会員登録

モリタ発!
歯科医療系お役立ちマガジン

教えて!澤先生vol.04<br>「その言葉、保険で使って大丈夫!?
知っておきたい!保険診療の『NGワード』」

教えて!澤先生vol.04
「その言葉、保険で使って大丈夫!?
知っておきたい!保険診療の『NGワード』」

歯科医師

歯科保険点数のプロとして活躍されている澤 奈緒子先生をお招きし、歯科医院の受付関連業務にまつわる疑問やお悩みについて解説していただく「教えて!澤先生」企画。
第4回は、普段何気なく使いがちだけれど、保険診療上では注意が必要な「NGワード」について、情報機器インストラクター経験者であるモリタ社員・稲葉が伺いました。
これから開業をご予定の先生方はもちろん、ベテランの先生や受付スタッフの方にも、ぜひ知っておいていただきたいお話です!

保険診療の基本から、わかりやすく解説!

稲葉 これまで、オンライン請求業務に関する基本的な知識をお伝えしてきた「教えて!澤先生」のコーナー。
第4回は少し視点を変えて、保険診療上、注意が必要な「NGワード」について解説していただきます!

澤先生 はい! 今回は、保険診療を行なううえで知っておいていただきたい「NGワード」について解説させていただきます。
「歯科治療」の知識はあっても、「保険診療」について改めて学ぶ機会って、実は意外と少ないのではないでしょうか。
特に開業したての先生方は、「新規指導」に不安を感じられることもあるかと思います。
今回は、開業したての先生やこれから開業予定の先生はもちろん、歯科医療従事者の皆さまに知っておいていただきたい基本的な考え方について、わかりやすく解説していきたいと思います。

稲葉 わかりました。澤先生、よろしくお願いします!

澤先生 よろしくお願いします!

「保険診療の大前提」とは?

澤先生 「NGワード」についてお話する前に、まずは、保険診療の基本となる考え方についてお伝えしたいと思います。
それは…「保険診療は『病気や症状があること』が大前提」ということです!
こちらの図をご覧ください。

保険診療の基本的な考え方を、わかりやすく示したイメージ図

保険診療の基本的な考え方を、わかりやすく示したイメージ図です。

中央の赤いラインを「健康と疾病の境界線」と考えてください。
ラインより下の「病気や違和感がある状態に対して、治療や管理を行なう」のが「保険診療」であり、ラインより上の「違和感などもない健康な状態を、よりよい状態にする行為」は原則として保険の対象外、いわゆる自費診療の対象となるわけです。

具体例を挙げますと…

○保険診療

ex.

  • う蝕を治療する
  • 歯周病の治療をする
  • 知覚過敏処置を行なう
  • 不適合義歯を調整する

○保険対象外

ex.

  • 歯を白くする
  • 審美目的で歯の着色を除去する
  • 歯並びを整える

ということになります。

原則として「検診(健診)」も保険対象外!

澤先生 もうひとつ、“基本のき”として知っておいていただきたいことがあります。
それは、保険診療上のルールのひとつである「療担規則(保険医療機関及び保険医療養担当規則)」で「健康診断の禁止」が定められているということです。
先ほどお話したとおり、保険診療は「病気や症状があること」が大前提なので、「悪いところがないかを調べる」ことを目的とした検査は健康診断とみなされ、保険診療の対象外となる場合があります。

稲葉 「定期的に悪いところがないか見てほしい」といった患者さんのご要望に応じる際には、注意が必要ということですね。

澤先生 そうなんです。これらの基礎知識を踏まえて、実際に現場で使われがちな「NGワード」について見ていきましょう!

実は要注意!「NGワード」とは?

稲葉 では、「NGワード」について解説をお願いします!

澤先生 今回は、保険診療の現場でよく使われているものの、保険診療上は注意が必要な言葉について解説したいと思います。

代表的なものとしては…
定期検診(定期健診)
クリーニング
メンテナンス
といった言葉があります。

これらは、病気の診断や治療のためではなく、よりよい状態の維持や健康管理を目的としたものとして受け取られることが多い言葉です。
そのため、カルテや問診票、アポイント帳などにこうした言葉が記録されていると、実際には疾病があり適切な保険診療を行なっていたとしても、その根拠が伝わりにくく、「保険診療外の処置を行なっている」と誤解される可能性があります。

大切なのは、保険診療の考え方を理解すること

稲葉 「定期検診(定期健診)」「クリーニング」「メンテナンス」など、どれも患者さんとの会話や日常の診療の中でよく使われる言葉ですよね。

澤先生 そうなんですよね。
そこで大切なのが、単に「この言葉を使ってはいけない」と解釈するのではなく、その背景にある保険診療の考え方を理解することです。

例えば、歯周基本治療後の患者さんを対象とした「SPT」。
SPTは、患者さんから見ると「予防」のように捉えられることもありますが、保険診療上は、歯周病の病状を安定させ、重症化を防ぐための治療として位置づけられています。
そのため健康な状態を保つための「予防」ではなく、すでにある疾病をこれ以上悪化させないための「重症化予防」として整理されているんです。

稲葉 なるほど。患者さんに疾病があり、その疾病に対する治療や重症化予防として保険診療のルールに沿って行なうものが保険診療になる、ということですね。
一方で、疾病の治療ではなく、予防や健康な状態の維持を目的として行なうのであれば、原則として保険診療の対象外(自費診療)となる。
その違いを理解すると、「定期検診(定期健診)」「クリーニング」「メンテナンス」といった言葉も、保険診療の対象外とされやすい表現だということが理解できますね。

澤先生 そうなんです。
まず、その診療が「保険診療」なのか「自費診療(保険対象外)」なのか、その線引きを正しく理解すること。
そして、その違いを理解したうえで、実際の診療内容に合った言葉を選ぶことを意識していただきたいです。
歯周病の継続的な管理を目的とした治療であれば、「クリーニング」や「メンテナンス」よりも、「歯周基本治療」「歯周病の重症化予防治療」「歯周病の継続管理」といった表現が考えられますよね(※あくまで一例です)。

稲葉 保険診療と自費診療の違いを理解し、実際の診療内容に合った言葉を選ぶことは、適切な診療録を残すこと、ひいては日々の診療をより丁寧に行なうことにもつながりそうですね!

「レセコンに入っている用語=保険で使ってOK」ではない

稲葉 ちなみに、先生方の中には、「レセコンに登録されている用語なら使っても大丈夫」と考えられている方もいらっしゃるかもしれませんよね。

澤先生 たしかに…それも少し注意が必要ですよね。
レセコンによっては、保険診療だけでなく、自費診療のカルテ作成などに必要な用語が登録されている場合もあります。
今回お話しした「NGワード」を含め、「レセコンに入っているから大丈夫」と判断するのではなく、その用語が実際の診療内容や保険診療の考え方に合ったものかどうかを理解したうえで選択していただきたいです。

稲葉 レセコンでの用語選びも、保険診療の考え方への理解が大切だということですね。

今回は「NGワード」という身近なテーマを通して、その背景にある保険診療の基本的な考え方や、日々の診療で言葉を選ぶ際の大切な視点についてもお伝えできたかと思います!

澤先生 ありがとうございます!今後も、保険診療を行なううえで大切でありながら改めて学ぶ機会が少ないことを、先生方やスタッフの皆さまにわかりやすくお伝えしていきたいと思います!

稲葉 澤先生、ありがとうございました!次回もよろしくお願いします!

対談風景

 

【澤 奈緒子先生 プロフィール】

歯科衛生士 / 歯科保険点数専門+shiroq(シロク)代表
レセコンメーカーで約20年、インストラクターや営業、新人教育を担当。その後は歯科ディーラーを経て、先生方の「保険制度が分かりにくい」という声に応えるため独立。現在は保険点数のサポートやセミナーを通して、現場に寄り添い、診療を支えるサポートをしている。

[略歴] 新東京歯科衛生士学校卒業
2003年 株式会社ジーシーアイコミュニケーションズ入社
2022年 DMAサプライ株式会社入社 / 臨床
2024年 歯科保険点数+shiroq(シロク)開業

+shiroq(シロク)ホームページ
Instagram
YouTube
Facebook

この記事をシェアする

記事の一覧を見る