3-1.口腔機能ケアについて

ここでは、まず口腔機能ケアについてその本質を理解しておいて頂きたいと思います。

従来の歯科治療は、「客観的」「画一的」「科学的」な特性を有する、いわゆる器質的疾患がメインでした。その代表的な疾患がカリエス(むし歯)で、病態は目で確認しやすいものが多く、重度も中等度で生命にかかわるものは多くはありませんが、症状は「非可逆的」 です。

一方、ここで扱う口腔機能ケアの対象である機能的疾患は「主観的」「多様的」「感覚的」な特性を有し、代表的疾患として「顎関節症」が挙げられます。ここでは、機能は主として“筋肉”の随意的な運動から作られますが、筋肉の病態は目に見えにくいものがほとんどで、重度は未病段階で軽く、かつ症状は「可逆的」です。

少し話が難解になりましたが、ここで理解しておいてほしいのは「口腔機能発達不全症」や「口腔機能低下症」などは、顎関節症と同様にその本態が筋肉の機能障害であることです。このような病態の改善には、「処置」や「手術」ではなく「管理」や「訓練」という用語が使用されていますが、この管理や訓練こそが「ケア」であり、そこでは大いにガムが活用できるのです。