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第32回(139号)

リーダーになったら⑥ ~Response(応じる)~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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リーダーになったら⑥~ Response(応じる)~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

指導上でリーダーに意識してほしいコミュニケーション『リーダーになったら』も6回目になりました。最終回の今回は「Response」、つまり応える、すぐに応じる、ということがテーマです。
今春入った新人の方も、ようやく職場に馴染んでこられた頃ではないでしょうか。すでに基本的な作業や、対人応対においての常識的な対応はできるようになってきていることかと思います。
受付の方であれば、職務基準で言う【初級段階】にそろそろ進んでいる頃だと思うのですが、皆さんの医院の新人の成長度合いはいかがですか?
随分前の話しになりますが、私が担当させていただいているモリタの「患者接遇セミナー」で、次のようなスタッフにお会いしました。
その日のクラスには、歯科医院での仕事を始めて約半年たった方が5名いらっしゃいました。3名は同じ医院で、後の2名の方は別の医院の方でした。同じくらいの経験なのですが、前者3名の方と、後者2名の方の成長度合いが大きく違うと感じたことを覚えています。
研修がスタートし、内容に応じて受講者に質問を投げかけたり、意見を聞いたりするのですが、その中でもこれらの方々の発言や質問の内容、反応はかなり違っていました。
一方は本当に半年もたっているのかしら、というぐらいまだまだ未熟な印象がありましたが、別の医院の2人はとても意欲的で半年の経験とは思えない程しっかりとした意見や考え、意欲をお持ちでした。同じ経験年数で、なぜこんなにも差が出てくるのでしょうか。
もちろん本人の資質という部分は大きいと思いますが、それだけではないはずです。新人の受け入れ態勢や、指導の仕方によっても、成長度合いは違ってくると思うのです。
皆さんの医院では、新人の“指導計画スケジュール”というものはあるでしょうか?指導計画を立てるうえで、平均的な大まかなスケジュールも目安として必要ですが、それを参考にしながら一人ひとりの性格や経験によって、それぞれに合った目標を持たせて指導していくことがより良い成果を出すためにはさらに必要となってきます。
例えば、ある医院では新人に日報を書いてもらっているそうです。その日報には、その日の患者数や急患の対応数、予約の時間からお待たせした時間、その日気づいた患者さんのこと、患者さんからの質問で答えられなかったことなど、その日の状況を書きます。
さらに、自分でできるようになったこと、困ったこと、自信がないこと、そして、次に学びたいこと、やってみたいこと、その日感じたことを自由に書いてもらっているそうです。これは決して、院長がスタッフを管理するためのものではありません。あくまでも自分の振り返りであり、自分のために書くものなのです。
院長や先輩スタッフはそれに目を通し、コメントを書くそうです。書き方は、その日の状況以外は、自身の思いや感じたことなど日記風に書いてもよいとのことでした。ですから、院長や先輩スタッフのコメントも、堅苦しいものではなく、話しかけるような内容です。

この方法は“見える化日報”といって、企業などでも導入されている方法だと聞いたことがあります。
人には「誰かに認めてもらいたい、聞いてもらいたい」という欲求があります。職場においてもコミュニケーションを求めているのです。会話が少ない、思うように伝わらない、時には怒られる…。自分の思いが伝わらないと、場合によっては「自分は認めてもらえていない」という感情にも陥りやすいものです。
時々「せっかく教えてこれからだと思ったのに、突然やめてしまった」という話を聞くことがあります。しかし、恐らくそれは、突然ではないはずなのです。多くの場合、原因は職場の人間関係だといわれています。新人の抱えている不満や悩みを聞いてあげ、心情を理解してあげる人間がいないことが原因です。理解が得られず孤立し、ついにはやめてしまうことになるのです。
なかなか顔を突き合わせて話す機会をもてなくとも、日々の日報の中に文字で書くというのであれば、毎日でも考えていることや困っていることを気軽に伝えられるのではないでしょうか。そして指導する側も、スタッフの状況や気持ちを常に把握し、タイミングよく褒めて上げたり、声がけや指導ができるのです。
例えば、自信を失いかけていることを察知できれば、その自信の回復のためのフォローができますし、また「次に○○ができるようになりたい」という意欲が見えたときには、タイミングよく指導し、できるようになったことを褒めてあげることも可能です。
新人が感じていること、疑問に思っていることや落ち込んでいる時、意欲を出している時にすぐに対応していく、すぐに応えてあげることが新人のモチベーションアップにもつながっていくはずです。
この“見える化日報”はスタッフの思いを単純に何でも聞いてあげて、認める、甘やかすという意味ではありません。自分の考えていること、不満や意見を伝え、それに対して、本人の意見や考えを尊重しながら、自発的に考えて、行動していくことを求めることが目的です。
“見える化日報”を思いに応える、タイムリーに応じていくコミュニケーションの手段として、個々にあわせた指導の計画を作る材料として、活用してみてはいかがでしょうか。

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