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Field Report

II級窩洞に対するMIに則った治療プランの提案事例

神奈川県川崎市 オズ通り歯科医院 院長 有田 まき/副院長 小川 明宏

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目 次

神奈川県川崎市 オズ通り歯科医院

  • [写真] 院長 有田 まき
    院長
    有田 まき
  • [写真] 副院長 小川 明宏
    副院長
    小川 明宏

<有田 まき 院長 症例1>

Ⅱ級コンポジットレジン修復のメ リットのひとつに、切削量を最小限に 抑えられる点が挙げられます。例え ば、隣接面に限局した小さな窩洞に対 し間接修復を選択した場合には、保持 形態を付与するために健全歯質を大き く切削する必要があります。近年、健 全歯質の温存を望む患者さんが増えて いることもあり、こうした症例にはコ ンポジットレジンによる直接修復を当 院では第一選択としています。
症例1は、定期メインテナンスで通 院されている40代女性の症例です。 X線画像でははっきりとは分からない ものの、透照診では₄ の遠心に1年前 からう蝕を確認し、経過観察を行って きました。その後、目立った進行は見 られなかったものの、患者さんの希望 でう蝕が広がっていないうちにコンポ ジットレジン修復を行うことになりま した。
当院ではマイクロスコープを用い て、動画を記録しながら治療を行って いますので、インフォームドコンセン トの観点から、染め出しや窩洞形成な どの治療過程を動画や画像を通じて患 者さんに確認していただいた上で治療 を進めます。
提示した症例では隔壁を行う器材 として、『3Dリテーナーフュージョン S』、『フュージョンウェッジ エクスト ラスモール』、『マトリックスバンド スタンダード』を選択しました。選択 のポイントは、窩底部の歯質とマト リックスが適合しているかという点に 特に注意を払っています。
この患者さんは将来的にもインレー を入れたくないという要望をお持ちで した。う蝕の大きさを鑑みても間接修 復は選択しづらく、むしろ直接修復を 行うことで早期に介入ができ、切削量を本当の意味で最小限に抑えられたと 思います。また、これだけ小さな窩洞 形成が行えたのは、マイクロスコープ を用いた恩恵とも考えています。患者 さんは治療中も特に痛みを感じること なく、即日で修復できたことにとても 満足されました。

  • [写真] 40代女性 術前の状態
    症例1-1 40代女性。術前の状態。1年前から4の遠心にう蝕を確認し、経過観察を行ってきた。
  • [写真] 透照診では既に4の遠心う蝕が認められていた
    症例1-2 透照診では既に4の遠心う蝕が認められていた。
  • [写真] 隣在歯を保護しながら拡大視野下でう蝕除去を行う
    症例1-3 隣在歯を保護しながら拡大視野下でう蝕除去を行う。
  • [写真] ギャリソンデンタル社のマトリックスシステムを使用し隔壁を設置した
    症例1-4 ギャリソンデンタル社のマトリックスシステムを使用し隔壁を設置した。
  • [写真] 「クリアフィル マジェスティ ESフロー」(クラレノリタケデンタル)を用いて充填を行った。
    症例1-5 「クリアフィル マジェスティ ESフロー」(クラレノリタケデンタル)を用いて充填を行った。
  • [写真] 術後
    症例1-6 術後

<小川 明宏 副院長 症例2>

[写真] オズ通り歯科医院のスタッフの皆様

拡大視野下でのⅡ級コンポジットレジン修復を行うようになって以来、患者さんに感動していただける機会が増えたと感じています。治療後に、治療の記録を動画でご説明すると、「こんなに丁寧に治療してくださっていたんですね…」とおっしゃってくださる患者さんが多くいらっしゃいます。
根管治療などでも同様に感動はあると思いますが、患者さんにとって失われた歯がその日のうちに治るインパクトは非常に大きいものと感じます。治療後はメインテナンスが大切になりますから、治療に感動していただけるということが、継続した通院へのモチベーションにもつながると感じています。
症例2は、奥歯の違和感が主訴で来院され、メタルインレーからコンポジットレジンへの再修復を行った50代女性のケースです。デンタルX線撮影を通して、6のインレー不適合を確認しました。頰側の歯質に厚みがあり、機能咬頭も残っていたため、コンポジットレジン修復にて治療を行いました。この症例の場合、う窩が広く深いことから『ストラタG リテーナーS』を、歯肉側マージンの封鎖性を十分に得るために『フュージョンウェッジ スモール』と『マトリックスバンド スタンダード』を選択し、積層充填を行いました。
元々メタルインレーが入っていたため、再度メタルインレーを選択することも選択肢の一つとして考えられました。しかし、コンポジットレジン修復の高い接着力と即日性、そしてマージンラインの適合精度など、メリットとデメリットを踏まえて患者さんにご説明したところ、最終的にコンポジットレジン修復を選択されました。
このように、私の臨床の中では、直接修復と間接修復の判断に迷った場合、コンポジットレジンにて直接修復を行うことが多くあります。

  • [写真] 50代女性 術前の状態
    症例2-1 50代女性。術前の状態。6のインレー不適合が認められた。
  • [写真] インレーを外し裏装材を除去した後、う蝕除去を行った
    症例2-2 インレーを外し裏装材を除去した後、う蝕除去を行った。
  • [写真] 「ストラタG リテーナー S」を用いて隔壁を設置し、「クリアフィル マジェスティESフローHigh」を用いてライニングを行う
    症例2-3 「ストラタG リテーナー S」を用いて隔壁を設置し、「クリアフィル マジェスティESフローHigh」を用いてライニングを行う。
  • [写真] 次に隣接面を再建する
    症例2-4 次に隣接面を再建する。
  • [写真] 咬合面を充填した直後の状態
    症例2-5 咬合面を充填した直後の状態。
  • [写真] 術後
    症例2-6 術後

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