173号 SUMMER 目次を見る

沖縄県中頭郡 アドベンチストメディカルセンター
歯科衛生士
喜屋武 利香
歯科衛生士
柴田 恵
私たちは主に矯正歯科を担当する歯科衛生士です。一般的にブラケットなどの矯正装置を装着するワイヤー矯正を行う場合、セルフケアにテクニックが必要なこともあり、通常の患者さんに比べ、う蝕や歯肉炎のリスクが高くなる傾向があります。特にカリエスリスクの高い患者さんの場合、その傾向が顕著に現れるため、当院では、すべての患者さんを対象に、治療前の唾液検査を実施し、リスクファクターであるう蝕菌や唾液緩衝能などを調べるようにしています。
ただ、ご自身のブラッシング技術では口腔内の汚れをキレイに除去できない方は年齢を問わずいらっしゃいますから、前回のデンタルマガジンでご紹介した「ソニッケアー」をセルフケアにお使いいただくようにしています。
さらに今回は、矯正治療中の患者さんに、電動デンタルフロス「ソニッケアーエアーフロス」を実際にお使いいただきましたので、その使用感について症例写真を交えながらご報告いたします。
「ソニッケアーエアーフロス」には「エアーフロスウルトラ」(以下ウルトラ)「エアーフロス8000」(以下8000)の2種類がラインナップされています。
患者さんにお薦めする前に私たちも試してみましたが、ウルトラの方が噴射される水とエアーが優しい感じなのに歯間部の汚れがキレイに除去できているように感じました。ウルトラに搭載されている高速3連続噴射機能の効果によるものと思われます。ノズルは8000に比べて少し長いのですが、その分太くなっているので近距離でも角度を安定させた状態で当てることができます。
一方、8000は噴射する水とエアーのパワーが強く、最初は少し驚きましたが、こちらも歯間に詰まった歯垢や食べカスをキレイに除去してくれました。ノズルがウルトラに比べて細くなっているので、狙った部位にピンポイントで当てることができ、手早く歯間部分をケアしたい方には8000が有効かもしれません。
「ソニッケアーエアーフロス」には機能別に2種類のモデルがラインナップされている。
では、実際の症例写真をご覧いただきましょう。今回はウルトラと8000の両機とも使用していただきました。写真の左側が8000で右側がウルトラです。今回は、染め出し後に、コンタクト部分を矯正ワイヤーの上下(歯肉側と切端側)に分け、それぞれ2回ずつ(ウルトラは2連射で1回、8000は連続2回)行いました。その後、ブラケット周りの4辺(ブラケットの上下と両サイド)をそれぞれ1回ずつ当ててみました。
患者さんは中学一年生ですが、両タイプとも当て方に特別なテクニックを必要とすることもなく、「使用後に口の中が爽快になって気持ちいい」とその後もその爽快感が病みつきになり、引き続き毎日楽しみながらお使いいただいています。さらに、以前から「ウルトラの方が使いやすい」とという感想でしたので、あえて当てづらい右側にウルトラを使用してもらいましたが、それでもウルトラの方が使いやすかったと話してくれました。
仕上げ磨きとしてソニッケアーでブラッシングを行うことで、ブラケット周りに残っていたプラークをほぼ除去することができました。
ブラケットなどの矯正装置が装着された口腔内はとても複雑なため、これまで毎日のセルフケアに時間がかかりストレスも大きくなりがちでした。「ソニッケアー エアーフロス」なら、コンタクト部分に当てるだけ、とても手軽に使え、時間短縮につながります。気になるプラークの除去効率も「ソニッケアー エアーフロス」の使用後、試しに歯間ブラシを通してみたところプラークはほとんど取れなかったことから考えて、少なくとも歯間ブラシと同程度には除去できていると感じています。
どんなツールにも言えることですが、「まず自分たちで実際に試してみること」が大切だと常々感じています。実際に「ソニッケアーエアーフロス」では、私たちが当初想像した以上に爽快感を得ることができました。矯正患者さんに従来から処方している「ソニッケアー」と併用してご使用いただくことによる相乗効果も大いに期待しています。
また、矯正患者さんに限らず、オーバーフロスが気になる方へ新たなセルフケアツールとしてもご提案できそうです。
今後ともこうした新たな口腔ケアツールを積極的に導入していくことで、引き続き患者さんの口腔環境の改善に務めていきたいと考えています。
患者さんはブラケット矯正中の中学一年生(女性)。ブラッシングなしで染め出しした状態。
8000はノズルの先が細くなっていて狙った部位にピンポイントで当てやすい。
ウルトラはノズルが少し長い分太くなっているので、近距離でも安定してポイントに当てることができる。
ウルトラ(右)、8000(左)ともにコンパクトなノズルで大きく開口することなく、臼歯部までアプローチできる。
左側(8000使用)。エアーフロス使用後、ソニッケアーにて仕上げ磨きを行った状態。
右側(ウルトラ使用)。エアーフロス使用後、ソニッケアーにて仕上げ磨きを行った状態。
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