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「嚥下運動モニタB4S™」を用いた嚥下運動の見える化・数値化・記録 ~口腔機能低下症の嚥下機能の評価と訓練~

バンドー化学株式会社 新事業推進センター 佐藤 敦司

キーワード:口腔機能低下症/嚥下運動/可視化/訓練/評価

目 次

はじめに

2018年4月に保険適用になった口腔機能低下症は、7つの評価項目[①口腔衛生状態不良(口腔不潔)、②口腔乾燥、③咬合力低下、④舌口唇運動機能低下、⑤低舌圧、⑥咀嚼機能低下、⑦嚥下機能低下]を用いて診断し、7項目中3項目以上で低下が認められた場合に口腔機能低下症と診断されます(図1)。口腔機能低下は、オーラルフレイルの第3レベルにあたり(図2)、地域在住高齢者の口腔機能低下症の有病率を算出したところ、全体で48.5%であり、フレイル(6.3%)、サルコペニア(18.0%)と比較して著しく高かったという調査報告があります1)
2023年の「経済財政運営と改革の基本方針2023」にて、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図るという基本方針が提示され、2024年度の歯科診療報酬改定においては口腔管理体制が強化されています2)
歯科訪問診療における介護保険施設の需要として、協力歯科医療機関に行ってもらいたいが行われていない業務として、「摂食嚥下障害の治療」が43.5%と最も高い回答が示されています3)。歯科衛生士の行う居宅療養管理指導のプロセスが提示されていますが(図34)、このような背景により今後、「居宅療養管理指導料」に基づく口腔機能のスクリーニング~アセスメント~モニタリングの機会が高まると思われます。
一方、口腔機能低下症と診断した後、どのように管理・指導するかという点において、嚥下の評価・指導を行うのが難しく、また、訓練の成果の伝達方法やアドバイス方法の難しさを感じられることがあると伺います。このような背景を踏まえ、医療・介護現場における課題を解決する一助として、藤田医科大学リハビリテーション部門と共同研究、開発した「嚥下運動モニタB4S」による「口腔機能低下症」の評価・訓練をご提案します。

  • [図] 口腔機能低下症の7つの検査項目 図1 口腔機能低下症の7つの検査項目
  • [図] オーラルフレイル概念図 図2 オーラルフレイル概念図
  • [図] 歯科衛生士の行う居宅療養管理指導のプロセス図3 歯科衛生士の行う居宅療養管理指導のプロセス (福岡県保健医療介護部介護保険課, 北九州市保健福祉局長寿推進部介護保険課, 福岡市福祉局高齢社会部事業者指導課, 久留米市健康福祉部介護保険課, 令和6年度集団指導 居宅療養管理指導(歯科医師), P35~38より作図)

嚥下運動モニタB4STMとは

「嚥下運動モニタB4S」(以下:B4S)は、嚥下時の喉頭の動きをわかりやすく可視化し、嚥下評価や訓練成果を数値化し、「口腔機能低下症」の嚥下機能の評価、訓練にお使いいただけます。過去の測定データと比較できることから、訓練の成果が確認でき、患者さんからもわかりやすいと好評で、訓練のモチベーション向上にもつながっています。体表面から嚥下運動を検出するセンサ(CSセンサ)付き本体と表示用タブレットで構成されており、電源投入後、Bluetoothにて自動接続します。機器はコンパクトかつ軽量で、訪問歯科診療時にも持参できます(図4, 5)。
本機には、カウントアプリとトレーニングアプリの2つがあり、カウントアプリでは、反復唾液嚥下テストを実施し、30秒間の喉頭の動きを波形で描画し、嚥下回数・嚥下タイミングを計測します(図6)。計測結果は、患者さん毎に保存でき、経時的変化をグラフで見ることができます(図7)。測定データをお手持ちのPCに取り込み、測定結果レポートを作成し、患者さんにお渡しすることもできます(図8)。トレーニングアプリでは、嚥下訓練を視覚的にバイオフィードバックすることができ、嚥下訓練の可視化が可能です。今まで見えなかった嚥下運動を可視化することにより、喉頭の動き、訓練の説明がしやすくなり、患者さんの理解度も深まります(図9)。
なお、本機は非医療機器であり、嚥下機能を診断するものではありません。

  • [写真] 「嚥下運動モニタB4STM」本体(CSセンサ付き)と専用タブレット
    図4 「嚥下運動モニタB4STM」本体(CSセンサ付き)と専用タブレット
  • [写真] 「B4S」測定風景
    図5 「B4S」測定風景
  • [写真] 「B4S」カウントアプリ カウント画面
    図6 「B4S」カウントアプリ カウント画面
  • [写真] 「B4S」カウントアプリ サマリ画面
    図7 「B4S」カウントアプリ サマリ画面
  • [写真] 「B4S」患者用測定結果レポート
    図8 「B4S」患者用測定結果レポート
  • [写真] 「B4S」トレーニングアプリ トレーニング画面
    図9 「B4S」トレーニングアプリ トレーニング画面

測定方法

患者さんの喉頭部に押しあてた5本のCSセンサが、嚥下時の喉頭隆起部の上下運動にともない、伸長/収縮し、嚥下の動きを捉えます(図10)。CSセンサは、柔軟に伸縮するストレッチセンサ(C-STRETCH)で、精度・感度・応答性・再現性に優れます(図115)
喉頭隆起部にあたっているCSセンサは喉頭挙上に伴い伸長し、喉頭隆起部が挙上してなくなると収縮します。そのため、喉頭隆起部をCH3~CH4に装着した場合、喉頭挙上によりCH1~CH2は上に凸の波形、CH3~CH4は下に凸の波形になります(図106)
CSセンサは静電容量式のストレッチセンサであり、伸長量に応じて線形的に静電容量が変化します(図12, 13)。喉頭挙上の動きとCSセンサの動きは、VF(嚥下造影)との同時計測により、嚥下運動と各CSセンサの波形が同期していることが証明されています(図146)

  • [写真] 「B4S」測定方法( 「B4S」原著論文6)より)
    図10 「B4S」測定方法( 「B4S」原著論文6)より)
  • [写真] ストレッチセンサ(C-STRETCH®)の柔軟性/伸縮性
    図11 ストレッチセンサ(C-STRETCH®)の柔軟性/伸縮性( C-STRETCHホームページ https://products.bandogrp.com/c-stretch/より)
  • [写真] ストレッチセンサ(C-STRETCH®)の計測原理
    図12 ストレッチセンサ(C-STRETCH®)の計測原理 (C-STRETCHホームページ https://products.bandogrp.com/c-stretch/より)
  • [写真] ストレッチセンサの伸長率と静電容量の関係
    図13 ストレッチセンサの伸長率と静電容量の関係 (大高秀夫, 伸縮性ひずみセンサ C-STRETCH® の開発, BANDO TECHNICAL 9 REPORT No.20/2016より)
  • [写真] 嚥下造影検査による同時計測によるCSセンサの動き
    図14 嚥下造影検査による同時計測によるCSセンサの動き (「B4S」原著論文6)より)

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