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Case Report

「超親水性インプラント」SPIイニセルインプラントを用いた症例

医療法人社団世隼会 HSデンタルサロン 理事長 鈴木 隼人

キーワード:ティッシュレベルインプラント/患者満足度が高いインプラント

目 次

はじめに

SPIインプラントは純チタン製で、表面性状がSLA形状のティッシュレベルインプラントである。インプラント表面に超親水性加工が施されており血液浸潤性が高く、タンパク質を均一に吸着するため、埋入直後から活性化した血小板がフィブリンネットワークを形成する。その結果、治癒期間早期の段階においてインプラント体へのオッセオインテグレーションのスピードが速く、埋入から3~4週間で骨結合が得られる。すなわち、早期に補綴装置を入れることができるため患者満足度が高いインプラントである。
私はモリタから話を聞き、2022年からSPIインプラントを導入し使用していたが、キットの簡便さとドリルの使いやすさ以外の良さが分かっていなかった。それはSPIインプラントの歴史も利点もそこまで理解できていなかったからであろう。
しかし、2024年にスイスに渡航しトーメンメディカル本社でSPIインプラントの歴史から製造工程、そしてグルンダー先生による講義を受けて、SPIインプラントの良さをあらためて知った(図1, 2)。
そこで今回、このような執筆の機会をいただいたので、SPIインプラントについての症例を提示していきたい。

  • [写真] グルンダー先生による講義
    図1
  • [写真] グルンダー先生による講義
    図2

症例供覧

<症例1>

29歳男性、主訴:左下の奥歯が痛い。
の歯根破折による痛みがあり抜歯即時埋入を行った。φ6.0長さ8.0mmのSPIイニセルインプラント エレメントRCを選択(図3, 4)。埋入後3か月目で印象を行い補綴装置をセットした。抜歯即時埋入治療でも使いやすいインプラントだと実感した(図5)。

  • [写真] 初診時のパノラマX線写真
    図3 初診時のパノラマX線写真
  • [写真] 抜歯即時埋入後のパノラマX線写真
    図4 抜歯即時埋入後のパノラマX線写真
  • [写真] 補綴装置セット後のパノラマX線写真
    図5 補綴装置セット後のパノラマX線写真
<症例2>

48歳男性、初診:2024年9月12日
主訴:左下の奥歯で噛めるようになりたい(図6, 7)。
にインプラントを埋入し左側の咬合を得る治療計画を立案。φ4.5長さ9.5mmのSPIイニセルインプラント エレメントRCを埋入した(図8)。まずはここで初期固定を得られたのでヒーリングキャップにて封鎖した(図9)。今回は勤務医たちへの指導の意味もあり、ガイデッドサージェリーにて行った。そして4週目でクローズドトレーにてシリコン印象を行い補綴装置をセットした(図10,11)。CBCT撮影を行い骨レベルの状態を確認し、機能的審美的にも問題ないことがわかっている(図12, 13)。
インプラント体とアバットメントは精密なインターナルヘックスとエクスターナル補強リングを付与したダブルロックコネクションになっていることで、応力を受け止めやすくなっている。そのためアバットメントスクリューが小さく設計されている。その結果、インプラント体とアバットメントの側壁を肉厚にすることが可能になる。また、アクセスホールが小さくなり、審美性と強度の高い上部構造の製作が可能なこともSPIインプラントの良さである。

  • [写真] 初診時の口腔内写真
    図6 初診時の口腔内写真
  • [写真] 初診時のパノラマX線写真(2024年9月12日)
    図7 初診時のパノラマX線写真(2024年9月12日)
  • [写真] インプラント埋入後のパノラマX線写真(2024年9月28日)
    図8 インプラント埋入後のパノラマX線写真(2024年9月28日)
  • [写真] オペ後の口腔内写真
    図9 オペ後の口腔内写真
  • [写真] 補綴装置セット後のパノラマX線写真(2024年11月4日)
    図10 補綴装置セット後のパノラマX線写真(2024年11月4日)
  • [写真] 補綴装置セット後の口腔内写真
    図11 補綴装置セット後の口腔内写真
    • [写真] 骨レベルの状態確認のためCBCT撮影
    • [写真] 骨レベルの状態確認のためCBCT撮影
    図12, 13 2025年3月22日に骨レベルの状態確認のためCBCT撮影を行った。
    ((株)吉田製作所 XeraSmartにて撮影)
<症例3>

51歳男性、主訴:左下の奥歯で噛めるようになりたい(図14, 15)。
この症例が私にとって初めてのSPIインプラント症例だった。ドリルキットがとても簡便で操作性も良く感じた。こちらの症例は初心者でもできる症例を挙げているので参考にしていただけたらと思う(図1619)。
まずフラップを開く前にヨード染色を行い、付着歯肉の幅を確認する。その後、フラップを全層弁で開く(私の場合はそこまで大きくは開けないことが多い)。床形成を行い平行指示ピンを入れ平行性を確認。SPIイニセルインプラントをコンディショニングした状態で埋入の準備を行う。:φ4.0長さ11mm、 :φ4.5長さ11mmのSPIイニセルインプラント エレメントRCを埋入。付着歯肉を減らさないように縫合を行った。

  • [写真] 初診時の口腔内写真
    図14 初診時の口腔内写真
  • [写真] 初診時のパノラマX線写真
    図15 初診時のパノラマX線写真
  • [写真] オペ中の写真
    図16 オペ中の写真。本症例が初めてのSPIインプラント症例だった。
  • [写真] インプラント埋入後のパノラマX線写真
    図17 インプラント埋入後のパノラマX線写真(のヒーリングキャップが甘く締められていることを確認したので再度締め直しを行った)。
  • [写真] 完成後のパノラマX線写真
    図18 完成後のパノラマX線写真
  • [写真] 補綴装置セット後の口腔内写真
    図19 補綴装置セット後の口腔内写真

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