と連携することで精算案内表示も可能ですし、「Myはいしゃさん」のデジタル診察券を「自動精算機」にかざすことで、いっそうスピーディな会計が可能になりスタッフだけでなく患者さんにも好評です。

  • [写真] 診療が終わるとすぐに会計へ
    診療が終わるとすぐに会計へ。デジタル診察券を使えばさらにスピーディな会計が可能に。
  • [写真] 受付スタッフの負担を大きく軽減
    つり銭のミスも解消され、受付スタッフの負担を大きく軽減。

https://www.dental-plaza.com/academic/dentalmagazine/no186/186-1/ より抜粋