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Field Report

歯科診療の可能性を広げる 高画質の歯科用X線CT装置

埼玉県川口市 篠木歯科 院長 篠木 毅

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[写真] 院長 篠木毅
埼玉県川口市
篠木歯科
院長 篠木 毅

デジタルX線装置を導入してから20年近くが経ちます。導入当初は操作性や画質の面で少々難を感じることがありました。患者さんからも「診断画像を見せられても、よくわからない」と言われたことがありました。確かに、患者さんは歯科医師のような読影はできません。ましてや2次元の画像から歯根の状態などを具体的にイメージすることは困難でしょう。
その後のこの分野の進歩は目覚ましく、現在では歯科診療における新しい価値を提供する技術になりつつあると感じています。
当院で「Veraview X800」を導入してからは、ご自身の症状を十分に理解し、こちらの説明にも納得された状態で治療を受けてくださるようになったと感じています。
下記にCT画像による診断が患者さんとの信頼関係を築くうえで役に立った例を紹介します。
症例1は他院で5の根管治療を続けていたものの、思うような結果が得られず転院されてきた方です。デンタルX線では1根か2根かの確信が持てず、CT撮影を行いました。根管数、根尖病巣の位置や形状などを的確に診断するためには、やはりCT画像は有効でしょう。
症例286に自家歯牙移植することを希望されて来院した方です。前院で自家歯牙移植を勧められていたこともあり、患者さん本人もそれを強く望んでいました。しかし、CT画像で骨の大きさを提示したことにより、希望する施術が難しいことを納得していただきました。
症例3は蓄膿症の疑いから耳鼻科でCT撮影を行ったところ、上顎洞に曇りが見つかり、歯性上顎洞炎と診断されて来院された方です。関連した歯牙に対する根管治療を希望されていましたが、当院で該当部位をCT撮影すると、上顎洞が完全に交通していることがわかりました。根管治療を行うレベルではないと判断し、再度検討してもらうこととなりました。

[写真] 篠木歯科のスタッフ

これら3つの症例は、精度の高い画像によって、より的確な判断ができ、加えてその画像を患者さんに提示することで、診断内容をより納得していただいた事例だと言えます。
患者さんにとって「見た目」による理解は重要であり、歯科医師と患者さんとの信頼関係を築くうえでも役に立つということに改めて気づかされた症例でもありました。
また、この3つの症例はいささか特殊な例ではありますが、CT診断は歯科診療全般に応用が利くものと思っています。例えば、当院ではレーザー治療を行うことがありますが、これまでの環境では骨吸収の幅、広さ、深さを3次元的に、しかも鮮明に読み取ることが難しかったために、チップの選択に迷うことがありました。しかし、CT画像を用いることで、より的確なアプローチができるようになります。
以前は実現が難しかった鮮明で精密な画像を開業医でも手軽に手にすることができるようになった現在、CT画像を応用する範囲は今後も広がっていくものと思います。デジタルX線装置の技術の進歩に改めて驚くとともに、その可能性の大きさに期待を寄せています。

  • [写真] 症例1
    症例1-1
  • [写真] 矢状断面像
    症例1-2 5矢状断面像。2根管を確認。
  • [写真] 冠状断面像
    症例1-3 5冠状断面像。
  • [写真] 水平断面像
    症例1-4 5水平断面像。
  • [写真] 症例2
    症例2-1 86に移植を希望。
  • [写真] 冠状断面像
    症例2-2 8冠状断面像。8の頰側~口蓋側の歯冠幅径は約8.8mm、歯根部6.15mmが最大太さだった。
  • [写真] 水平断面像
    症例2-3 6水平断面像。6の頰側~舌側の骨幅は約6.8mm。近遠心的にも厳しいということを患者さんに説明。
  • [写真] 症例3
    症例3-1
  • [写真] 冠状断面像
    症例3-2 7冠状断面像。根管治療が不可能であることを患者さんに説明。
  • [写真] 矢状断面像
    症例3-3 7矢状断面像。紹介された病院口腔外科にて抜歯に変更になった。

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