181号 SUMMER 目次を見る
キーワード:超親水性インプラント
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はじめに
インプラント治療を行う際に、長期的に良好な予後が期待できるインプラントシステムを選択することが重要とされることは周知のことである。
筆者はこれまで多くのインプラント治療を経験してきたが、SPIシステムインプラントは埋入後の安定性に定評があるインプラントシステムの1つとして高く評価している。
実際、当院では10年以上の採用実績があるが、これまで目立ったトラブルは経験していない。
そのSPIシステムインプラントより、親水性を再獲得できるインプラントフィクスチャーとして登場したのがイニセルインプラントである。
本国スイスでは以前より販売されていたが、ようやく日本においても一昨年から使用できるようになった。
本稿ではそのイニセルインプラントを用いた症例を紹介したい。
症例概要
初診:2019.12.5
患者:65歳男性
主訴:右側インプラント希望にて他院より紹介
治療計画:右側インプラント希望で来院されたが、その治療中₇ が歯根破折し、抜歯の説明を行ったところ、右側治療終了後左側インプラントを希望された。
左側治療開始時には、待望のイニセルインプラントが販売され、患者の希望もあり₇ 抜歯と同時に₅₆
相当部にそれぞれイニセルインプラントエレメントφ4.5mm×12.5mmとφ5.0mm×11mmの2本のインプラントを埋入し、ヴァリオマルチアバットメント連結を行い、アバットメントレベルのスクリューリテインのプロビジョナルを装着した。プロビジョナル装着後、6週間は咬合接触させず、また軟食を摂るよう指導し、くれぐれも硬いものはまだ噛まないように注意を促した。
6週間経過後、プロビジョナルにレジン添加し咬合させるよう調整し、さらに1ヵ月後に経過観察を行った後、最終上部構造の印象採得を行った。
アバットメントレベルの印象採得では、ベリフィケーションインデックスを採得し、SPIチタンベースアバットメントとCAD/CAMにより設計、ミリングされたフルカントゥアージルコニアフレームが正確にセメンティングできるように準備をする。
イニセルインプラントは咬合管理と患者指導をしっかり行っておけば、治癒期間3ヵ月を待たずに最終上部構造を装着することが可能であった。
-
図1 初診時のX線写真。右側インプラント希望にて他院より紹介された。 -
図2 通法通りインプラント埋入窩を形成し予定部位にフィクスチャ―を埋入していく。 -
図3 ₇抜歯と同時に₅₆相当部にそれぞれイニセルインプラントエレメントφ4.5mm×12.5mmとφ5.0mm×11mmの2本のインプラントを埋入した。 -
図4 あらかじめ作製したおいたプロビジョナル用レジンフレームは₄のクラウンと一緒に連結されており、位置決めの指標となる。ミキシングタイプのデュアルキュアレジンを用いてパーツで位置を確認後、口腔外で研磨調整を行った。 -
図5 バイトさせないように作製したスクリューリテインのプロビジョナルレストレーション。 -
図6 ベリフィケーションインデックスの状況。
図7 印象採得の状況。-
図8 完成したアバットメントレベルのフルジルコニアスクリューリテインによる上部構造。 -
図9 治療終了から一年後のパノラマX線写真。
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