194号 AUTUMN 目次を見る
![[写真] 新術式「L-EPPT」はEr:YAGレーザーとも相性が良い治療法です 東京都大田区 川名部歯科医院 院長 川名部 大](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/09/194-15_photo01.jpg)
私が歯周治療に注力するようになったのは、勤務医時代に患者さんから言われた「この歯はもう残せませんか?」という一言がきっかけでした。その方は重度の歯周病を患っておられましたが、「もし私が歯周病専門医だったら残せたかもしれない」とその時強く感じたのです。それ以来、歯周病専門医の先生のクリニックに週に一度通い、経験を積む日々が続きました。さらに、いくつかのスタディグループにも所属し、学びを深めていくうちに歯周治療の奥深さを知り、次第に没頭するようになっていきました。現在は、歯周病専門医の資格を取得し、歯周治療がテーマの講演会などでお話する機会もいただくようになりました。
歯周治療は、歯周基本治療がその後の良し悪しを決めるといっても過言ではありません。そのため、歯科衛生士との連携は必須になりますし、患者さんが治療にどの程度協力してくださるかも大事なポイントになります。そこに歯周治療の難しさがあると同時にやりがいを感じる部分でもあると思っています。
当院では様々な治療にEr:YAGレーザーを活用しています。レーザー治療を目的に来院される患者さんには2つのパターンがあります。1つは粘液嚢胞の除去です。当院のホームページやインスタグラムに症例を載せているので、それらをご覧になって遠方から来院される方も多いですね。もう1つは小児のう蝕除去です。タービンやコントラを使わずう蝕治療を行うため、子供の歯科治療への恐怖心が和らぐと、保護者の方からも好評です。
近年、最後臼歯遠心骨内欠損の歯周組織再生療法:「L-EPPT(The Last Molar-Entire Pad Preservation Technique)」という低侵襲な新術式に積極的に取り組んでいます。この術式は、軟組織へのダメージが少ないEr:YAGレーザーとも非常に相性が良い治療法です。今後は、Er:YAGレーザーを活用した「L-EPPT」の症例を増やしていくことで、より高いエビデンスを持つ術式として認知されるべく、日々臨床例を積み重ねています。
歯周外科治療に取り組むうえで重要なポイントは、器具や器材の選択です。私は勤務医時代から常に自分専用の器具を持っていましたし、勤務先に導入されていたEr:YAGレーザーを効率的に活用することで、徐々に自分の武器になっていきました。今後、歯周外科治療を志す先生には、ぜひそうした自分の武器を早く見つけて、その技術を高めることに情熱を注いで欲しいと思います。
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