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189号 SUMMER 目次を見る

Clinical Report

これからの直接法II級CR修復 新ストラテジー -ストラタG システムとコンポジタイト3D システムの活用法-

東京医科歯科大学 う蝕制御学分野 助教 畑山 貴志

キーワード:Ⅱ級修復の“3種の神器”/適切な隔壁の選択/臨床場面に応じたマテリアルの使い分け

目 次

はじめに

近年の金属の高騰化に伴い、臼歯部隣接面う蝕におけるコンポジットレジン(以下CR)Ⅱ級修復は一層日常臨床の場面で重要性が増えてきている。
しかしながら、CR修復はテクニックセンシティブと言われるように道具の選択から実際の充填操作に至るまで術者に依存し切った治療法であることは言うまでもない。その中でもとりわけⅡ級修復においては、適切な隔壁操作こそ良好な治療結果に直結すると実感している。

Ⅱ級修復の“3種の神器”

Ⅱ級修復における“3種の神器”と呼ばれるものを読者はご存知だろうか(図1)。これらの隔壁システムを使うことで、難しいⅡ級修復をよりシンプルなⅠ級修復へ変えることができる。ただし、3種の神器と一括りで話しても、実際には窩洞形態も隣在歯との距離感も症例ごとに違うので、適切な隔壁の選択こそが鍵となる。本稿ではⅡ級修復用隔壁システムをこれまでも牽引してきたギャリソンデンタル社製品の特性・その活用方法についてお伝えしたい。
まず構成品それぞれの根本的な役割を示す。「リテーナー」の主要役割として、①強い歯間離開効果を挙げられる。歯間離開なしではコンタクト圧が緩い仕上がりとなり、食片圧入などを招いてしまう恐れがある。また、②三次元的な形状が付与されているリテーナーの使用により、頰舌的なマトリックスの適合性向上が図れる。さらに良いのは、③リテーナーの使用により両手がフリーとなることで、接着・充填操作が確実なものとなり、術者のパフォーマンスを最大限発揮できる点である。
次に「マトリックス」の主な役割としては、①適切な隣接面形態の付与と②適切なコンタクト位置のコントロールが特に重要であり、三次元的な形態が予め付与されているマトリックスを用いることで、自然な解剖学的形態をオートマチックに仕上げることが可能である。また当然ではあるが、③マトリックスを設置することで隣在歯へボンディング材・CRが誤って接着してしまうことも防止してくれる。
最後に「ウェッジ」の役割であるが、ウェッジを使用せず行ったであろう歯頸部に段差ができてしまった不良CRにも日頃よく遭遇する。術後のスムーズなフロス・プラークコントロールが可能かどうかは患者さん目線でも非常に重要であり、ウェッジは①歯頸部段差を防ぐ重要な役割を担っている。また、ウェッジの設置により②マトリックスを初期固定することで、リテーナーを装着する前にマトリックスがふらついてしまって不適切な位置で固定してしまうような操作エラーを防ぐことができる。小臼歯間の修復時には、ウェッジの③弱い歯間離開効果だけでもコンタクトの回復ができることも少なくないが、基本的にはリテーナーを併用し、確実なコンタクト回復を行う必要がある。
それぞれの役割がわかったところで、ここから昨年9月に発売されたストラタG システムの紹介と、筆者も愛用しているコンポジタイト3D システムとの比較をさせていただく。予め知っていただきたいのは、ストラタGシステムさえあれば全てのⅡ級修復を行えるわけではなく、それぞれ製品特徴を把握した上で、適材適所ケースによって使い分けることが重要である。

  • [写真] Ⅱ級修復の3種の神器
    図1 Ⅱ級修復の3種の神器。この3つを的確に選択することで良好な結果を得ることができる。

ストラタG システムの特徴

ストラタG システムの大きな特徴として以下3つを挙げられる。

①リテーナーの改良

脚部シリコン形態が改良され、上部鼓形空隙まで抑え込みやすくなった。シリコン部分も少し弾性が増しており、かつ先端がより歯間部に食い込むようになっているので、適合性が向上し、ウェッジとの併用で270°封鎖が可能になっている(図23)。また、金属部がステンレス製からNi-Ti 製に変わったことで耐久性の面でも向上が期待できる。既存のコンポジタイト3Dフュージョンもかなり耐久性のある製品ではあるが、その取り扱い方(無理に開いた状態を長く保持する等)や使用頻度などによっては徐々に緩くなってしまうこともある(図4)。

②マトリックスの形状変化

こちらは今までのフュージョンバンドと比較し、よりカントゥア(豊隆)が強く付与された(図5)。これにより、さらに立体的で適切な形態付与が可能になったが、症例選択が肝となる。こちらの選択基準については後述させていただく。また、上部鼓形空隙を埋めるように、まるでジャケットの肩の部分みたいに内側にやや折れ込んでおり、リテーナーの形状とマッチすることでさらなる上部固形空隙の適合性向上を実現している(図6)。

③ウェッジの改良

図7で示すように断面図が逆V字形に変更された。もともとのフュージョンウェッジは断面図が三角形だったので、歯肉に押され、やや歯冠側にポジションせざるを得なかった。こちらも詳しくは後述させていただく。

  • [写真] 3Dリテーナーのそれぞれの特徴
    図2 3Dリテーナーのそれぞれの特徴
  • [写真] ストラタGの特徴、コンポジタイト3Dフュージョンとの違い(リテーナー)
    図4 3Dリテーナーフュージョンも長く使用していると緩くなっている可能性がある。
  • [写真] ストラタGの特徴、コンポジタイト3Dフュージョンとの違い(リテーナー)
    図3 270°封鎖により今まで以上に頰舌側的なはみ出しが少ないことがわかる。
  • [写真] ストラタG バンドとフュージョンバンドの特徴の違い
    図5 ストラタG バンドとフュージョンバンドの特徴の違い
  • [写真] 新しいストラタG システムとコンポジタイト3Dシステムの適合性の違い
    図6 新しいストラタG システムとコンポジタイト3Dシステムの適合性の違い
  • [写真] ストラタG ウェッジとフュージョンウェッジの違い
    図7 ストラタG ウェッジとフュージョンウェッジの違い

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