195号 WINTER 目次を見る
目 次
- ≫ 野田さんが歯科業界に関心を持たれた理由をお聞かせください
- ≫ それでラボを設立されたわけですね
- ≫ 長縄先生は訪問診療や遠隔診療、山崎先生といえばデジタルデンチャーに注力されていますね
- ≫ デジタルデンチャーを初めて体感されて、いかがでしたか
- ≫ 吉田さんはデジタルデンチャーの経験をお持ちだったのでしょうか
- ≫ デジタルデンチャーを成功に導くポイントは何でしょう
- ≫ “医療MaaS”とはどのように繋がっていったのでしょう
- ≫ 今後の展望をお聞かせください
- ≫ 長縄拓哉先生からひとこと
大阪府堺市 オーガイホールディングス株式会社
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![[写真] 代表取締役社長 野田 真一](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/12/195-17_staff01.jpg)
代表取締役社長
野田 真一 -
![[写真] 歯科技工士 吉田 泰之](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/12/195-17_staff02.jpg)
歯科技工士
吉田 泰之
本誌では、対談記事や訪問診療の取り組み等で、たびたび登場いただいている長縄拓哉先生。その長縄先生を技術面・ソフト面でサポートする野田真一さんと、長年義歯製作に携わって来られた歯科技工士の吉田泰之さんに、デジタルデンチャーの取り組みや今後の展開などについて、お話を伺いました。
野田さんが歯科業界に関心を持たれた理由をお聞かせください
野田 父が歯科技工士だった影響で、私も歯科技工士を目指していました。実は学校ではかなり優秀な方で(笑)、将来“できる歯科技工士”になるため勉学に励んでいましたが、ある時アルバイト先の歯科技工所(ラボ)の社長から「この業界は技術がいくらあっても報われない。君は優秀なのだから、違う道に進んだ方がいい」と、衝撃のアドバイスをもらったんです。その方は、歯科技工の腕も高く素晴らしい人格者でもあったので、その助言を素直に聞き入れ、2年生になる前に退学しました。
その後、起業してシステム開発やクラウド事業に携わり、ある程度軌道にも乗ってきました。ただ、私の中では、道半ばだった歯科技工に加えて、訪問看護という分野にも強い関心を持っていました。それは、十分な看護を受けられずに亡くなった祖母への想いが影響しています。そして「歯科技工と訪問看護に貢献していきたい」という気持ちが日増しに強くなっていったのです。
それでラボを設立されたわけですね
野田 私が構想した歯科技工のビジネスモデルが国の認定を得られて、「神様が“やってみろ”と後押ししてくれている」と感じました。その時期に共通の知人を通じて、長縄拓哉先生と知り合いました。長縄先生は、当時すでに訪問診療や遠隔診療に精力的に取り組まれていて、私の考えにも賛同してくださり、すぐに意気投合しました(笑)。さらに、富山で開業されている山崎史晃先生にも、この頃初めてお会いしています。
長縄先生は訪問診療や遠隔診療、山崎先生といえばデジタルデンチャーに注力されていますね
野田 そうなんです。ラボ開設にあたって、ITを活用した仕組みはある程度イメージできていましたが、特にデジタルデンチャーは当時全く知識がなかったので、富山まで伺い山崎先生からレクチャーを受けることにしました。
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![[写真] デジタルデンチャー製作に必要な器材と長縄先生作の絵](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/12/195-17_photo01.jpg)
ラボ内にはデジタルデンチャー製作に必要な器材が並ぶ。壁には長縄先生作の絵も見える。 -
![[写真] 歯科用CAD装置「カタナシステム」を使って義歯のデザインを行う](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/12/195-17_photo02.jpg)
歯科用CAD装置「カタナシステム」を使って義歯のデザインを行う。 -
![[写真] 3Dプリンターで試適用の義歯をプリントしたところ](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/12/195-17_photo03.jpg)
3Dプリンターで試適用の義歯をプリントしたところ。
デジタルデンチャーを初めて体感されて、いかがでしたか
野田 「コレや!」って直感しました。山崎先生のレクチャーを聞いたのは、ラボ開設の半年ほど前でしたが、それからデジタルデンチャー路線に振り切りました。導入する器械類も山崎先生のアドバイスをもとに揃えていきました。ラボの場所も決まり、器材も決まっていく中で、唯一決まっていなかったのが「人」でした。そこで以前通っていた歯科技工士学校の先生に相談して、吉田泰之さんを紹介してもらいました。吉田さんはその学校で非常勤講師をされながら個人でラボも経営されていましたが、私のオファーを快く受けてくださり、現在の体制が整いました。
吉田さんはデジタルデンチャーの経験をお持ちだったのでしょうか
吉田 全く未経験でしたが、野田さんにお会いした瞬間に、「この人と仕事することになるな」という予感がしました(笑)。最初は右も左もわからない状態で、CADソフトを触り始めました。その当時は周りにわかる人が全然いなくて、メーカーに聞いても「デンチャーはわかりません。エラーが起きたら逆に教えてください」という感じでしたね。そこで私も山崎先生が主宰されているスタディグループなどで勉強しながら、ひたすら触ることで徐々に覚えていったというのが正直なところです。
デジタルデンチャーを成功に導くポイントは何でしょう
吉田 「根気」の一言に尽きますね。デジタル機器はどうしても何かの拍子にエラーが出ることがありますから、そこで諦めてしまうと先に進めません。提携する歯科医院がギブアップされないように、常にいろんな解決策を提供できる引き出しの準備は怠らないようにしています。ただ、いつも先生方にはできるだけ精巧な印象を採っていただけるようお願いしています。印象の精度が高ければ、適合が格段に良くなることは、ほぼ間違いありませんので。
![[写真] キャンピングトレーラーを歯科医療MaaS仕様に仕上げた「O-Gai」](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/12/195-17_photo04.jpg)
キャンピングトレーラーを歯科医療MaaS仕様に仕上げた「O-Gai」。「O-Gai(オーガイ)」は社名と同じく、作家であり軍医でもあった森鴎外にちなんで命名された。
“医療MaaS”とはどのように繋がっていったのでしょう
野田 長縄先生とタッグを組む中で、「義歯製作と納品にかかるリードタイムをいかに短縮できるか」という課題に直面しました。印象はIOSで即座に採得できても、義歯を出力する3Dプリンターがラボにあると、(義歯の)輸送に時間を要してしまいます。そこで“医療MaaS”に着目し、長縄先生のご縁で、医療MaaSに造詣の深い木下水信先生と知遇を得ることができました。その後急ピッチで話が進み、今年初めの「移動型歯科クリニック」の出展へと繋がりました。現在は、牽引式のキャンピングトレーラーを購入し、現地でデジタルデンチャーが完結できる仕様へのカスタマイズも完了。全国各地で開催されるイベント等に出展し、実運用に向けた告知活動を行っているところです。
今後の展望をお聞かせください
吉田 私みたいな歯科技工士が増えてくれればいいなと思っています。今のところ長く続けることが難しい業界だと思いますから、途中で諦めずにずっと働けるような環境と、それに見合った魅力ある歯科技工士像を、今後は広めていきたいと思っています。
野田 デジタル化が進む一方で、その流れに取り残されたラボは淘汰されてしまいます。それを何とかして防ぎたいんです。具体的には、私たちが持つデジタル設備を時間貸しのようなスタイルで、設備が持てないラボさんに使っていただく。そうすれば設備投資が難しいラボさんでも、デジタル化の波に対応することができます。他には技工経験は浅いけどデジタルに強い若手と、デジタルは苦手でも高い技工技術を持つベテランさんがバディを組むビジネスモデルも検討中です。デジタルを活用すれば場所を問いませんから、可能性は無限に広がります。
長縄拓哉先生からひとこと
私は口腔外科出身で、実は義歯はあまり得意ではありません。ですから、これまで歯科技工士さん任せなところがありました。その歯科技工士さんが減り続ける現状は、ある意味私にとっても死活問題なのです。日々、訪問診療に取り組む中で、チャレンジしたいことはたくさんありますが、私一人の力では、何も成し遂げられません。野田さんや吉田さんの知識と技術が合わさることで、医療MaaSやデジタルデンチャーなどは、加速度的に歩みを進めています。今後も引き続きお二人の力を借りながら、活動の範囲を広げていきたいと考えています。
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![[写真] プリントされた試適用義歯のスプルーを根元から1本ずつカットしていく](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/12/195-17_photo05.jpg)
プリントされた試適用義歯のスプルーを根元から1本ずつカットしていく。 -
![[写真] 排列を確認しながら、歯肉形成を行う](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/12/195-17_photo06.jpg)
排列を確認しながら、歯肉形成を行う地道な作業。デジタルとはいえ、アナログの知識や技術は必要不可欠となる。 -
![[写真] 義歯製作](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/12/195-17_photo07.jpg)
「義歯製作には咬合理論と技工理論に加え、センスも大切な要素です」と吉田さんと野田さん。
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