教えて!澤先生vol.02
「オンライン請求の落とし穴!?“受付不能”と“要確認”って?」
歯科保険点数のプロとして活躍されている澤 奈緒子先生をお招きし、歯科医院の受付関連業務にまつわる疑問やお悩みについて解説していただく「教えて!澤先生」企画。
第2回のテーマは、オンライン請求の「受付不能」と「要確認件数(以下「要確認」)」について。
無事に請求が完了したと思っていたのに、一部のレセプトが受付されていなかった!
そんなトラブルを防ぐために知っておきたい「落とし穴と対策」を、情報機器インストラクター経験者であるモリタ社員・稲葉が伺いました。
この記事の目次
ぜひ知ってほしい!「受付不能」と「要確認」のこと
稲葉 第1回も前編・後編の二本立てで、現場に役立つお話をじっくり伺った「教えて!澤先生」のコーナー。
第2回のテーマはなんでしょうか?
澤先生 今回は、オンライン請求の際に見落としがちな「受付不能」と「要確認」についてお話したいと思います。
これまでさまざまなクリニックを訪問して、「『受付不能』も『要確認』もすごく重要なのに、知らないまま見落とされている!」「このままでは請求漏れにつながってしまう!」と何度も危機を感じてきました。
ぜひ第2回のテーマとして取り上げさせていただきたいです!
稲葉 わかりました。澤先生、よろしくお願いします!
澤先生 よろしくお願いします!

請求確定前に確認すべき手順とは?
澤先生 毎月のオンライン請求の際、みなさまはどうやって「請求作業が無事完了したかどうか」を判断されていますか?
「レセプトを送信して請求確定ボタンをクリックし、『請求済』になればすべて無事に請求できている」と思われている方はご注意を!
確かにそのとおりではありますが、「請求確定」ボタンをクリックする前に、必ず確認していただきたいことがあります。
それが、今回のテーマである「受付不能」や「要確認」です!
稲葉 「送信」→「請求確定」→請求済の表示を確認したからといって、すべて無事に請求できたとは限らない。実はここにオンライン請求の落とし穴があると…。
澤先生 そうなんです。「受付不能」も「要確認」も、請求確定作業を行なう前に必ず確認し、何かエラーがあった場合は、請求確定前に内容を確認していただくことがとても重要です!
その手順を説明しますと…
手順① 「レセプト送信・状況」→「送信」からレセプト送信作業を行ないます。

※イメージ図
手順② 送信後、「レセプト送信・状況」→「状況」から請求を確定されていると思いますが…

ここです!「請求確定」をクリックする前に、この「受付不能」や「要確認」の件数を必ず確認していただきたいのです!
手順③ 「受付不能」や「要確認件数」が0になっていない場合は、何かしらのエラーがありますので、必ず内容を確認してください!
件数をクリックすると、内容が表示されます。

※「要確認」の画面イメージです。
(受付不能の場合は「エラーまたは確認事項欄」の本文先頭に【受付不能】と表示されます。)
ここを確認していなくて、「受付不能」や「要確認」に気づいていない方が意外と多いんですよね…。
「受付不能」=レセプトとして受付されていない状態!
稲葉 次は、「受付不能」と「要確認」について解説いただきたいと思います。
まず「受付不能」とは、読んで字のごとく「受付できていない」ということですよね?
澤先生 そうです!「レセプトとして受付自体がされていないので、そもそも返戻にもならない、請求できていない」ということです。
原因はさまざまですが…
・ 所得区分の登録まちがい(特記事項欄の記録不備)
・ 公費の負担者番号 / 受給者番号の必要数値が入っていない
などが一般的に多いと感じています。
つまり、レセプトデータ自体に不具合があるため、レセプトとして読み込めない状態なんです。
稲葉 「受付不能=レセプトとして成立していないから受付できないよ」「修正して再請求してくださいね」ということなんですね。
「要確認」=「不備があるかもしれないので確認してね」のサイン
澤先生 一方、「要確認」は、オンライン請求システム上では受付されていますが、内容の確認が必要な状態です。
言い換えると、「受付はされているけれど、不備があるかもしれないから確認してくださいね」という注意喚起です。
たとえば…
・ 施設基準の届出に対し、請求内容(レセコンの設定)に誤りがある
・ 患者名に特定の文字列が使用されている(アルファベット表記でIDが含まれるケースなど)
※テスト患者での請求を防止するため、「テスト」や「ID」などのワードが含まれる氏名が要確認であがってきます。患者名が正しいか確認し、問題なければそのまま請求可能です。
…など、内容の確認が何かしら必要だと判断されたケースに表示されます。
稲葉 たとえば、施設基準の届出状況と請求内容の不一致が疑われた場合、このような内容が表示されますね。

モリタにも…
・届出していないのに〇〇の点数を算定してしまった
・届出したはずなのにレセコンの設定を変更していなかった
といったお問い合わせがよくあります。
澤先生 誤りに気づいたら訂正して請求し直すことができますし、確認のうえで問題ないと判断されれば、そのまま請求することも可能です。
ただ、審査支払機関側が問題ありと判断した場合は、返戻になる可能性があります。
正しい請求のために、「受付不能」と「要確認」の件数が0になっているかを必ず確認していただきたいです!
稲葉 「受付不能」も「要確認」も、手順③の画面をプリントアウトしておくと、より安心ですね。
澤先生 そうですね。
・印刷したものを紙で保管して、「済」などを書き込みながらファイル管理する
・データ管理であればPDF化して、PC内に作成した「済」フォルダへ月ごとに保存しておく
といった方法もおすすめです。
そもそも請求に関連する資料ですので、少なくとも3年間は保存しておいていただきたいです!

待ち時間が長い…そんなときの裏ワザ!?
稲葉 「受付不能」「要確認」って、送信後すぐに反映されることもありますが、年末年始やゴールデンウィーク明けなど、請求が混み合っているタイミングだと、数十分〜数時間待たなければいけないこともあるみたいですね。
澤先生 そう、アクセスが集中して混み合っている状態ですよね…。
そういった場合は、一旦作業を離れることもできます!
「一度ログアウトしたら最初からやり直さなきゃいけない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、送信作業ができていれば「順番待ちをしている状態」にはなっています。
なので、ログアウトして一度PCから離れたり、別の作業をしてから都合のよいタイミングで再ログインしたりしても問題ありません!
ちなみに、送信を取り消すと再度送信作業が必要になるため、そこはご注意ください。
稲葉 このことをご存じなくて、PCの前でずっと待機している方も案外多いかもしれませんね。
澤先生 そう思います。実は私も最近まで知りませんでした(笑)。
注意していただきたいのが、送信完了後に「受付不能」や「要確認」があり、修正が必要だったケースです。
その場合はレセコンのデータから修正する必要があるので、「一旦請求を取り消す→オンライン請求システムからログアウトする→レセコンでカルテを修正して再度レセプトファイルを作成する→オンライン請求システムに再ログインして送信する」といった作業が必要になります。
期限ギリギリに請求しようとしたら、待ち時間が長くて間に合わない…修正する時間がない…といったピンチを避けるためにも、時間に余裕をもって請求されることをおすすめします!
稲葉 モリタでも「再請求の方法」や「待ち時間が長い場合の対応」について、Q&Aコーナーでくわしく解説しています。ぜひこちらも参考にご覧ください!
再請求の方法
待ち時間が長い場合の対応
待ち時間が長く表示され、時間を置いて改めて請求確定したい場合
レセプトの請求権は約5年!
稲葉 今まで「受付不能」「要確認」を見落としていた場合は、かなりの件数、金額が請求できていない可能性がありますよね…。
澤先生 そうなんです。「知らなかった…!」と青ざめる方もいらっしゃると思いますが、レセプトの請求権は約5年とされていますので、基本的にはさかのぼって再請求が可能※です。
※詳細は管轄の支払機関/国保連合会へご確認ください。
見落としていた方は、なるべく早く確認されることをおすすめします!
何度でもエラー確認ができる「確認試験」活用のススメ
澤先生 「『受付不能』や『要確認』の件数が多い」「事前にエラー内容を確認しておきたい」といった場合は、「確認試験」を活用して事前に確認しておくのもおすすめです!
「確認試験」とは、実際には請求されないものの「受付不能」や「要確認」をあらかじめ確認できる、本番に近いテスト環境のことです。
本番請求時の画面にある下段のアイコンをクリックすると…

このように、本番環境とそっくりの画面が表示されます。

稲葉 本番環境とは違い、アイコンが赤くなっているのが特徴ですね。
澤先生 オンライン請求と同様、毎月1日〜5日はアクセスできませんが、逆にいうと、それ以外の日は何度でもテストが可能です。
そのため、「月末最終日にエラーがないかを確認し、レセプト点検と同時にエラー内容も修正しておく」という活用方法もあります!
稲葉 それなら繁忙期でも慌てなくて済みますし、エラーのない状態で送信できるという安心感にもつながりそうですね!
澤先生 私自身もこちらで事前確認をしていますが、本番請求時のストレスがかなり減るので、とてもおすすめです。
まだ活用されたことがない方は、ぜひ一度使ってみてください!
稲葉 なるほど。「確認試験」などを活用して、事前に準備しておくことも大切ですね。
澤先生 そうですね。今回の記事を通じて、
・「確認試験」で事前準備をしておく
・請求確定前に「受付不能」「要確認」の件数を見る
という習慣を、毎月のルーティンとしてつけていただければうれしいです!
稲葉 「受付不能」と「要確認」の意味や違い、対策の方法がよくわかりました!
澤先生、今回もありがとうございました!
澤先生 こちらこそ、ありがとうございました!

【澤 奈緒子先生 プロフィール】
歯科衛生士 / 歯科保険点数専門+shiroq(シロク)代表
レセコンメーカーで約20年、インストラクターや営業、新人教育を担当。その後は歯科ディーラーを経て、先生方の「保険制度が分かりにくい」という声に応えるため独立。現在は保険点数のサポートやセミナーを通して、現場に寄り添い、診療を支えるサポートをしている。
[略歴] 新東京歯科衛生士学校卒業
2003年 株式会社ジーシーアイコミュニケーションズ入社
2022年 DMAサプライ株式会社入社 / 臨床
2024年 歯科保険点数+shiroq(シロク)開業