167号 WINTER 目次を見る
2014年12月に地元である西京極で開業して以来、地域の皆様が安心して歯科治療を受診できる環境と技術を追求してきました。器具の消毒滅菌はもちろん、配水管や歯科設備の水回りを除菌するオゾン水を取り入れるなど「当たり前のことを当たり前にできる歯科医院」であり続けることを信条に、お口のことでお悩みの患者さんの症状に合わせて長期にわたってお口の健康を維持する治療を提供しています。
そうした治療を実現するうえで欠かせないのが診断力と治療計画です。当院では歯科用CT「ベラビューX800」を導入し、主にインプラントや根管治療、智歯の抜歯の診断の際に使用しています。時間をかけずに簡便な操作で鮮明な画像が得られるので重宝しています。
インプラントの術前診断の際には埋入部位の骨の状態や骨幅、下歯槽管までの距離が計測できますし、根管治療では通常のデンタルでは見分けにくい根尖病巣の範囲や大きさを明確に把握することができます。さらに智歯の抜歯では重要な血管や神経の走行、歯の向き、方向、位置が正確に確認でき安心して抜歯することができます。
また、治療計画については、治療が必要な部分だけにフォーカスするのではなく、例えばインプラント1本を埋入にも常に全体の中の一部分として捉えてきちんとした全顎的な計画をたてることが重要だと思っています。インプラントがいかに信頼できる治療法とはいえ天然歯に勝るものはないと考えていますので、「まず天然歯をどうやって残すか」を第一に考え、できる限り手を尽くして抜歯しない手だてを模索することになります。その方針で勉強し設備を加えたりしていく中で、近年は根管治療にも関心を持って取り組んでいるところです。
図1 初診時口腔内写真。不良補綴も多く、ペリオ、咬合不正が存在する。
図2 初診時5枚法写真。
図3 初診時パノラマ写真。全顎的な治療が必要と考えられた。
図4 初診時デンタル写真。根管治療の不備で根尖病変が存在。
図5 長期的な予後を求めるためには初期治療を確実に行うことがまずは重要となる。
図6 右下のインプラント。高解像度のCTを使用することで、皮質骨、海綿骨まで明瞭に見分けることが可能。
しかし、いくら手を尽くしても保存できないケースももちろん存在します。その場合は「申し訳ありません、この歯はどうしても残せないので抜歯させていただきます」と患者さんに誠意を持ってお話しし、インプラントなどの欠損補綴をお薦めするようにしています。
インプラントは、開業の際に価格がリーズナブルで導入しやすく強度的にも信頼の置けるインプラントという基準で検討し、主に臼歯部にはSPIシステムを使用しています。SPIはインプラントとアバットメント間のマイクロギャップが小さいので細菌の温床となるリスクが少なくインプラント周囲炎になりにくい構造になっていることも長期的な安定に繋がっている理由だと思います。さらに、モリタが取り扱っていますから何らかのトラブルが発生した場合に迅速に対応してくれることも利点の1つでしょう。
ただ、いくら精度の高いインプラントを使って治療できたとしてもあくまで人工物ですから、定期的なメインテナンスを行わず放置してしまえば長期的に良好な予後は求められません。トラブルを未然に防ぐために、患者さんの状態に合わせたセルフケア指導と歯科衛生士による定期的なメインテナンスを徹底することも重要なカギとなります。
開業から4年、地域の人々の健康を守っていけるような良質な歯科医療を提供するべく邁進してきましたが、これからも地域の方に「あの歯科医院にいけば安心だ」と思っていただける、そんな歯科医院を目指していきたいと思っています。
図7 右下インプラント埋入状況。
図8 左上インプラントの術前シミュレーション。
図9 ほぼシミュレーション通りに埋入されており、「ベラビューX800」の精度の高さを感じさせる。
図10 治療終了後、約6ヵ月経過。患者さんは「よく咬めるようになった」と満足しておられた。
図11 同時期の5枚法写真。上下顎前歯部、右上ブリッジは保険内での治療だったため、機能的、審美的にはやや不十分である。
図12 治療終了時のパノラマ写真。長期的に維持すsるためには今後のメインテナンスが重要になる。
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