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Case Report

非吸収性メンブレン「Ti ハニカムメンブレン」の有用性と可能性

大阪市北区 歯周病治療専門クリニック SPIDO 辻 翔太

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キーワード:PASSの原則/予知性の高いGBR処置

目 次

はじめに

骨欠損への歯槽骨再生は、術式、マテリアル選択などから、垂直性と水平性の骨造成に分けることができ、一般的に垂直性の骨造成の方が、術式の難易度が高く、術後合併症の確率も高い。垂直性の骨造成の治療オプションとしては、GBR、仮骨延長術、ブロック骨移植である。自家骨によるブロック骨移植では、平均4.75mmの骨造成がみられるが1)、ブロック骨やメンブレンの露出などの術後合併症が非常に多いと報告されている2、3)
また、仮骨延長術も手術難易度が非常に高く、合併症も多い。そのため、メンブレンと骨補填材を用いたGBRが最も術後合併症が少なく、現在では主流の治療となっている。その中でも、他家骨と自家骨を50/50で混合したものを用いたGBRが臨床的に非常に予知性が高いと考えられる。GBRも合併症の確率が低くはないが(0~45%)4)、PASSという原則に従うことで非常に予知性が高く処置が可能となる。
PASSの原則は、創傷の一次閉鎖(primary would closure)、血液供給(angiogenesis)、血餅の安定(clot stability)、スペースの確保(Space maintenance)の頭文字をとった原則である5)
つまり、垂直性のGBRでは、スペースの確保と、固定が非常に大事となる。Tiハニカムメンブレンはチタンスクリューピンと併用することで、スペースの確保が可能であり、かつ、しっかりとした固定が可能となる。そのため、予知性の高いGBR処置を行うための条件に一致しており、Tiハニカムメンブレンを使用することで、垂直性GBRが可能と考えられる。
今回は、Tiハニカムメンブレンを用いた臼歯部の垂直性GBRとその後のインプラント治療の症例を紹介したい。

症例供覧

右下の第二大臼歯が保存不可能のため、抜歯を行ったが、周囲の歯周組織が大きく欠損してしまっており、インプラント治療のためにはGBRが必要と判断した。軟組織の治癒のため、抜歯後2ヵ月後にGBR処置を行った。軟組織を剥離し、肉芽組織を除去すると、大きな骨欠損が生じているのがわかる(図1~3)。頰側骨、舌側骨も欠損していたため、垂直性GBRを行う必要があると判断し、チタン強化型のTiハニカムメンブレンを使用した。チタンフレームが入っていることにより、骨補填材をより強固に維持することができ、骨再生が期待できる。骨補填材は、自家骨と他家骨の混合を選択した。頰側、舌側とも2本ずつのチタンピンにて、メンブレンを固定した。頰舌側ともに減張切開を行い、一次閉鎖を行った(図4~6)。6ヵ月後、メンブレンを除去し、骨再生がみられたため、インプラント埋入を行った(図7~9)。
50N以上の非常に高い初期固定が得られ、インテグレーション後に補綴を行った。現在、補綴後1年経過しているが、非常に良好な経過となっている(図10)。PASSの法則通り、グラフトの固定とスペースの確保を行うことで、非常に予知性の高い治療を行うことができたのではないだろうか。

  • [写真] 初診時のパノラマX線写真
    図1 初診時のパノラマX線写真。右下第二大臼歯が根尖に及ぶ骨吸収がみられる。
  • [写真] 抜歯2ヵ月後
    図2 抜歯2ヵ月後、右下第二大臼歯部は垂直的に組織が欠損している。
  • [写真] フラップを開くと、大きい欠損が存在していた
    図3 フラップを開くと、大きい欠損が存在していた。
  • [写真] 補填材を填入
    図4 メンブレンを舌側でチタンピンを使って固定、その後補填材を填入した。
  • [写真] 頰側近遠心をチタンスクリューで固定
    図5 メンブレン設置を行い、頰側近遠心をチタンスクリューで固定した。(推奨されるメンブレンの設置法は表裏逆である)
  • [写真] 2週間後
    図6 2週間後、問題なく治癒している。
  • [写真] GBR半年後
    図7 GBR半年後。近遠心の高さが均一になっているのがわかる。
  • [写真] 骨の高さ、幅共に十分な骨造成が達成できた
    図8 骨の高さ、幅共に十分な骨造成が達成できた。
  • [写真] インプラント埋入
    図9 十分な初期固定を得てインプラント埋入が可能であった。
  • [写真] 補綴処置1年後のデンタルX線写真
    図10 補綴処置1年後のデンタルX線写真。非常に良好な状態である。

まとめとして

Tiハニカムメンブレンは、非常に薄いにも関わらず、賦形性を兼ねており、ハンドリングも良い。また、本症例では起きなかったが、ハニカムメンブレンは多孔性であるため、たとえ口腔内に露出してきも感染が生じないことが、我々臨床家にとっては、非常にメリットであると考えられる。
インプラント治療が欠損補綴処置の一つのオプションになって久しいが、インプラント治療時に骨量が不十分な場合が、非常に多いと感じ、臨床でどのように対応すべきなのか、悩まれている先生が多いと感じている。そのため、本製品が先生方の臨床の悩みの一助となってくれるであることを願っている。

参考文献
  • 1) Milinkovic I, Cordaro L. Are there specific indications for the different alveolar bone augmentation procedures for implant placement? A systematic review. Int J Oral Maxillofac Surg 2014;43:606–625.
  • 2) Widmark G, Andersson B, Ivanoff CJ. Mandibular bone graft in the anterior maxilla for single-tooth implants. Pre- sentation of surgical method. Int J Oral Maxillofac Surg 1997;26:106–109.
  • 3) Chiapasco M, Zaniboni M, Boisco M. Augmentation procedures for the reha- bilitation of deficient edentulous ridges with oral implants. Clin Oral Implants Res 2006;17 Suppl 2:136–159.
  • 4) Rocchietta I, Fontana F, Simion M. Clinical outcomes of vertical bone augmentation to enable dental implant placement: A systematic review. J Clin Periodontol 2008;35:203–215
  • 5) Wang HL, Boyapati L.“PASS” principles for predictable bone regeneration. Implant Dent 2006;15:8–17.

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