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Interview

これからの予防歯科は、“チェアサイドではわからない生活時間帯”に対するアプローチが大切

東京都港区 高輪歯科 院長 加藤 正治

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  • [写真] 東京都港区 高輪歯科 院長 加藤 正治
    東京都港区
    高輪歯科
    院長 加藤 正治

予防歯科やセルフケアの必要性について、長年ご自身のクリニックで実践されるだけでなく、様々なメディアや講演を通じて啓発を続けてこられた加藤正治先生。その加藤先生に、今後歯科として必要な予防へのアプローチ法や、近年関心をお持ちの睡眠歯科領域に対する取り組みなどについてお話を伺いました。

予防歯科について、加藤先生の近年のお考えをお聞かせください

歯科における治療も予防も、まずは患者さんに来院してもらうことが前提です。しかし、“チェアサイドではわからない生活時間帯”にも目を向けることが、より質の高い予防や健康のサポートにつながると考えています。
たとえば、セルフケアとプロフェッショナルケアでは、圧倒的にセルフケアに割かれる時間が長くなります。次の来院までに、充実したセルフケアが実践できれば、一歩踏み込んだプロフェッショナルケアを提供できますが、セルフケアが不十分だと、医院での処置もクリーニング中心にとどまり、チェアタイムを有効に活用できなくなります。

それを踏まえて、高輪歯科での具体的な取り組みを教えてください

当院では「セルフケアを処方する」という考えのもと、患者さんに最適な歯ブラシや歯磨剤などの“モノ”の処方と効果的な“やり方”の処方を以前から実践しています。
その際に大切なのは、負担を少なくし、継続して使ってもらうことです。症状に応じて多くの製品を紹介しても、使いこなせる患者さんはそう多くありません。そのため、提案する製品は絞り込み、まずは無理なく続けてもらうことを重視しています。

例えば歯間部のセルフケアの場合、どんな提案法やツールがあるのでしょう

セルフケアの中でも、歯間部の清掃は難易度が高く、デンタルフロスや歯間ブラシを正しく使用するには、相応の技術が必要です。誤った使い方によって歯や歯肉を傷つけてしまうこともあります。
口腔洗浄器「ソニッケアー コードレスパワーフロッサー3000」(以下:パワーフロッサー)は、シンプルな操作性でありながら、X型水流が4方向に広がり、歯間部の歯面に沿ってさまざまな角度から通り抜けることで、食物残渣やプラークを効果的に洗浄します。また、歯周ポケット内の清掃や血行促進も期待できます。歯間部の清掃に苦労している方や加齢などで手先の動きが鈍くなった方には、セルフケアの質を向上させるための有効なサポートになると考えています。

  • [写真] X型水流を使う様子
    X型水流がさまざまな角度から通り抜けることで、食渣やプラークを効果的に除去することができる。
  • [写真] 「パワーフロッサー」を舌側から当てている様子
    「パワーフロッサー」を舌側から当てている様子。ポケットへ直接噴射するというより頰舌側に平行に噴射していくのが当てる際のポイント。
  • [写真] チェアユニットのスピットンで患者さんが「パワーフロッサー」をお使いいただいている様子
    チェアユニットのスピットンで患者さんが「パワーフロッサー」をお使いいただいている様子。

現在、加藤先生は睡眠歯科に注目されていると伺いました

チェアサイドではわからない、すなわち“我々が直接見ることができない生活時間帯”の大きなものが睡眠時間帯です。そのため当院では睡眠障害に注力しています。成人閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の患者さんは国内で推定2,200万人との報告もあり1)、多くの有病者が未診断であるため、潜在的な患者さんが多い疾患だと言えます。

OSAにはどんな症状が見られ、歯科とどのような関連があるとお考えですか

[写真] 加藤 正治 先生 OSAは日中の過度な眠気に加え、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、認知症などの発症リスクを高めることが知られています。これらの疾患は歯周病とも密接に関連していて、OSAと歯周病は共通する全身疾患のリスク因子を多く抱えています。そのため、OSAの発見と対処は歯周病の予防にもつながります。
また、OSAのスクリーニングを行う機会が多いのが歯科医院です。例えば、歯列が狭かったり、骨隆起があったりすると、舌を置くスペースが狭まり、気道が閉塞しやすくなります。その結果、いびきや無呼吸を引き起こすリスクが高まります。歯科では患者さんを寝かせた状態で口の中を診るため、他科と比較しても普段の診療を通じて兆候を見つけやすい傾向があります。

OSAが疑われる場合、歯科としてどのような対処が必要になりますか

OSAが疑われる場合、保険診療では医科からの診断と口腔内装置(OA:Oral Appliance)の作製依頼が必要です。検査については、歯科では保険適用になりませんが、自宅で患者さん自身がセンサーを装着して行う睡眠評価装置があり、当院でも「ウォッチパット」を導入しています。検査の結果、軽度であればOAを用いた歯科的な治療を行い、中等症以上であれば専門クリニックでの精密検査(PSG)や睡眠時の気道を広げるCPAP療法を促すなど、「ウォッチパット」を導入することで数値に基づいた対応が可能になります。

OSAに対する歯科的なアプローチを踏まえ、今後歯科に求められる役割についてお聞かせください

歯科医院は医療機関の中でも予防のために定期的に通う場所であり、必要に応じて他科へとつなぐことも可能です。質の高いセルフケアのサポートやOSAの簡易検査を行うことは、全身疾患の予防にも寄与します。これらのアプローチは、患者さんの予防や健康をこれまで以上に支えるものです。
歯科医院は今後、チェアサイドで治療や予防を提供するだけではなく、地域の健康ステーションとしての機能を担うことが求められる時代になるのではないかと考えています。

  • [写真] ウォッチパット300
    高輪歯科では、OSAが疑われる患者さんのために睡眠評価装置「ウォッチパット300」を導入している。(歯科では保険適用外)
  • [写真] 患者さんに説明する様子
    センサからの信号をもとに、睡眠呼吸障害の診断に必要な情報が提供され、患者さんに説明を行う。
  • [写真] 物販の在庫
    高輪歯科では「セルフケアを処方する」という考えのもと、物販の流れと在庫が効率よく徹底管理されている。
参考文献
  • 1) Benjafield AV, et al : Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literaturebased analysis. Lancet Respir Med 7: 687-698, 2019.

フィリップスのスリープ&レスピラトリーケア事業部(睡眠&呼吸器の部門)から提携先の医院リストにも共有されるため、医科との連携もスムーズに行っています。

<「ウォッチパット」のお問い合わせ先>
フィリップスお客様コールセンター 
0120-48-4159

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