教えて!澤先生vol.01
「今さら聞けない?オンライン資格確認のこと -後編-」
歯科保険点数のプロとして活躍されている澤 奈緒子先生をお招きし、歯科医院の受付関連業務にまつわる疑問やお悩みについて解説していただく「教えて!澤先生」企画。
資格確認の基本をおさらいした前編に続き、意外と知らない(?)マイナ保険証が使えない場合の対処方法や便利な機能を、元モリタ営業部・稲葉が歯科医療の現場目線で伺いました!
この記事の目次
「マイナ保険証が使えない」を、さらに深掘り!
稲葉 「今さら聞けない?オンライン資格確認のこと -前編-」では、各種資格確認ツールの役割や違いについて、わかりやすく解説していただきました。
そして後編では、マイナ保険証が使えないケースをさらに深掘りしていきたいと思います。
澤先生、よろしくお願いします!
澤先生 よろしくお願いします!

マイナ保険証なしでの受付対応の流れ
稲葉 ではまず、カードリーダーやネットワークの不具合などによって、マイナ保険証が使えないときの受付対応についてお伺いしたいと思います。
澤先生 マイナ保険証が使えない場合の対応は、4つあります。
対応① 「資格情報のお知らせ」を提示してもらう
前編でもお話したとおり、マイナ保険証が使えない場合の補助的な確認方法として、「資格情報のお知らせ」というものが配布されています。

「資格情報のお知らせ」イメージ(厚生労働省HPより引用)
こちらの赤い線で囲っている箇所を切り取ってマイナ保険証とセットで持ち歩き、マイナ保険証が使えないときは両方提示していただく、というのが理想ではあるんですよね。
そのうえで、マイナ保険証が使えない、「資格情報のお知らせ」も持っていない、という場合の対応をご説明しますと…
対応② マイナポータルの画面を提示してもらう
こちらのマイナポータルの画面をスマホなどで提示してもらうことで、受付が可能になります。

デジタル庁公式noteより引用
「資格情報のお知らせ」も持っていない、マイナポータルの画面も提示できないとなると…
対応③ 再診の場合は口頭確認→オンラインで確認ができればOK
レセコンに登録されている再診の患者さんであれば、口頭確認のうえ、オンライン資格確認で受給資格の確認がとれれば受診できます。
対応④ 初診の場合は「被保険者資格申立書」の提出を
過去の履歴がない初診の患者さんは、十割負担、もしくは「被保険者資格申立書」に記入して提出していただく必要があります。
「被保険者資格申立書」というのは、患者さんが「自分は保険資格を持っています!」と申し立てをし、その場で十割負担にならないようにするための書類です。

厚生労働省HPより引用
稲葉 この「被保険者資格申立書」って、医院さんで印刷して用意しないといけないんですよね。
澤先生 そうなんです。印刷して患者さんに記入いただくと、特例としてその場で三割負担になります。
上に掲載した原本を印刷、もしくはこちらからダウンロードしてご活用ください!
これまでの話をまとめると、こういった流れになります。

厚生労働省HPより引用
稲葉 ちなみにモリタでは、ユーザーさま向けにこんな解説ページを公開しています。
「マイナンバーカードで資格確認ができなかった場合の患者登録・診療入力について」

保険の加入有無からはじまるフロー図が載っていて、レセコンの入力方法などもご紹介しています。
こちらもぜひ参考にしていただきたいです!
澤先生 すごい!これはわかりやすいですね!
オンライン資格確認って、実はこんなに便利!
澤先生 ここからは、私が「これは絶対に知っておいていただきたい!」と思っているお話です。
みなさん、マイナ保険証をお持ちでない方でもオンライン資格確認ができるってご存じですか?
さまざまなクリニックを訪問して受付の方々とお話してみると、「マイナ保険証の提示があるときだけオンライン資格確認をしている」というケースが意外と多いんですよね。
でも実は、従来の健康保険証や資格確認書でも「今、その保険情報が有効かどうか」をオンラインで確認できるんです!
稲葉 このお話、知らないままだと、ちょっともったいないですよね。
澤先生 そうなんです!このあとのお話をしっかり読んでいただいて、皆さまのクリニックの運用について一度確認していただきたいです!
稲葉 まず、マイナ保険証がある場合の資格確認は、「マイナンバーカードをカードリーダーに入れる→顔認証などで本人確認を行なう→現時点で有効な保険証情報をレセプトに取り込む」という流れですよね。
澤先生 そうです。患者さんの同意があれば、薬剤情報や検診情報も取り込むことができます。
そして、次が本題!意外と知られていない「マイナ保険証がない場合の資格確認」です。
実は…
「資格確認書」から保険証情報を目視で確認
↓
レセコンに手動で登録
これだけで、その情報が現時点で有効かどうかを照会できるんです!
さらに、再診の場合は、過去に登録した保険情報をもとに照会することも可能です。
ただし、薬剤情報や検診情報は取り込めません。ここが、マイナ保険証がある場合との違いですね。
稲葉 つまり、オンライン資格確認には、レセコンに登録されている保険証情報(氏名・生年月日・性別・保険者番号・記号・番号・枝番など)が現時点で有効かどうかを、その場で照会できる機能もある、ということですね。
たとえばモリタのレセコンでは、入力情報がまちがっている場合、こんな画面が表示されます。

※例
澤先生 こういった「Yes / No形式」のような表示ですぐに確認できるので、「あとから間違いに気づく」というケースが減って、誤請求の防止につながりますね!
稲葉 私も「オンライン資格確認の浸透にともなって、手入力による誤請求が激減している」という話を聞いたことがあります。
澤先生 誤請求が少なくなったことに加えて、いわゆる「レセプト振替」という新しい仕組みの影響もあって、資格喪失などによる返戻が激減したのを体感しています。
実際にレセプト作業の効率化にもつながっていて、私もとても助かっています!
「レセプト振替」まかせはNG!必ず行なうべき対応
澤先生 ちなみに「レセプト振替」とは、資格喪失後の受診などで返戻になっていたレセプトを、返戻せずに新しい保険へ自動的に振り替えて処理してくれる機能です。
こうした仕組みによって、以前に比べて返戻が減ってきているのは事実なんですが、
注意したいのが「システムがすべて自動で対応してくれる」わけではないこと。
レセプト振替によって自動処理されたレセプトを確認し、修正しておく必要があるんです。
具体的には…
①オンライン請求システムから「資格確認結果連絡票」をダウンロード
②新しい保険者番号などの内容を確認
③該当患者の登録情報を修正
こういった業務が必要になります。
来院時のオンライン資格確認とあわせて、「資格確認結果連絡票」も毎月必ず確認し、登録情報を整えておいていただきたいです!
稲葉 正直、オンライン資格確認って「何ができるのか、どんなメリットがあるのかが、まだ十分に現場へ伝わっていない部分も多いのかな」という印象がありました。
ここまでのお話を含めると、他にも業務の効率化につながる場面がたくさんありそうです。
澤先生 本当にそうですね。いろいろと煩雑に感じられることもあるかもしれませんが、この対談を通じて、疑問やお悩みを少しでも解決していけたらうれしいです!

オンライン資格確認は「医療DX」の入り口
稲葉 「教えて!澤先生」第一回は、オンライン資格確認の基本について伺ってきました。
澤先生、いかがでしたか?
澤先生 楽しかったですー!ちなみに、今回お話したオンライン資格確認は、どんどん進んでいく医療DXの入口でもあります。
医院さんにとって、オンライン資格確認等を通じて手術情報や薬剤情報などの診療情報を確認できることや、事務作業の効率化につながるといったメリットがあります。
「医療DXって難しそう」「よくわからない」と思われることもあるかもしれませんが、これからの現場にとって、とても大切なテーマだと感じています。
この連載を通じて、医療DXについても、一緒に学びながらできるだけわかりやすくお伝えできたらうれしいです!
稲葉 そうですね。医療DXのお話を含め、お伺いしたいことはまだまだ山ほどあるので、ぜひ次回からもよろしくお願いします!
澤先生、本日はありがとうございました!
澤先生 こちらこそ、ありがとうございました!!

【澤 奈緒子先生 プロフィール】
歯科衛生士 / 歯科保険点数専門+shiroq(シロク)代表
レセコンメーカーで約20年、インストラクターや営業、新人教育を担当。その後は歯科ディーラーを経て、先生方の「保険制度が分かりにくい」という声に応えるため独立。現在は保険点数のサポートやセミナーを通して、現場に寄り添い、診療を支えるサポートをしている。
[略歴] 新東京歯科衛生士学校卒業
2003年 株式会社ジーシーアイコミュニケーションズ入社
2022年 DMAサプライ株式会社入社 / 臨床
2024年 歯科保険点数+shiroq(シロク)開業