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私の臨床

2組のオペークとボディレジン3色のカラーコートだけで仕上げるシンプルな歯科用硬質レジン

熊本県熊本市 株式会社 Roots 代表取締役 川内 大輔

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熊本県熊本市 株式会社 Roots 代表取締役 川内大輔氏 熊本歯科技工士専門学校を修了して、熊本市内のラボで5年間勤務後、奈良県生駒市の木原歯科医院(木原敏裕院長)の院内ラボ 有限会社ファインで10年間、オールセラミック歯冠修復を中心に研鑽を積み、平成22年8月に晴れて独立を果たました。大地に根を張る大木のように、根幹をどっしりと据えながら、常に初心を忘れず高度なテクニックにチャレンジしたい。若々しくいつまでも成長し続けたい。そんな天を突く青竹のような真っすぐな気持をRootsの社名に込めています。
メタルセラミックは、金属アレルギーや水銀過敏症を起こしたり、材質的な光の遮蔽性、辺縁歯肉のくすみが避けられなかったり、歯頸部の色調再現が困難だったり、実にテクニシャン泣かせですね。
これらの難題を解決するためにも、患者さんの審美的なニーズに適確に応えるためにも、より天然歯に近い透過性をもつメタルフリー・オールセラミックのポテンシャルにいち早く注目して、天然歯の色調再現や審美的な咬合修復にひたすら情熱を注いできました。
その成果を実践するステージとして、新鋭テクニシャンたちの登竜門となっているモリタのハンズオンセミナーや新大阪歯科技工士専門学校専攻科で後進の指導に当たり、歯周組織との調和を実現するオールセラミックスレストレーションの基本テクニックを地道に体得できたことは、幸運だったと感謝しています。
特にビギナーの歯科技工士にとって有効な手技である、強化ガラスセラミックによるオールセラミックのステインテクニックを独自に極めながら、多くの自費症例を経験できたことは、テクニシャンとしての私の大きな自信と強みを支える礎になっています。
このステインテクニックは自費治療はもちろん、保険治療にも有益で、汎用性があることは言うまでもありません。クラレノリタケデンタルが発売したセシードNのワンボディシステムは、歯科用硬質レジンに要求される強度、金属接着性、操作性、審美性をすべて兼ね備えていますが、オールセラミックで応用されているステインテクニックを使用して、さらに審美性の高い質感表現ができると判断して、導入しています。
セシードNのワンボディシステムの最大の利点は、2組のオペークとボディレジン、3色のカラーコートで13シェードをフルカバーできるステップのシンプルさに尽きるでしょう。つまり、ボディレンジを単層築盛して形成すれば、かなりの透明感と質感が出ますが、このシステムのユニークな点はさらにカラーコートプライマーを塗布し、カラーコートを塗り重ねて仕上げれば、強固な接着性とともに、天然歯に匹敵するきわめてナチュラルな質感表現が期待できることです。
築盛して色出しするレイヤリングテクニックは、かなりのスキルが要求されるものの、カラーコートで仕上げるこのワンボディシステムなら、色調表現のクオリティが平準化されていますので、自費、保険を問わず共通の潜在ニーズを満たすことができると感じます。
築盛する時のポイントは、カラーコートを1回で塗り終わらず、薄く均一に塗り重ねて、シェードチェックしながら重合させることがテクニックの秘訣です。
しかも、シリコンで凹凸を滑沢にして表面性状を整えれば、滑沢性が増しますので、より天然歯並みの質感に磨きがかかり、さらにクオリティの高い審美性が追求できるのは驚きです。今後、歯肉に近いエリアで表現するピンク系の色がラインナップに追加されることを期待します。
その他のメリットとしては、構成している色数が少ないために、従来タイプと比較して、イニシャルコストも在庫リスクも最小限に抑えることができますので、経営上の大きなアドバンテージになっている点も見逃がせません。

  • 図1 形態修正完了。シリコンなどで表面を整えておくとステインをしやすくなる。
    図1 形態修正完了。シリコンなどで表面を整えておくとステインをしやすくなる。
  • 図2 ステイン前には必ず油分などの不純物を取り除く。
    図2 ステイン前には必ず油分などの不純物を取り除く。
  • 図3 1回目のステイン。異系色のステインは混ざらないように離して使用する。目標とする色のベース色、切縁の透明感は控えめに塗布する。
    図3 1回目のステイン。異系色のステインは混ざらないように離して使用する。目標とする色のベース色、切縁の透明感は控えめに塗布する。
  • 図4 ベース色、切縁の透明感の補色。インサイザルハローの塗布。
    図4 ベース色、切縁の透明感の補色。インサイザルハローの塗布。
  • 図5 矢状構造の塗布。全体的な補色。できるだけ異系色の重ね塗りをしないことと、混ざらないように注意する。
    図5 矢状構造の塗布。全体的な補色。できるだけ異系色の重ね塗りをしないことと、混ざらないように注意する。
  • 図6 クリアーを全体にむらなく塗布する。
    図6 クリアーを全体にむらなく塗布する。
  • 図7 プロキシマルコンタクトの確認を行う。
    図7 プロキシマルコンタクトの確認を行う。
  • 図8 カラーコートクリアーを塗布することにより、出過ぎた光沢をシリコンポイントで調整する。
    図8 カラーコートクリアーを塗布することにより、出過ぎた光沢をシリコンポイントで調整する。
  • 図9 完成(左側観)。
    図9 完成(左側観)。
  • 図10 完成(右側観)
    図10 完成(右側観)
  • セシードN ワンボディシステム スターターセット
    セシードN ワンボディシステム スターターセット
  • セシードN カラーコート材
    セシードN カラーコート材

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