120号 SPRING 目次を見る
■目 次
- ≫ 症例1AAAを使用したポーセレンラミネートベニア、パーシャルポーセレンラミネートベニア
- ≫ 症例2プロセラ+セラビアンのオールセラミッククラウン
- ≫ 症例3オールセラミッククラウンとラミネートベニアのコンビネーション
名古屋市中川区
スカーラ
代表 南沢 英樹
4年前、桑名市内でラボを開設後、名古屋市内に移転して2年になります。ラボのネーミング、スカーラ(SCALA)はイタリア語で「階段、はしご」の意味ですが、ラボの技術向上と、ラボから歯科医院へ、歯科医院から患者さんへ、笑顔のかけはしを創りたいという願いを込めて名づけました。
スーパーポーセレンAAAを最初に使ったのは、小野寺歯科医院に勤務していた時で、今から12年ほど前だと思います。以来、国内外数社のポーセレンを使用し、自分なりに研究を続けてきました。試行錯誤のさなか、ペルーラAOSHIMA・青嶋仁先生のインターナルステインテクニックに出会いました。あの光沢のあるクラウンの質感はどうすれば出せるのだろう?自分もなんとしても身につけたい!と奮起し、5年前ですが、青嶋ゼミに第1期生で「入門」させていただきました。青嶋ゼミでインターナルステインテクニックを習得してからは、多くのテクニシャンたちが実感されているように、私自身もAAAの真価に気づかされることになります。その真価とは、AAAだけがもつ特質です。つまり、日本人の歯肉や歯頸部に合った明度の高い多彩な色調再現性、そして汎用性の広さと陶材の多彩なバリエーションをAAAが備えていることです。
よく知られているように、欧米のステインは透明度が高いため、日本人の歯頸部色に合わせにくいという適合性の問題があります。しかし、AAAのインターナルステインは透過性が低く、濃度が高いので、インターナルステインテクニックで表層を暗く落とせば、独特の深みのある明るさを創り出せ、審美性が高い天然歯らしい自然な色合いが表現できるのです。
生体への安全性を考慮したり、金属アレルギーを抑制することは、今や歯科治療の主流ですし、安全や健康に対する患者さんの意識やニーズもますます強まっていることは周知の事実です。スカーラでも、オールセラミックスのニーズに対応するために、プロセラ・オールセラミックシステムを導入するとともに、歯冠色ポーセレンのセラビアンを使用し、その透明感のある自然な質感を体得しています。
このような歯科技工の変化が何を意味するのでしょうか?もちろん、先生方の多様な技工ニーズにお応えすることは当然ですが、今私たちに問われているのは、ラボワークの質的な価値の創造ではないかと感じます。つまり、ラボの技術やクオリティを上げれば上げるほど、自費製作が増えるとともに、技工単価もアップしますし、その成果が認められ、先生方の評価も高まるという事実です。
そんな視点に立てば、AAAやセラビアンの高いクオリティとパフォーマンスには、大きな付加価値があることに、今さらながら気づかされるのです。
私は、歯科技工界はひとつの転換期に差しかかっていると感じています。厳しい時代だからこそ、テクニシャンとしてのチャレンジを続けなければという思いとともに、AAAやセラビアンの存在そのものが、テクニシャンの技術レベルの向上に多大な貢献を果たしていると思います。これからも、ラボの名に恥じない技術とクオリティで先生方の診療や患者さんの健康に少しでも役立てればと考えています。
症例1AAAを使用したポーセレンラミネートベニア、パーシャルポーセレンラミネートベニア
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1-1 術前。前歯部の歯列不正を訴え来院。テーパー傾向の歯牙のため、ディスキングの効果が高く、not ext.にて6ヵ月間の矯正治療を開始した。 -
1-2 形成。矯正が終了し、よりタイトなアンテリアガイダンス確立のため、21 12 21にラミネートベニア、3 3にパーシャルベニアの形成を行った。歯冠幅径のバランスをコンタクトで調整。 -
1-3 歯質の色調を生かすところ、ポーセレンの発色が必要なところが混在し、明度コントロールを難解にする。前者にはTX、LT0を後者にはOB、NW0.5を使用した。 -
1-4 口腔内装着。初診から8ヵ月、12回の治療である。 -
1-5 セット後2ヵ月。レンズエフェクト、パーシャルベニアのマージンも良好になじみ、コンタクト付近のポーセレン肉厚部分は明度低下もなく、患者自身の自然な色調が再現された。 -
1-6 セット後2ヵ月。若干の表面性状の違いと、1切縁のアンバー色の強さが残念である。3のパーシャルベニアは耐火模型材“ノリベスト”の高い適合精度により得られる。
症例2プロセラ+セラビアンのオールセラミッククラウン
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2-1 形成後。患者は事故による1の破折を訴え来院。補綴歯冠幅径が狭く、加えて1の唇側転位により、1はやや唇側転位していたものと考える。 -
2-2 術後。最も繊細さを要したのは、歯冠幅径確保と歯軸バランスを考慮した唇側への出具合のおとしどころである。1の近心コンタクトと支台歯マージンの近接がさらに助長する。 -
2-3 唇側方向への突出感も前歯3面形態を表現することと、切縁をやや短くすることで軽減できる。
症例3オールセラミッククラウンとラミネートベニアのコンビネーション
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3-1 術前。前歯部の審美障害を訴え来院。 -
3-2 21はファイバーポストコアを植立し、12は有髄でのクラウン、ラミネートベニアの形成とした。これは、4前歯での形態、色調バランスをとる最低限度の侵襲と考える。 -
3-3 術後。厚い繊維性歯肉であるために、歯冠形態はめりはりがなく、フラットなイメージになりやすい。そのためラインアングルのシェイプを強め、切縁方向へ明度を低下させた。
臨床写真提供:アン歯科・安藤裕章先生
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