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Interview

スペースライン発売60周年特別企画 「ヘルスケアゼロ(HC-0)」を目標に掲げ、その達成に必要な診療環境を構築

東京都中央区 小伝馬町の歯医者さん 高橋歯科医院 院長 髙橋 恒明/歯科衛生士 髙橋 明日美

目 次

東京都中央区 小伝馬町の歯医者さん 高橋歯科医院

  • [写真] 院長 髙橋 恒明
    院長 
    髙橋 恒明
  • [写真] 歯科衛生士 髙橋 明日美
    歯科衛生士 
    髙橋 明日美

<移転開業の理由>

2024年3月に、父の代を含めて45年間診療を続けてきた神保町(東京都千代田区)から、小伝馬町(東京都中央区)への移転開業を果たしました。それは「ヘルスケアゼロ」(以下:HC-0)という究極のゴールを目指すためです。本稿では、その目標のために、私たちがいかにして必要な診療環境を整えていったのかについてお話ししていきたいと思います。

[写真] 高橋歯科医院の外観

「HC-0」を目指すきっかけ

神保町での歯科医院では、新患は来ても治療が終われば来院が途切れ、短期治療を繰り返すことになってしまい、うまくいかず悩んでいました。そこで多くのセミナーを受講する中、『すぐ身につくミラーテクニックのコツ』に受講したきっかけで、麻生昌秀会長のIDP勉強会に参加し始め、歯科治療の方法、歯科医療の考え方を学んでいきました。
特にDr.Beachが提唱した医療の介入の必要のない健康な状態を目指していく「HC-0」という考えに感銘を受けました。
そしてそれを実現するためには、「どんな高度な治療をしても、患者さんの健康観が上がらなけば医療として成り立たたず、そのためには患者さんが自分の病気を理解し、自らの健康を守れることが必要」という医療観が生まれました。

ゼロを基準に歯科診療を組み立てる「Dental Performance Logic based on 0」

そんな中、移転することが決まり、自分の医療観を達成するため、図1に示すような、患者さん自身に病気を理解してもらい、患者さんの自立を促すための「カウンセリングエリア」、持続可能な精密治療のための「診療エリア」、安心安全な「歯科医院のシステム化」という3つのコンセプトを掲げました。
それには、近年モリタが提唱している「Dental Performance Logic based on 0」に基づく新たな医院構築が不可欠だと考えました。
「Dental Performance Logicbased on 0」とは、ゼロを基準に歯科診療を組み立て、人間の動きを最適にコントロールすることによって、最も高いパフォーマンスを得ると同時に、歯科医療全体としてのパフォーマンスも向上させることで歯科医療の究極の目標である「HC-0」に、より早く、より着実に近づけ、実現しようという考え方です。
以前の診療室では、パーテーションで区切るだけで、患者さんのプライバシーも考慮せず診療室に誘導していました。チェアユニットの背板を倒してトレーやライトの位置をセッティングし、ようやく治療がスタート。診療ポジションは低く、アシスタントは立っているため、スタッフ全員が腰を悪くしてしまったこともありました。そして、治療中に何度も患者さんを起こして口をゆすいでもらい、また背板を倒してトレーやライトの位置をセッティングし直して…、それを延々と繰り返していました。ここでは患者さん、スタッフ、術者の心地良さ、人間本来の動きを考慮したムリ、ムダ、ムラの排除、あるいは効率性などは何も考えられていませんでした。さらには、十分なインフェクションコントロールができていないという引け目も感じながら日々診療をしていました。それが、「Dental Performance Logic based on 0」を基準に、麻生先生の指導のもと、医院設計を行うことで激変したのです(図3, 4)。
ここでお伝えしたいことは、医院構築のためには確固たる医療観を持ち、それを達成するための治療レベルや質、患者さんとの関係を構築する必要があり、それを踏まえた歯科医院の配置や動線、チェアユニットなどの診療器材を決定していくことが重要であるということです(図2)。
それでは、私たちがどんな歯科医院をつくり上げてきたかについて、次ページ以降で解説していきましょう。

  • [図] HC-0 私の医療観
    図1 患者さんの行動変容を促すために3つのコンセプトを掲げ、「HC-0」を実現するためのクリニック構築を目指すことになった。
  • [図] 「HC-0」という医療観と「人間の行動」があり、初めてチェアユニットなどの診療器材の選択に至る
    図2 「HC-0」という医療観と「人間の行動」があり、初めてチェアユニットなどの診療器材の選択に至る。
  • [写真] クリニック移転前の状況[写真] 図3 クリニック移転前の状況。勤務医として働いていた移転前のクリニックでは、いわゆる「悪いところだけを見て治す」という診療スタイルで、診療の精度も低く著しく非効率な状態で、極度のストレスに陥った。
  • [写真] クリニック移転後の状況[写真] 図4 クリニック移転後の状況。「HC-0」実現という医療観を持つことで、さまざまな基準が生まれ、理想とする診療環境を構築することができた。

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