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有機と無機の技術シナジー クラレノリタケデンタル、唯一無二の挑戦
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![[写真]](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/11/195-7_main01.jpg)
有機と無機の技術シナジー
クラレノリタケデンタル、唯一無二の挑戦
クラレノリタケデンタル株式会社(以下:クラレノリタケデンタル)は、有機材料技術に強みを持つ株式会社クラレ(以下:クラレ)の子会社・クラレメディカル株式会社と、無機材料を得意とするノリタケ株式会社(以下:ノリタケ)の子会社・株式会社ノリタケデンタルサプライが統合して生まれた歯科材料メーカーです。さまざまな製品群は、世界90以上の国と地域で評価され、臨床現場のニーズに即したものづくりを通して、より良い歯科医療の実現に挑戦しています。今号では、同社の生産拠点である新潟工場と三好工場の製品開発、生産管理、品質保証の担当者、そして東京科学大学名誉教授・田上順次先生にお話を伺い、それぞれの視点からクラレノリタケデンタルの製品群がなぜ多くの先生方から支持を受けているのか、その秘密を探ります。
![[写真] 石野 博重さんさん](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/11/195-7_staff01.jpg)
営業・マーケティング本部
情報マーケティンググループ
工学博士
石野 博重さん
営業・マーケティング本部
シナジーから生まれる次世代の技術
クラレノリタケデンタルは、クラレの有機化学技術とノリタケの無機化学技術という、異なる専門性を持つ2社の歯科部門が2012年に統合して生まれた企業です。クラレはレジンやモノマーなどの分子設計に強みを持ち、ノリタケは粉体の設計、焼成などセラミックスの製造ノウハウを長年蓄積してきました。現在、レジン系材料は新潟工場で、セラミックス系材料は三好工場で、それぞれの専門領域を生かした製品開発が行われています。
そうした技術シナジーの象徴ともいえるのが、「カタナアベンシア」シリーズでした。コンポジットレジンを超微粒子フィラーからブロック化する際、強度を上げるためにはフィラーを高密度に配合する必要があるものの、成形性に課題があるなど、開発には困難を極めました。しかし、両者の技術者が交流を重ねる中で、ノリタケの粉体成形技術とクラレの微粒子設計とを融合することで、滑沢耐久性と機械的特性を両立した製品の実現へとつながりました。製品化にあたっては、両者の技術者が一つの拠点に滞在し、まさに“ワンチーム”で挑んだプロジェクトでした。このプロジェクトを通じて、企業文化の違いを互いに理解し合いながら、双方の技術を尊重する姿勢が自然と根付き、協働の風土が力強く育まれていったと実感しています。
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![[写真] カタナ® アベンシア® Pブロック](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/11/195-7_photo01.jpg)
「カタナ® アベンシア® Pブロック」 -
![[写真] クリアフィル® マジェスティ® ESフロー Universal](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/11/195-7_photo02.jpg)
「クリアフィル® マジェスティ® ESフロー」Universal
製品開発において当社が重視しているのは、「新しい治療方法につながるか」「術者のストレスを軽減できるか」という視点です。当社が展開するユニバーサル用途の製品群では、例えば「クリアフィル マジェスティ ES フロー」Universalは、1色で多様な症例に対応できる色調再現性を備え、色調選びの手間を省きながら自然な仕上がりを可能にします。さらに、「ノリタケ カタナ ジルコニア」の短時間焼成は、患者さんの通院回数を減らすような治療スタイルへの対応や、院内ラボ、歯科技工士の負担軽減につながっています。
歯科材料のトレンドが絶えず変化する中にあっても、私たちが変わらず大切にしているのは、「徹底した臨床現場目線」です。国内外の歯科医療従事者からの声に真摯に耳を傾けながら、確かな技術力と品質への拘り、ものづくりへの情熱を原動力に、これからも世界中の歯科医療を支える製品を届けてまいります。
新潟工場(新潟県胎内市)
接着材やレジン系材料の生産拠点として、有機化学の技術力を活かし、微粒子設計から製品化までを一貫して手がける。
![[写真] 杉浦 麻梨子さん](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/11/195-7_staff02.jpg)
技術本部
新潟開発部 1グループ
杉浦 麻梨子さん
新潟工場・製品開発
現場に寄り添い妥協のない製品づくりを
1ステップ型のボンディング材「クリアフィル ユニバーサルボンド Quick 2」の開発に当たっては、操作性とボンド層の質を向上するというテーマがありました。本製品は低粘度であり、塗布性が非常に良好です。新技術の採用により、ボンド層は薄膜でありながら高強度を有し、安定した接着が実現しました。それに加え、室温保存も可能となりました。フィラーを含有するボンディング材では、特に液性状を室温保存下で安定化することは難しく、組成と製造工程の両面で工夫を重ねました。
開閉しやすいキャップ構造も高い評価をいただいています。コンピュータを用いたCAE(Computer-Aided Engineering)解析によって、開閉の耐久性と操作感のバランスの最適化を図り、開閉音や手指に伝わる振動の快適さに注力しました。先生方から「キャップの開閉音が気持ちよくてクセになる」「操作時に強度を感じ、しっかりとした感触がある」などのお言葉をいただきました。
![[写真] キャップ](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/11/195-7_photo03.jpg)
CAE解析によるシミュレーションでキャップの構造にもこだわる。
一方、レジンセメント「パナビア V5」は、プライマーとペーストに含まれる成分が、接着面で化学反応を起こし、高い接着性を発揮させる設計になっています。反応が速すぎると操作時間が短くなるため、開始剤や促進剤の種類、濃度を調整し、操作性と性能の最適なバランスを探りました。その結果、操作性も担保しながら、象牙質への接着力も当社従来品比で約3倍に向上させることができました。
また、セルフアドヒーシブセメントである「SA ルーティング Multi」では、CAD/CAMレジン冠やシリカ系セラミックスにプライマーなしで接着できるようにするため、シランカップリング剤をペーストに配合しました。接着性と保存安定性向上が課題でしたが、数百種類にのぼる試作品の試験を繰り返し、製品組成に辿り着きました。
![[写真] 中屋敷 崇さん](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/11/195-7_staff03.jpg)
技術本部
新潟生産部 生産課
中屋敷 崇さん
新潟工場・生産管理
臨床現場を品質で支える仕事
新潟工場は、製品ごとに最適化された専用設備を揃え、効率的かつ安定した生産体制を整えた生産拠点です。お客様に対して、私たち生産部が最も大切にしているのは品質です。製品やプロセスによって、自動化する工程と人の手で作業する工程を使い分け、クオリティの高い製品を効率的に生産することを目指しています。また、クリーンな製造環境を維持するためのエアロック式二重扉や、生産工程中の光重合を避けるためのイエローライト照明、室内に入る前にはエアシャワーで異物を除去する仕組みを設けるなど、見えないリスクを排除する体制も整えています。
![[写真] 製造現場に入室する際の様子](/academic/dentalmagazine/wp-content/uploads/sites/2/2025/11/195-7_photo04.jpg)
製造現場に入室する際は、全身を覆う無塵服を着用し、身体に付着したホコリやチリ、毛髪などを徹底して取り除く。
品質を左右する大きな要因のひとつに、材料や製品に気泡が混入しないようにすることが挙げられます。特に「パナビア」シリーズのような2ペースト型のセメントでは、主剤と硬化剤の反応バランスが重要になります。わずかな気泡混入や混合比のズレが硬化不良の原因となるため、混合、充填の各段階から気泡対策を徹底しています。
また、製造工程における微細な変化を事前に察知する「予兆管理」にも注力。原料や設備の挙動をモニタリングし、安定供給と品質の維持につなげています。
「クリアフィル」や「パナビア」のような接着製品は、その特性上、操作性や物性のばらつきが臨床に大きな影響を与えかねません。だからこそ、構成成分を厳格に管理し、どのロットでも常に同じ品質が得られるように努めています。
こうした地道な努力が実を結び、展示会などで先生方から高い評価をいただけたときはとても励みになります。製造に携わるすべてのメンバーが、それぞれの持ち場で責任をもって仕事に取り組んでいるからこそ、今の品質が保てていると考えています。
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