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Case Report

高周波通電治療を活用した感染根管治療

大阪府大阪市 医療法人湧光会アスヒカル歯科 理事長/AAE(Specialist Member) 加藤 真悟

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キーワード:高周波治療/感染根管治療/治療回数の減少

目 次

根尖孔破壊などにより解剖学的根管 形態が喪失しており、根尖部に透過像 がある症例において、根管治療の成功 率は約40%程度と報告されている1)。 根管治療が成功した場合でも、歯冠歯 根比の悪化や残存歯質の少なさから、 長期予後が不良と考えられる症例で あっても、患者から可能な限りの保存 を求められる場合も少なくない。
そのような場合、私たち歯科医師 は、根管内細菌などの起炎物質を可能 な限り無効化や除去を試みる必要があ る。また、患者によっては可能な限り 少ない回数での治療を求められる場合 もある。根尖部からの出血に即日に対 応し、根管充填を行う必要がある場合 もある。それらの状況において高周波 治療は非常に有用である。

<症例1>

患者は35歳男性で主訴は咬合痛であった。自発痛(-)咬合痛(+)・打診痛(+)・根尖部腫脹(中等度)根尖圧痛(軽度)であり、デンタル及びCBCTでは根尖部透過像・著明な外部吸収及び根尖孔破壊・根管充填材・太いポストコア及び根管壁の菲薄化を認めた(症例1-1, 1-2)。
浸潤麻酔を行い、ラバーダム防湿下にてガッタパーチャ除去へ移行した。除去の手順を開始すると、直ちに多量の排膿を認めた(症例1-3)。根気よく吸引と洗浄を繰り返しながら、超音波チップを用いて根管壁から剥離し除去を行った。
マイクロスコープ下で観察すると根尖孔は非常に大きくなっており、肉芽様の軟組織が観察された。根管内バキュームチップにて排膿の吸引を徹底的に行ったが、軟組織からの出血が持続的に認められた。よって、「ルートZX3」高周波モジュール#25チップ電極にて軟組織の焼灼止血を行った(症例1-4)。
止血確認後、根尖孔が破壊されていたため、同日にMTAにて根管充填を行った(症例1-5)。
2週間後の来院では、全ての症状が消失していた。よって、支台築造を行い、テンポラリークラウンを装着した。
6か月間の経過観察を経て、CBCTにて根尖部透過像の著明な縮小を認め、最終補綴へ移行した(症例1-6)。

  • [写真] 初診時デンタルX線画像
    症例1-1 初診時デンタルX線画像
  • [写真] 初診時CBCT画像
    症例1-2 初診時CBCT画像( Veraviewepocs 3Dfにて撮影)
  • [写真] 多量の排膿
    症例1-3 多量の排膿
  • [写真] 高周波通電(HFC)にて焼灼して止血
    症例1-4 高周波通電(HFC)にて焼灼して止血
  • [写真] MTA根管充填症例
    症例1-5 MTA根管充填症例
  • [写真] 根管充填後6か月のCBCT画像
    1-6 根管充填後6か月のCBCT画像

<症例2>

62歳女性で、₅に咬合痛があり近医にてメタルクラウンとメタルポストコアを除去したが、痛みと違和感が継続しているとのことで来院した。自発痛(-)咬合痛(+)・打診痛(+)・根尖部腫脹(-)根尖圧痛(軽度)であり、デンタルでは根尖部透過像・根尖孔外に突き出た根管充填材を認めた(症例2-1)。CBCTにおいても根尖孔外に突き出した根管充填材を認めた(症例2-2)。
その後、浸潤麻酔を行い、超音波チップを用いて根管壁から剥離し、ポイントを一塊として除去を行った(症例2-3)。マイクロスコープ下で観察すると、根尖部の肉芽様軟組織からの持続的な出血を認めた。出血が継続している状態での根管充填はシーラーの硬化を阻害する可能性があるため、「ルートZX3」高周波モジュール#10チップ電極にて焼灼し止血を試みた(症例2-4)。
同日にバイオセラミックシーラーを用いて根管充填を行った(症例2-5)。2週間後の来院にて、症状の消失を認めたため支台築造を行い、テンポラリークラウンを装着し、3か月間経過観察とした。
従来であれば、根尖からの出血や排膿に対して、水酸化カルシウム製剤を貼薬して経過を観察した後に、根管充填を行うことが一般的である。しかしながら、高周波治療器を使用することで、その場で止血が可能となり、同日に根管充填が可能となることは治療回数の減少につながる。そのことは、患者の負担軽減になるだけでなく、歯科医院側としてもメリットがあると考える。

  • [写真] 初診時デンタルX線画像
    症例2-1 初診時デンタルX線画像
  • [写真] 初診時CBCT画像
    症例2-2 初診時CBCT画像
  • [写真] ガッタパーチャ除去
    症例2-3 ガッタパーチャ除去
  • [写真] HFCにて焼灼止血
    症例2-4 HFCにて焼灼止血
  • [写真] 根管充填後
    症例2-5 根管充填後
参考文献
  • 1) GORNI, F., & GAGLIANI, M. (2004). The Outcome of Endodontic Retreatment: A 2-yr Follow-up. Journal of Endodontics, 30(1), 1–4.

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