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MDSCレポート 日々進化するデジタル環境を前提にした歯科医院構築のポイント

MDSC(Morita Digital Solution Center) 所長・歯科技工士 片野 潤

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  • [写真] MDSC(Morita Digital Solution Center)所長・歯科技工士 片野 潤
    MDSC
    (Morita Digital Solution Center)
    所長・歯科技工士 片野 潤

これから開業、改装を目指す歯科医院にとって、診療環境のデジタル化は必須条件になってきます。モリタでは、将来開業を目指す先生を対象にした開業セミナーを定期的に開催していますが、このたび初の試みとして、MDSC(Morita Digital Solution Center)所長の片野潤が講師となり、『デジタル時代の歯科医療をリードするための開業セミナー』を開催いたしました。
今号のMDSCレポートでは、そのセミナーの一部をご紹介いたします。

デジタルクリニック開業・導入のポイント

デジタルクリニック開業/導入のポイントは以下の2つです。
①医院インフラとバーチャルペイシェント
②デジタルラボの構築・投資
バーチャルペイシェントとは、患者さんのデータをすべてデジタル機器を用いて採取することで、患者さんが治療を終え歯科医院を出た後でも同じ環境で診査・診断ができることを意味しています。
・フェイシャルデータ(顔貌3Dデータ)
・IOSデータ
・CTデータ
・顎運動計測装置のデータ
以上4つのデジタルデータを一体化させ、その後の診査・診断や治療計画、さらには治療精度の向上と効率化を目指すものです。
また、医院インフラとしては、DX化を推進するにあたって、インターネット回線の品質や、人もしくはデジタル機器がスムーズに移動するための動線、通路の広さの確保などについて、従来の歯科医院よりも、慎重に検討していく必要があります。導入した器材が通路や扉が狭くて通れない、ネットワークがうまくつながらないなど、それらの障害をすべて解決した歯科医院環境をモリタではご提案しています。

今後、院内で重要度が高まる「資料採得コーナー」

新規開業や改装に際して、どこに何を配置するかを考える際に、ぜひ検討いただきたい設備が「資料採得コーナー」です。資料採得コーナーはフェイシャルデータ、IOSデータ、口腔内写真などの撮影や歯周病検査など、文字通り診療に必要なあらゆる資料を採得するためのエリアです(図1)。
この資料採得コーナーとCT画像を撮影するX線室は、できるだけ至近距離に配置することを推奨しています(図2)。その理由として、インプラント治療に必要なサージカルガイドを作製する際に、CTデータとIOSデータのマッチングポイントとして、マーカーを付与します。資料採得コーナーとX線室の距離が離れていると、このマーカーが移動中に落下してしまう恐れがあるからです。
CTデータを除くすべての資料収集を資料採得コーナーで行い、かつCT撮影を行うX線室は、資料採得コーナーの近くに設置する。この考え方は現在海外で主流になりつつあり、モリタでは「デジタルクリニック構想」として先生方へのご提案を始めています。

  • [図] 資料採得コーナー
    図1 資料採得コーナーは、フェイシャルデータ、IOSデータ、口腔内写真や歯周病検査など、診療に必要なあらゆる資料を採得するためのエリア。
  • [図] 資料採得コーナーの至近距離にX線室を配置
    図2 CTデータとIOSデータのマッチングポイントを示すマーカー落下を防止するため、資料採得コーナーの至近距離にX線室を配置することを推奨している。

In-house(院内ラボ)か、それともSend-to(外注ラボ)か

新規開業されるにあたり、初期段階で決めておかなければならないこと。それは、ラボ(技工)施設をIn-house(院内ラボ)にするか、それともSend-to(外注ラボ)にするかという選択です。
院内ラボのメリットは、内製化することで収益のボリュームゾーンを上げることができます。デメリットとしては、不足する歯科技工士をどのように確保できるかが課題になります。
一方、外注ラボのメリットは、人的リソースが削減できること。デメリットは、技工費用の高騰により収益がダウンしてしまうことです。この技工費用高騰の流れは、昨今の歯科技工士不足の影響により、今後さらに加速していくと思われます。現在、アメリカでは新規開業の6割が院内ラボを導入し、将来的にも増加傾向にあると言われています。
モリタでは、新規開業や改装される際に、DX化に対応可能なデジタルラボを併設、あるいは併設できるスペースを事前に確保していただくことをご提案しています。

歯科DX環境の構築にはデジタルラボが必須

採取したデジタルデータやマッチングを最終的に活用する設備がデジタルラボ(図3)です。ただ、前述したように歯科技工士は減少の一途をたどっています。歯科技工士減少の要因の一つとして、厳しい労働環境の問題が挙げられます。とは言え、昨今のデジタル技工の発展により、従来よりもクリーンな環境で勤務できるようになってきました。どうしても有害なガスや粉塵が出る工程をパウダーエリアとして、CAD/CAMデザインを行うクリーンエリアと明確に分けることで、歯科技工環境は大幅に改善されます。先生方には、まず歯科技工士が安心して勤務できるクリーンな環境を構築したうえで、デジタル機器を使いこなせる歯科技工士を育成されることを目指されてはいかがでしょうか。これからの歯科技工士は、歯科医師と同じ目線で診療を診ることが重要です。しかし、実際には、IOSやCAD/CAMを使いこなせる歯科技工士は意外に少ないのが現状で、その育成も視野に入れる必要があるでしょう。とは言え、日々診療で多忙な院長先生が歯科技工士を育てるのは至難の業です。
MDSCでは、デジタル技工に関するさまざまな教育サポートを設けています。そうしたサポートをご活用いただくことで、歯科技工士の育成をはじめ、デジタルに関する課題解決のお役に立てるものと考えています。ぜひ、ご相談いただければ幸いです。

  • [図] デジタルラボの概要
    図3 デジタルラボの概要。パウダーエリアは、水、粉塵、ガスなどをできるだけ閉じ込めて、歯科技工士の身体負担を軽減する機能も備えている。一方、ノンパウダーエリア(クリーンエリア)はCADデザインとポーセレンワークが中心で、普段の業務の大半はこのエリアで過ごすことになる。
    • [写真] 施設の概要に関する説明の様子
    • [写真] 施設の概要に関する説明の様子
    図4, 5 開業セミナー終了後、MDSCに移動し、施設の概要に関する説明が行われ、その後実際にIOSなどを体感いただいた。

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