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WEB エンド座談会 一緒に考えるCBCT診断~根尖病変・歯髄保存・セメント質剥離~

滋賀県長浜市 泉歯科医院 院長 泉 英之/宮城県仙台市 医療法人くすのき 南光台歯科医院 理事長 須藤 享/愛知県名古屋市 わしの歯科クリニック 院長 鷲野 崇

目 次

[WEB エンド座談会] 一緒に考えるCBCT診断 ~根尖病変・歯髄保存・セメント質剥離~ 泉 英之×須藤 享×鷲野 崇×永原 隆吉
根管治療におけるCBCT診断の重要性をテーマに、泉英之先生を座長に迎え、3名の臨床家の先生方による症例発表と、発表内容について検討する座談会が開催されました。本座談会は「一緒に考えるCBCT診断 ~根尖病変・歯髄保存・セメント質剥離~」としてオンデマンド配信されます。デンタルマガジンでは、その内容の一部をご紹介いたします。「根尖病変」・「歯髄保存」・「セメント質剥離」をキーワードに繰り広げられた熱いディスカッションの全容は、ぜひ「WEBエンド座談会」をご覧ください。
[写真] 院長 泉 英之
座 長
滋賀県長浜市
泉歯科医院
院長 泉 英之

歯科用コーンビームCT(以下:CBCT)がなぜ根尖病変の診断に有効なのか、口内法X線撮影装置(以下:デンタル)とCBCTでは根尖病変の検知に大きな差が出ることが分かっていますが、どの程度の確率でそうした現象が起きるかを知っておくと、その後の診断や治療方針の決定に役立つと考えています。
歯内感染した1,508本の歯をパノラマX線撮影装置(以下:パノラマ)、デンタル、CBCTでそれぞれ撮影して、どの程度病変を発見できるのかを調べた報告があります。その報告によると、CBCTで「根尖病変あり」と診断されたのが964、一方、デンタルでは525しか見つけられませんでした。その結果を「感度・特異度」という数値で見ると、感度:55%、特異度:98%となります。「感度・特異度」は聞き慣れない言葉かもしれませんが、病気の診断能力を示す指標で、検査の精度を評価する際に用いられます。「感度」は、病気の人を検出する能力、「特異度」は病気でない人を検出する能力を表します。感度と特異度の値が高いほど、検査の精度が高いことを意味します。興味のある先生はぜひ疫学の勉強をしていただければ、より理解が深まると思います。
私は普段「3DX」というCBCTを使って日常臨床を行っていますが、診断にはCBCTの解像度、繊細さが非常に重要です。特に根管治療に使用される場合、CBCTの画質が診断と治療方針に大きな影響を与えます。具体的な解像度の目安として、歯根膜腔が見える程度の高精細な画像が必要と考えています。ただ、被曝の問題は避けて通れません。CBCTの放射線量がどの程度なのかを把握することも重要です。また個人的な感覚としては、撮影範囲を絞った方が、より鮮明な画像を撮影でき、低被曝だと考えているので、小照射野を選択できるCBCTを選択されると良いと思います。さらに、マイクロスコープの拡大視野の存在が、根管治療の成功に大きく貢献していることも付け加えておきたいと思います。

「一緒に考える CBCT診断~根尖病変・歯髄保存・セメント質剥離~」
WEBセミナーの視聴はこちらから
配信期間:2025年3月31日(月)まで

  • [写真] 宮城県仙台市 医療法人くすのき 南光台歯科医院 理事長 須藤 享
    宮城県仙台市
    医療法人くすのき
    南光台歯科医院
    理事長 須藤 享

    根尖病変に関する問題提起

    根尖病変の要因を正しく分析するためには3次元的な位置や広がりを把握する必要があり、CBCTは必須の診断ツールとなる。「X800」を使用し、根尖病変、穿孔、歯根破折を疑う複合要因を有する治療に対して供覧していきたい。

  • [写真] 根尖病変、穿孔、歯根破折を疑う複合要因を有する治療
  • [写真] 根尖病変、穿孔、歯根破折を疑う複合要因を有する治療
  • [写真] 根尖病変、穿孔、歯根破折を疑う複合要因を有する治療
  • [写真] 根尖病変、穿孔、歯根破折を疑う複合要因を有する治療
  • [写真] 根尖病変、穿孔、歯根破折を疑う複合要因を有する治療
歯根破折の確定診断は「目視」。破折線が認められない場合は保存を試みる。治療後2年経過時点で、穿孔部を含めPPD3mm以内、BOPなし。

 抜歯と診断してしまいそうな状況を「歯を残す」という患者さんにとって、とても価値のある素晴らしい症例だと感服しながら拝見いたしました。
永原 CBCT撮影後にじっくり診断する時間を作っておられるのでしょうか?
須藤 問題がありそうなケースは初診で1時間の枠を確保しています。CBCT画像を映し出して、患者さんと問題の部位を見ながら、今後の治療方針について相談する時間をしっかり取るようにしています。場合によっては撮影した数日後に確認することもありますが、すぐに治療に入るようなことはせず、患者さんのコンセンサスが得られたことを確認してから、治療に入るようにしています。再根管治療は必ず治癒する症例ばかりではありませんから、患者さんがこの歯を残すことにどれだけの価値を感じておられるか。そこに時間をかけて話しながら、一緒にゴールを見据えていくイメージで日々診療に取り組んでいます。
永原 垂直性歯根破折の予防とは、どういう意味合いなのでしょう?マウスピースで垂直性歯根破折が予防されたという報告があるのでしょうか?
須藤 私が話した予防とは歯根破折の予防ではなく、単にカリエスフリーの予防という意味合いです。一般開業医という立場だからこそ、メインテナンスに注力することが重要だと思います。「単に治療して終わり」ということではないということです。
鷲野 私たちの治療の最終ゴールは病変を治すというより、歯を長持ちさせることだと考えると、いかに予防するか、いかに歯髄を残すかに行き着くと感じます。私自身、開業してからずっとその部分を勉強してきたので、とても共感しながら拝聴しました。
須藤 根管治療は生存と成功が背中合わせだと思います。生存させるという価値観を患者さんと共有して、共に頑張っていくという概念が非常に大事ではないかと考えています。

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