111号 SPRING 目次を見る
■目 次
- ≫ 21世紀の修復のトビラを開く
- ≫ 患者さんの生体にやさしい材料を
- ≫ テクニカル・エラーをいかに排除するか
- ≫ 新たに開発されたエステニアC&Bの特徴
- ≫ EGファイバーで臨床用途が拡大
- ≫ 技工術式
- ≫ 臨床術式
近年、我が国の歯科医療においては、患者さんの審美修復に対する要求がますます多様化・高度化してきています。このような情勢のもと、現在まで、様々な歯冠色修復材が市場に提供されてきましたが、審美性、耐久性、操作性の面において十分に満足できるものはありませんでした。この度登場したハイブリッドセラミックス・エステニアC&Bは、審美修復材として評価の高いエステニアの審美性をより高めるとともに、メタルフリーブリッジへの用途拡大を図るなど、口腔内全ての修復を単一の素材で可能にしたはじめての材料として認識されています。今回は、長年にわたり患者さん中心の医療に積極的に取り組んでこられた矢澤一浩先生、柏田聰明先生、高橋英登先生をお迎えし、その概要と将来展望について、貴重なお話をお伺いしました。
■21世紀の修復のトビラを開く
高橋ハイブリッドセラミックス「エステニア」が上市されて約6年が経過し、エステニアを日常の臨床で使われる先生も多くなりました。その分、疑問や不安をお持ちの先生方もいらっしゃると思います。
今日は、そういった疑問や不安を解消していただくためにも、長い臨床経験をお持ちで、咬合関係や材料の生体への調和性、適合性について造詣の深い矢澤先生と、審美修復や歯髄保護、接着に関して造詣の深い柏田先生にお越しいただき、開業されている先生方へのアドバイスをいただくという機会を設けましたので、よろしくお願いいたします。
私もエステニアは長年臨床で使用してきましたが、歯冠修復材として、今までのメタルボンド・ポーセレンでは問題があった部分がエステニアで解消され、患者さんから非常に喜ばれる機会がたくさんございます。メタルボンド・ポーセレンにもいい点はたくさんありますが、一方では臨床上の問題点や長い経過での不安点が存在すると思います。
そこでまず初めに、矢澤先生から、いわゆる歯冠修復材の過去・現在・未来についてお話いただけますでしょうか。
矢澤1907年に鋳造が歯科の中に取り入れられましたが、これが20世紀を象徴するものだと思います。鋳造技術が取り入れられて鋳造冠があらわれ、それがさらに進んで焼付ポーセレンが、という形で、いわゆる金属鋳造をベースにして構成されていった修復技術、それはおそらく、20世紀でもう完結したと思っています。
ところが、そういった修復をした患者さんが10年、20年経過すると、いろいろトラブルが出てきます。従来はやむを得ないと思っていたのですが、だんだん歯科のテクノロジーが進んできますと、これは何とか回避できる問題じゃないか、という発想が出てくるわけです。
従来、私はエステニアに対してのアプローチはほとんど持っていなかったんですが、たまたま私どもの日本顎咬合学会の2000年の学会誌に高橋英登先生と鈴木尚先生の対談が掲載されていて、そこでハイブリッドセラミックスについて克明にお話しになられていました。それを拝見したときに私は、「これでようやく20世紀の金属を主体にする修復から移行できる時代が始まる」と直感しました。21世紀の修復のトビラを開くのは「エステニア」だと。
20世紀の修復を総括することで21世紀の修復を模索する。それが私の動機であり、そこからエステニアの研究が始まったのです。
柏田矢澤先生の言われる21世紀の修復を実現するポイントとして、私は細菌と咬合の二つのことを考えなければならないと思っています。20世紀の修復は、どちらも考えないでやっていました。だから、修復後、時間の経過とともに咬合力によって歪みが起き、そこに細菌が入って2次齲蝕になっていきます。
それを解決するには、歯と同じように歪むような材料で咬合力を受け止めると同時に、細菌が入らないように接着材でシールしなければなりません。また、シールするだけでなく、接着することによって、いかに歯質を強化するか、という二重、三重の防御機構まで考えて1つの歯をもたせないと、歯はもたないと思っています。
そういったことを考えた時、エステニアのような材料の時代になってきていると思うのです。私の診療所では7~8割は臼歯部はエステニアです。メタルボンドでの大臼歯の修復はほとんどありません。大きなブリッジでも、臼歯部はメタルの上に前装したエステニアを使うというような形ですね。
また、患者さんは口の中が白くきれいになっていくと、よりきれいにしたいと思い、ホームケアもしっかりするようになってきますから、予防という観点からもエステニアは役立っていると感じますね。
今回発売のハイブリッドセラミックス「エステニアC&B」は、優れた物性を維持しながら切端色の高い透明性を実現し、また、新規顔料の採用と調色技術の開発により優れた色調再現性を発揮することができる。
ハイブリッドセラミックスの成立要件
- ・無機フィラー含有量が90wt%以上
- ・圧縮強さが600MPa以上
- ・ビッカース硬さが150MPa以上
- ・曲げ強さが200MPa以上
- ・熱処理によりマトリックスが高密度な架橋構造を有している
高橋今までわれわれは修復物が壊れないように、というのをまず第一に考えていました。そうではなく、修復物は経時的な人間の生体の変化についてこられなくなったら、壊れたり摩耗したりすることによって、支持骨や歯根を保護するという方向性を考えていかないとダメだということですよね。
矢澤今までは生体の経時的な変化についていけるような材料がなかったんですよね。
柏田歯というのは圧をかけると変形しながら少し曲がったりするぐらいフレキシブルなんですね。だから、修復するときは生体にやさしくしなければならないと思います。私は大臼歯に焼付ポーセレンをということはなくなりました。
矢澤そういう意味でいえば、抜髄してメタルコアを入れることも同じです。私はメタルのポストコアは一切やめて、すべてレジン系のポストコアに代えてしまいましたし、臼歯部の被覆冠に関してもメタルを使用することはほとんどなくなりました。
柏田これからの歯科医療には、生体の変化通りにフレキシブルにしておく修復が求められると思います。金属アレルギーなどもそうですが、従来は生体に合わないことをやってきたんだと思いますね。
■患者さんの生体にやさしい材料を
高橋今、歯科の世界では、患者さんから評価されるような診療が必要だと思います。そういう意味でも、生体にやさしい材料というのはこれからもっと伸びてくるでしょう。
柏田今まで、「いい材料」=「硬い材料」というイメージがありましたが、ようやくエステニアのような生体にやさしくて、見栄えもいいという大臼歯に使える材料が出てきたということですね。
今までは、ハイブリッドなものでもレジン系の材料は代用品みたいな形でしか考えられてこなかったのですが、そうではないんだと。従来の考え方を180度変えなければならないと思うのです。矢澤先生が先程言っていらしたように、硬いポーセレンが患者さんにとっていいのか?ということだと思うのです。
矢澤患者さんは何がいいのか分からないわけですからね。ポーセレンからエステニアにチェンジしたら楽になったというんだから、これは説得力がありますよね。
高橋そういう硬い修復物を入れた後の不定愁訴がけっこう発現しているわけですが、従来は材料的なところに目が行かなかったのですね(図1、2)。
矢澤根管内や歯周組織あるいは顎関節に目がいっていたのです。
高橋そういうほうが強いのかもしれないですね。しかし、先生方が非常に評価されていて、なおかつ、臨床のケースがたくさんあるエステニアの存在を知っていても、いまだにメタルボンドのケースが多いのが現状です。歯科医療は患者さんのためにあるのは当然で、そのためにいい材料を普及させるにはどういう方策というか、アピールをすべきなんでしょうか。
矢澤これからエステニアを自分の診療に取り入れようとする先生方には、細部にいたるまで正しい啓蒙をする必要があると思います。
例えば金属冠を入れるときの適合法とエステニアの装着では違いがあるとか、接着はいかにすべきなのかとかをきめ細かく先生方に伝えていくことが、エステニアを普及させる方法だと思います。
高橋そうですね。いまだ金属修復物と同じような考えで形成やセットをなさっている先生もいらっしゃいますよね。根本的に違うんだ、というところをご理解いただかないと。
柏田もう一つ重要なのは患者さんに対する説明だと思います。患者さんにきちっと説明すれば、患者さんには分かっていただけます。例えばインレーひとつみても、以前まだメタルを使っていた頃、白金加金とゴールドとパラジウムでは何が一番いい?と言ったら、白金加金。なぜ白金加金かといえば高価で良い材料と思っていましたから。歯質より硬い材料で、しかも接着を使わないで入れると、金属は減らずに歯質が欠けたりセメントが崩壊して、そこからカリエスになっていくんですね。
それに対して、歯と同じような硬さで、同じように減っていって、接着材を使って隙間がなくて、というようになれば齲蝕にならないし、きれいにできるんですね。
エステニアのメリットを患者さんに十分説明して、将来を保証しますというと、患者さんは必ず「じゃあ、やってください」とおっしゃいます。自分で患者さんに「この治療はいいですよ」ということをきちっと言えるような医療の本質的なものがないような治療はダメですよ。100本治療したら100本うまくいくようにするのが患者さんのための医療だと思います。
高橋柏田先生は15年保証ですね?
柏田もっと長くしてもいいんだけど、生きていないですからね(笑)。修復物がダメになったら、取り替えても構わないということです。患者さんの歯さえダメにならなかったらいいと思っています。
矢澤人間の体は変化しますから、15年たったら、あなたの体に合わせて修復物を取り替えましょう、ということですね。例えば、ロングスパンのブリッジで、しっかりつくったものは下顎骨の変化に対して閂(かんぬき)のように働くわけですから、適応しきれないですね。適応しなくなったら取り替えていくことが、これからの医療だと思いますね。
高橋私は、今から12年前にエステニアを口腔内に装着して、予後をみてきたのですが、最初は減らないもんだな、これもキャスタブルセラミックスと同じだな、というような印象でした。ところが、7年、8年と経過すると、だんだん減ってきて、あっ、これ、すごいな、と。適度に減ってくれるというのはエステニアだけでしたね。
柏田21世紀は生体というものを生物学的に捉える医療が必要だと思います。リハビリが主になるような医療じゃやっぱりダメなんですよ。
矢澤生体というものを生物学的に捉えるという点からいえば、デンティンボンディングは、創面を回復させ保護するわけですから、いわゆる非常に厳粛な一つの手術ですよね。
昔、日本大学の正木正先生が「象牙質を切削していくことは切開である」ということを言われているんですよね。細胞を切っているんですものね。そこに樹脂含浸層をつくって、再建していくというのは、ほんとに手術だな、というのを痛切に感じますし、それで生体の治癒力を高めていくわけですからね。歯科の分野もそういうところまで来たんだなと思います。
図1 対合歯がポーセレンのため、7咬合面に咬耗による穿孔がみられる。上顎ゴールドブリッジ。-
図2 図1の対合歯。メタルボンドポーセレンブリッジ。
■テクニカル・エラーをいかに排除するか
また、対合歯を傷めるという意見もありますが、私の今までの十何年のケースの中で、対合歯の歯面をツルツルにするようなケースなんて全然ないわけです。問題例をフィードバックして見ると、研磨していないとか、口腔内でダイヤモンドバーで調整しただけだとか、そんなことをすれば対合歯を傷めるのは当たり前のことです。
こういう材料は何でもそうですが、いわゆるテクニカル・エラーは、最初の頃はどうしても起こるものです。そういったテクニカル・エラーをいかに排除していくかといった努力することが必要じゃないかなと思うのですが。
柏田長期の症例というのはすごく大事で、私の経験でも、少しですが、悪い症例が出ることもありました。ただ、それには何か原因があるものです。
矢澤そうですね。ただ、いくら材料が良くても、それを実際に使う側がきちんと使わないといいものはできないですからね。
柏田エステニアはきちっと光を当てて、熱を加えてやらなかったらダメですからね。ラボがマニュアル通りにやってくれないと。
高橋光硬化だけよりも熱処理したほうが架橋構造の生成率が上がるのは明白な事実なんですからね。また、研磨が大変という意見もありますが、研磨が楽なものほど光沢の落ちも早いわけです。
矢澤硬質レジンのほうが研磨は楽なわけですからね。
高橋エステニアの研磨はポーセレンと比べたら、ずっと楽なわけですから。テクニカル・ノウハウは、硬質レジンよりは大変だけれども、ちゃんとやれば光沢の落ちが少ないんだと。
矢澤だから、つくる側、それから、口腔内に入れる側と、それぞれへの教育や啓蒙というのは絶対必要ですよ。
高橋確かに今までメタルボンドがこれだけ普及するまでの間に幾多の講習会とか、普及活動がされたわけですね。それに比べて、エステニアは新しいジャンルを創成する材料のわりには、まだまだ正しく使っていただくための講習が足りないのかなとも思いますね。
柏田物性的に柔らかくて生体にやさしく、カリオロジーのことを考え、接着を使うという、発想の転換をした新しい材料ですから、積極的な啓蒙は必要ですね。
高橋エステニアが生体にやさしいということについて、よく研磨したエステニアの面にはプラークの付着性が非常に低いというデータが歯周病の研究の中で出ています。これも「生体にやさしい」という意味の一つのサポートになると思います。
柏田生体にやさしいといえば、金属アレルギーの問題もありますね。これだけ花粉症とか、アレルギーが問題になっている時代なのに、一々バッチテストをしなければ分からないものを口腔内に入れるというのは間違いだと思うのです。
高橋それから、せっかくきれいな審美修復をした後に歯肉に対するトラブルが発生するというケースも結構ありますね。例えば素晴らしいメタルボンドを入れて、1~2年たってリコールしてみたら、タトゥーが生じてきたとか。
私も大学にいたとき、メタルの歯肉に対する影響について調べたりしましたが、いまだ分からない部分があります。だから、それはメタルを使わない修復であればそういうことは起こらないわけです。
矢澤コアでも、メタルコアを入れて、ダメになって抜去した歯牙の根というのは真っ黒になりますね。ということは、メタルコアの中の金属イオンが歯質に移行しているわけです。以前から、メタルコアによるダメージという問題が私の臨床の中で結構出ていたのです。これを何とか解決するべく、いろいろ模索してきました。つまり、歯冠部だけじゃなく、中のほうも何とかしなくちゃいけないのであり、コアだから大丈夫だろう、という考えは誤ってますよね。結論はやっぱり生体に馴染むかどうかの問題ですからね。
高橋上に被せるものをセラミックスにしておけばコアは大丈夫と思っている人はたくさんいると思うんですね。弾性率のことを考えても、硬いものを根管の中につくるのはまずいわけです。また、多くの大学での客観的な研究発表でも、エステニアは経時的な耐久性や強度などについて、類似他社製品に比べて、一ケタ違う物性を持っているというデータが出ているのですから、マニュアル通りに使っていただければ、素晴らしい修復物ができると思いますし、より一層の普及にもつながるのではないでしょうか。
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図3 口腔内での艶の消失もなく、術後9年が経過した。1部エステニアジャケットクラウン。
■新たに開発されたエステニアC&Bの特徴
柏田色調についてはインレーでやってみると違いがよくわかります。色を改良したというよりも、色調の再現方法について、インレーがよくマッチするような形に改良されています。
色調調和性については、簡単に、どんな歯にも合うようにという再現方法だということで、それはうちの技工士も高く評価しています。
また、コアをメタル以外のものでという流れの中で、オペークではなくオペーシャスデンチンという新しい色がありますので、審美修復にかなういいものができるという点は、ほかの材料には今ないところですね。
トランスペアレントについても、フィラー含有量がエナメル並に向上していますから、強度は向上していると思いますね。また、微粒子フィラーの粒径調整で研磨性も改善されていますので、安心して表層に使用できるようになったと思います。さらに透明性についても、超微粒子フィラーの微細化と微粒子フィラーの改良で、たしかに光透過性が向上していますね。
高橋透明性というのは、審美ではすごく大事です。エステニアのような材料は、フィラー含有量を落とせば透明性は出せますが、それを落とさず強度を維持したままで透明性を出すというのは技術的にすごく難しい問題なんです。下手に透明にすると青白くなってしまいますしね。
矢澤それと、ポーセレンでも同じですが、厚みによって色の出方が違ってくるという問題がありますが、エステニアでは各層の遮蔽性というか、透明度が狂わないような工夫がされています。それから彩度についても口腔内で明るく見えるようになったことが改良点でしょうね。
■EGファイバーで臨床用途が拡大
高橋あと大きな変更点として、エステニアC&Bとあるように、クラウンブリッジ用にEGファイバーというフレーム材が開発されました。
矢澤ガラスファイバーにフィラーを配合した架橋性モノマーを含浸させた高強度のフレーム材ですが、昔から、歯冠修復材の中でブリッジまでできない材料でヒットしたものはないといわれていますから、臨床用途が拡がったという意味では期待したいですね。
高橋ただ、気をつけなければいけないのは、こういう材料が出ると、なんでもいけると思われたら怖いと思います。ブリッジの中に金属のフレームなんかいらないんじゃないか、と。
確かに金属の様々な影響を排除するために、メタルの補強体を入れないようなシステムを持つというのは大事なことだけれども、エステニアを大事にする以上、適応症を絞って、ほんとにEGファイバーの必要性のあるような症例に限定すべきではないかなと、今の時点では思います。エステニアだったら材質的に強いから、完全に内在型のメタルフレームでもいけますし、一つの選択肢としてEGファイバーもあるということだと思います。
柏田EGファイバーはキャストがいらないから生産性はいいですしね。これは技工士さんにとっては朗報だと思いますよ。また、専用の研磨セットを使用すれば、仕上がりを簡単にきれいにできるようになりましたね。
もう一つ、新しく「パナビアF2.0」というレジンセメントが発売され、非常に硬化特性がよくなりました。操作時間にもゆとりがありますし、光照射することでマージンのところがカチッと硬化してくれます。エステニアの改良と同時に、周辺材料も良くなったということも大きいですね。
高橋こういう材料はトータルシステムというか、全部トータルで組めるメーカーや販売ルートがないと成り立たないと思うのです。
矢澤診療でも、患者さんの生体にやさしいということをトータルで考えていくことが重要ですからね。
高橋そうですね。今までの話を総括すると、接着システムがしっかりしてて、オールマイティーにメタルレスで欠損補綴までいける。そして、生体にやさしく、生体の変化に追従できる。こういう材料って、今のところエステニアのほかにないんですよね。だから、これをもう少しうまく普及させれば、これからの歯冠修復材の主流になると、私は確信しています。
臨床用途も広く、インレー、アンレー、ブリッジ、ジャケットクラウン、インプラントの上部構造など、いわゆる20世紀の修復材の欠点をかなりの部分で補える材料だと感じています(図4~6)。
柏田患者さんにとって何がいいか、ということを考えたときに、矢澤先生のように良心的に歯髄をとことんまで残すということを考えていく、そういう医療が本来の医療で、エステニアはそういうことに一番合致した材料だと思っています。
矢澤現在の歯科医療の中で、保険というものは限局された条件の中での処置であって、むしろそこから一歩出たところにあるのがエステニアであると思っています。だから、そこには可能性があり、世界が広がっていきます。それは単に診療内容だけじゃなく、医院の経営までも含めて広がっていくのだろうと思いますね。
柏田今までの医療が本当に患者さん中心になっていたかということを考えた時に、保険点数の問題も含め、そうじゃなかったのではと思います。患者さんを中心に考えれば生物学的な立場に立たなければいけないですから、そういう点をトータルに考えて開発されたのが、エステニアのシステムだと思うんですね。自分の診療に誇りと自信を持てるようでなければだめですし、エステニアはそれを手助けしてくれる画期的なシステムだと、私は思っています。
高橋21世紀の修復を考えた時、エステニアが最も可能性を秘めている材料であり、もっとこの材料が普及すべきだと。患者さんからの評価も非常に高い。これからは、患者さんに感動を与えるような診療というのもが大事になってくると思うのです。医療界が厳しい時代の中で、いい診療をして、患者さんから評価をいただいくということが、これからのわれわれの生きる道だと思います。
図4 金銀パラジウム合金により、口腔内のほとんどが修復されている症例。術前。-
図5 ポーセレンほど硬くなく、かつ歯冠色を示すハイブリッドセラミックスは、ほとんどの部位への修復に対応可能である。 -
図6 トラブルの発生もなく、かつ比較的ローコストで歯冠色修復が可能であり、患者さんから評価していただける、これからの修復法といえる。
技工術式
図7 #32のスプルー用ワックスを楕円形に潰し、EGファイバー形態のワックスアップを行う。-
図8 透明なEGコア材は約80℃の湯で軟化させ、温度が下がった後、各方向から圧接する。 -
図9 ワックスパターンの長さを参考にしてEGファイバーをハサミにてカットし、ピンセットでカバーから取り出す。強く潰したり毛羽立たせないように注意する。
図10 EGコアにEGファイバーをあわせる。長さを確認し、必要であれば調整する。-
図11 EGファイバーをEGコア内の良い位置に置き、ずれたりしないように模型の正確な位置まで戻す。 -
図12 しっかり固定した状態で約3分間光重合する。
図13 重合終了。EGファイバーの位置、支台歯への密接具合などをチェックする。-
図14 ポンティック連結部に注意しながら、ボディペーストを築盛していく。 -
図15 隣接コンタクト、オクルーザルコンタクト、低重合層除去分を補正し、すべての築盛を完了した後の咬合面。
図16 最終光重合を角度を変えてそれぞれ5分間行い、最後にKL310で110℃15分間加熱重合を行う。-
図17 形態修正終了後、専用の研磨材を用いて艶出し研磨を行う。 -
図18 完成。EGファイバーを用いたエステニアC&Bメタルフリーブリッジ。
臨床術式
図19 エステニアC&BとEGファイバーを応用した⑤6⑦ブリッジ修復例。術前。-
図20 試適後、内面にアルミナサンドブラスト処理を施し、接着阻害因子除去のため、正リン酸による被着面処理を行う。 -
図21 活性化したシランカップリング剤により、冠内面の処理を行う。
図22 パナビアF 2.0を用いて接着を行う。-
図23 余剰セメント除去後、唇舌面および咬合面から十分に光照射を行う(左)。咬合調整後、ダイヤモンド含有ラバーポイントセラムダイヤにて艶出しを行う(右)。 -
図24 研磨、調整が終了したエステニアC&B+EGファイバー⑤6⑦ブリッジ。
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