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Clinical Hint

メカニカルセルフケアの活用~高齢者にも適用可能なソニッケアーキッズの有用性~

有限会社ハグクリエイション代表取締役社長 口腔科学修士 柏井 伸子

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キーワード:ソニッケアーキッズの高齢者への適用/継続的なセルフケア

目 次

1. はじめに

令和4年版の高齢社会白書では65歳を基準として判断する高齢化率が総人口の28.9%となり1)、依然として少子高齢化が進行しています。
平成28年国民生活基礎調査によると、日本人の通院率第3位が「歯の病気」となっていますが2)、同年の歯科疾患実態調査によると、う蝕は「過去の調査と比較すると、5歳以上35歳未満では減少傾向を示していたが、65歳以上では増加傾向にあった」とされ、「歯肉出血を有する者の割合は、15歳以上の年齢階級で30%を超え、30歳以上55歳未満で40%を超える」とされています3)

2. 小児への対応 

① 歯磨きの習慣化
前述の生成28年歯科疾患実態調査では、1~14歳へのフッ素の応用についてもデータが示されており、「フッ化物塗布の経験のある者は62.5%、フッ化物洗口の経験のある者は13.4%、フッ化物配合歯磨剤使用の経験のある者は62.3%であった」としています。
「フッ化物歯面塗布法は歯科衛生士が行うことのできる専門的なう蝕予防処置」とされています4)
しかし最初から抵抗なくフッ素塗布を受けられない患児もおり、その際には家族と協力してソニッケアーキッズと歯面塗布で用いるフッ化物と同じような形状や色の歯磨剤を使用したホームケアを指導します。家庭で慣れた同じブラシを使用し歯磨剤をフッ化物に置き換えることで、強い拒否感を抑えることができます(図1~4)。
最初は防湿することが難しくても、この方法を数回体験することで少しずつ協力できるようになります。
② 乳歯および萌出はじめの永久歯への配慮
乳歯や萌出はじめの永久歯が混在する状態では、歯や歯列が複雑になりそれぞれの特徴を把握した指導が必要となり5)、毛先が歯冠表面を包み込むようにブラシをあてるように伝えます(図5)。例えば、下顎乳臼歯や第一大臼歯に対しては、替ブラシの毛先と歯面の間に隙間が無いように確認し(図6)、また強くあて過ぎて毛先が反ってしまわないように注意します(図7)。
③ 家庭での注意点
歯科の2大疾患であるう蝕も歯周病も病原細菌による感染症であり、できる限り大人が使用しているものと接触しないように注意し、替ブラシ用のスタンドや容器を使用して乾燥させておきます(図8)。

  • [写真] セルフケアの第一歩
    図1 セルフケアの第一歩
    プロケアと同じ乳白色のペースト状での歯磨剤を用いて、歯磨きに慣れていく。
    • [写真] まずは手に取り、振動に慣れるようにする
      図2 フッ素塗布のための準備(第1段階)
      まずは手に取り、振動に慣れるようにする。
    • [写真] それまでと同じ歯磨剤を使用して歯磨きする
      図3 フッ素塗布のための準備(第2段階)
      それまでと同じ歯磨剤を使用して歯磨きする。
    ※図2、3は、本人および家族の同意を得て供覧。
  • [写真] ソニッケアーキッズ
    図4 プロケアの初体験
    家庭で使用しているソニッケアーキッズを用いてプロケアを行う。
  • [写真] 毛先全体が歯冠表面を包み込むように軽くあてる
    図5 替ブラシのあて方 良い例
    毛先全体が歯冠表面を包み込むように軽くあてる。
  • [写真] あてる角度が不適切で隙間が生じている
    図6 替ブラシのあて方 悪い例①
    あてる角度が不適切で隙間が生じている。
  • [写真] ブラシを圧接しすぎており、毛先が反ってしまっている
    図7 替ブラシのあて方 悪い例②
    ブラシを圧接しすぎており、毛先が反ってしまっている。
  • [写真] 本体は充電器に装着し、替ブラシは乾燥しやすいように立てて保管する
    図8 替ブラシの保管
    本体は充電器に装着し、替ブラシは乾燥しやすいように立てて保管する。

3. ソニッケアーキッズの高齢者への活用とその有用性

ソニッケアーキッズは、小児向けに開発されてきたので、本体の持ちやすさやスイッチの押しやすさが工夫されています(図9)。
この点を考慮し、歯冠豊隆の大きなインプラント補綴部位や高齢者にも指導しています(図10、11)。
また、在宅でのプロケアでも短時間で確実に口腔清掃ができますが、振戦などの不随意運動が懸念される際には、突然の姿勢変化や閉口などに対して手磨き同様に注意が必要です。
今後も少子高齢化が進む傾向が懸念されており、継続的なセルフケアや快適なプロケアによる予防の重要性が増していきます。
患者さんたちが摂食嚥下の入口になる口腔内を清潔に保ち、適切な栄養摂取をすることで健康に過ごせるよう、歯科関係者として取り組んでいきましょう。

  • [写真] 本体のデザイン
    図9 本体のデザイン
    滑り止めや盛り上がっているスイッチで使いやすい。
  • [写真] インプラント補綴部位への適用
    図10 インプラント補綴部位への適用
    豊隆が大きい補綴部位のマージン部にも毛先をあてることができる。
  • [写真] 高齢者のセルフケア
    図11 高齢者のセルフケア
    本体の裏にスリップ防止の溝がついており、グリップしやすい。
参考文献

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