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「Veraview X800」はついに第二世代へ。高解像度CT撮影へのあくなき追求 進化を遂げた「Veraview X800+」の実力

「Veraview X800」はついに第二世代へ。高解像度CT撮影へのあくなき追求 進化を遂げた「Veraview X800+」の実力

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「Veraview X800」はついに第二世代へ。高解像度CT撮影へのあくなき追求進化を遂げた「Veraview X800+」の実力 新井 嘉則×桐村 晋×杉原 義人×松下 翔×田中 遼平
CT専用機に匹敵する高画質に加え、独創的な機能とデザイン性を備えた「ベラビュー X800」。その発売からおよそ9年 の時を経て、様々な改良を加え、長年ご使用いただくための拡張性を持たせた「ベラビュー X800+」がこのたび上市されました。開発にあたり、「ベラビュー X800」を凌ぐ製品を生み出すために、どのような試行錯誤や創意工夫がなされたのか。製品評価に携わられた新井嘉則先生をはじめ、株式会社モリタ製作所の開発メンバーの方々に伺いました。

「ベラビュー X800+」の開発経緯

日本大学歯学部 歯科放射線学講座 研究特命教授 新井 嘉則 新井 「ベラビュー X800」(以下:「X800」)は、CTとパノラマの複合機でありながら、ともに専用機のように撮影できる斬新な製品でした。しかし、モリタのフラッグシップモデルであるCT専用機「3DX」には、まだ一歩及ばない部分があり、その克服のために開発されたのが、このたび上市された「ベラビューX800+」(以下:「X800+」)と言えるでしょう。
杉原 「X800」をお使いの先生方からのお声を製品化のヒントにさせていただいています。例えば、「X800+」に新たに搭載された「Endoモード」は、従来の「ハイレゾリューションモード」を超える高画質を求める先生方からのご意見を可能な限り反映させた機能となっています。
新井 解像度を上げるとノイズも上昇してしまいますが、「X800+」では、解像力を上げる一方で、ノイズをいかに抑えるかに果敢にチャレンジした結果が実を結びましたね。

局所から顎顔面領域までFOVを拡張

杉原 「X800+」では、3つのFOV(Field of View)が新たに搭載されました(図1)。φ30×30mmは、撮影領域を可能な限り小さくし、高解像度かつ低線量で1本の歯にフォーカスします。一方、φ60×60mmは、例えば2, 3本など複数歯を撮影する際に有効です。さらに、φ170mmは「3DX」をお使いの先生方から、「(3DXと)同じサイズの画像で見たい」というご要望にお応えしています。FOVに変更を加えるために新しいフラットパネルを採用する必要がありましたが、これは単なる部品の載せ替えではなく、ハード・ソフト面で、様々な改善を伴う再調整を行っていく難度の高い作業となりました。
桐村 フラットパネルが変わることによるあらゆる影響を想定するために、膨大な量の画像評価を行いました。例えば、画像がザラつく原因を調べると、実は感度が良すぎて製品の他の部分から出ているノイズを拾っていた、というような想定外のトラブルもありました。
杉原 最終画像に至るまでにはいろいろなタイプのノイズがあって、それがフラットパネルの問題なのか、回転制御系やX線発生回路の問題なのかを徹底的に検証していきました。その結果、従来製品を凌ぐ画像性能を実現することができました。
田中 ノイズの原因を1つひとつ潰していく過程では、私たちソフトウェア担当者も、自らソフトウェア開発のための試作機を作ったりしながら検証を進めていきました。その評価を始めたのは2020年頃でしたから、製品化までに足掛け4,5年ほどかかっていると思います。
松下 FOVの拡大に伴ってフラットパネルも大きくなりましたが、装置の外装形状は変えない方針でしたので、大型化したパネルをいかに従来の形状内に収めるかに関して、機械担当として頭を悩ませました。
新井 そうした様々な創意工夫によって、FOV のラインアップが全て揃いました。「X800+」では、多彩な撮影領域の中から、開業時に最低限必要なFOVのモデルを選ぶことができます。そして、長く臨床を行っていく中で、さらに大きなFOVが必要になった時に、手軽にバージョンアップできるところが、この製品の最大の利点だと感じています。

株式会社モリタ製作所 次長 桐村 晋 主査 杉原 義人 主任 松下 翔 主任 田中 遼平株式会社モリタ製作所 次長 桐村 晋 主査 杉原 義人 主任 松下 翔 主任 田中 遼平

根管の状態をより鮮明に写し出す「Endoモード」

桐村 「X800」には「スタンダードモード」と「ハイレゾリューションモード」という2つの撮影モードが搭載されていました。高い空間分解能と低い画像ノイズは、常に相反するものですが、「スタンダードモード」はそれらのバランスが最も良くなる条件で撮影することができます。一方、「ハイレゾリューションモード」は、ノイズをある程度犠牲にして、高空間分解能に特化したモードです。「X800+」で新たに搭載された「Endoモード」は、根管治療を行う先生方から、高空間分解能でありながら、さらにノイズも低く抑えた小領域撮影を求めるお声をいただき、それを反映させた機能となっています(図2)。
杉原 「3DX」にもデンタルサイズに近づけたφ40×40mmという小照射野の設定があります。今回はそこに立ち戻って、根管治療に必要なサイズをどこまで絞れば良いかというテーマになりました。スカウト機能によりφ30×30mmの小領域でも位置づけが可能であることがわかりました。新搭載の「Endoモード」では、物理フィルタを変更して、根尖組織周辺の描出能向上を図っていますが、φ30x30mmを利用することで、被ばく線量の増加を抑えることができます。導入いただいた先生からは、根管治療だけでなく、経過観察の過程で、部位をできるだけ絞って見たいときに“「Endoモード」はとても重宝する”という評価をいただいています。
新井 φ30×30mmという小照射野になって、X線の照射量はほぼ半減されています。経過観察や根管治療の際には何度かCT撮影が必要なケースがありますが、治療内容によっては1歯だけを狙えば良いので、そうした使い分けができることは、臨床家にとって大きなメリットになると感じています。

  • [図] 「X800+」で拡張されたFOV(撮影領域)
    図1 「X800+」で拡張されたFOV(撮影領域)
  • [写真] Endoモード
    図2 「Endoモード」では、線質を変化させて、軟組織に近い根尖部周辺のコントラスト表現を向上させている。

高解像度を維持しノイズを低減「ノイズリダクションモード」

杉原 先述したように、フラットパネルの開発時点からあらゆるノイズを低減した上で最適化を行っています。「X800+」に搭載された「ノイズリダクションモード」(以下:「NRモード」)は、これまでのノイズ処理とは全く別の部分で行われていて、その詳細は独自ノウハウのため、この場でお話できないのが残念です(図3)。
田中 解像度をできるだけ下げないでノイズを減らす処理において、計算に非常に時間を要します。開発当初はその処理に数十分必要でしたが、検証と改良を重ね高速化を実現できたことで、現状では最大サイズでも1分を切るところまで短縮できました。その過程で、複雑な処理を適切に行うパラメーターを大量に決めていく必要がありました。最適なアルゴリズムを検討し、様々な改良を加えた新たな機能として、「ノイズリダクションモード」が「X800+」には搭載されています。
新井 高解像度を目指すとノイズが増えてしまう矛盾を、独自の発想と技術で払拭できたことによる臨床的な意義はとても高いと思います。「NRモード」を使用すると、被ばく線量はかなり抑えられるのではないでしょうか。
杉原 おそらく1/2以上は抑えられると思います。近年、第二次性徴期にあたる方の場合、線量を通常より下げることを推奨するガイドラインが示されましたが、まさにそうしたケースに効果を発揮するのではないでしょうか。
新井 φ170mmを撮影する際でも線量は抑えられていますよね。
桐村 はい。これまでモリタでは一貫して低線量を謳ってきたのに、FOVを拡大しX線を多く照射することは、その基本コンセプトに反してしまいます。そこで私たちは、大きなFOVでも低い線量設定で撮影できることを追求しました。それは単に大領域における低線量撮影だけでなく、小領域の高分解能撮影においても増加しがちな画像ノイズを大幅に抑える効果があり、細部の表現力を保ったまま、全体的にもクリアな画像を提供します。これは画像生成に関わる多くのパラメータを、撮影条件に合わせて調整する独自のノウハウでもあります。
杉原 新たに「X800+」を上市するにあたり、“モリタとしての製品コンセプトをどこまで守れるか”が大きな課題でした。最大領域のφ170mmでは、「NRモード」によって線量が下げられて、「Endoモード」では、可能な限りFOVを絞って、従来と変わらない線量で撮影できる。それが最後まで製品の開発コンセプトの軸としてブレなかったことに非常に達成感を覚えています。
桐村 新しい製品を上市した際に、「前の画像の方が良かった」というご意見を耳にすることがあります。これは単に物理的な画質性能だけを追求していると、「診断に適した画作りが維持できているか」という重要なポイントを見失う場合があるということです。ですから、私たちとしては、あえて「X800」と同等の画像を追求したうえで、プラスアルファを提供する機能として「NRモード」を位置付けていますので、お好みに合わせて「NRモード」のON・OFFを切り替えることができるように設計しました。
新井 臨床ではONで使用されることが多いと思いますが、「X800」をご使用だった先生が、同じ画像を求めてOFFで使用されることがあるかもしれませんね。

  • [写真] ノイズリダクションモード
    図3 「ノイズリダクションモード」は、線量を抑えながら高解像度の画質を追求した結果生まれた機能。
  • [写真] X800+のピラー
    図4 「X800+」は、ピラー(支柱)部分の外装色を従来のシルバーから「ソルトホワイト」に変更した。

新色「ソルトホワイト」を外装色に採用

松下 「X800+」と「X800」は、見た目はほぼ同じですが、ピラー(支柱)部分の塗装色がシルバーからホワイトに変更されています。「X800」のシルバーは、「ソアリックシルバー」と呼ばれ、モリタの上位機種に採用されるカラーです。「X800+」でも、そのシルバーを継続する方針でしたが、一部から、「X800+」の存在と価値をアピールできるような高級感のある新色を求める声が上がりました。そこで、様々な色が検討され、最終的に「ホワイト」系の新色が採用されることになりました。マットな高級感を出すために、ツヤ感を落としながら透明なガラスパウダーをクリア塗料に配合することで、独特の質感を出しています。その輝きは、「SALT(塩)」の持つ、神聖で清潔なイメージと生命活動に欠かせない存在感を感じさせることから、この特別な色を「ソルトホワイト」と命名しました。「ソルトホワイト」を社内で塗装するにあたって、ツヤ感やシボ感をどれだけ落とすのか、あるいはガラスの量をどの程度配合するのかについて、繰り返し調整を行い、塗装テストを重ねた結果、ようやく満足のいく仕上がりに到達しました(図4)。
杉原 その様子は他部門の私から見てかなり大変そうでしたが、色が決まるまで何本の試作品を作ったのでしょう。
松下 約40回もの試行錯誤を繰り返した結果、製品化にこぎつけることができました。不安はありましたが、最終的な完成品を見て、「今までの努力がようやく実った」という達成感を感じました。
新井 おそらく海外の先生がご覧になれば、「さすが“Made in Kyoto”だ」と賞賛される誇れる色だと思います。
松下 先生方に「ソルトホワイト」の良さが伝わるでしょうか。
新井 かなり伝わると思いますよ。私たち歯科医師は毎日歯の色を見ているので、「白さ」には非常に敏感です。一流と言われる先生方ほど、その違いを理解してくださるのではないでしょうか。
桐村 たしかに歯科の先生は「白を見るスペシャリスト」だと思います。
新井 私たちは、普段人の顔よりも先に歯を見てしまいます。一種の職業病かもしれませんね(笑)。

先生方へのメッセージ

桐村 「X800+」には「X800」や「3DX」で長年培ってきたノウハウが詰め込まれています。機能や性能に対して何一つ妥協していませんから、先生方に自信を持ってご提供できる製品と自負しています。初めて歯科用CTを導入いただく先生からベテランの先生まで、快適にお使いいただける製品に仕上がったと思います。
松下 比較的お求めいただきやすい価格帯からのラインアップが追加されましたから、様々な先生方の希望に添うタイプが必ずあるはずです。ご自身の臨床にマッチしたタイプを選んでいただきたいですね。
田中 従来よりもノイズが低減され、ボリュームレンダリングの画質も向上していますので、より鮮明になった「X800+」の画質が診断のお役に立てれば嬉しいです。さらに、細かな部分で「X800」から改良されている点もありますので、より使いやすい製品に生まれ変わったと自信をもって言えます。
杉原 「X800+」では、1つの製品展開の中でグレードアップが可能になりました。そのため、新規開業の際はコストを抑えて使用頻度の高い小さなFOVから導入いただいて、診療の広がりに応じてセファロ機能や大きなFOVを順次追加していくことが可能になっています。
新井 昨今話題のAI機能もより進化を遂げ、X線装置にも今後組み込まれていくでしょう。ただ、そのベースとして高画質な画像を提供できることが大前提です。「X800+」はその前提を大きくクリアした機種と言えるでしょう。さらに、「X800」の第2世代として、部品の共通化などでも大変な企業努力があったと伺っています。鳥取工場の製造体制の効果もあり、より信頼性の増した製品を高いコストパフォーマンスで供給できていると感じます。今後10年20年と末長く使っていただく、かつ今後の医療の進歩にしっかりと追従できる体制を備えているという意味で、タイムレスに活躍できる装置になるのではないかと感じています。

  • [写真] 「ソルトホワイト」について新井先生に解説する松下さん
    「ソルトホワイト」について新井先生に解説する松下さん。ガラスパウダーの反射光が複雑に組み合わさることで、上質で表情に富んだ塗装面が表現されている。
  • [写真] 撮影した画像を検証する桐村さんと田中さん
    撮影した画像を検証する桐村さんと田中さん。ノイズを低減させるために必要なソフトウェア開発には、4, 5年の歳月を要した。
  • [写真] 文献に目を通す杉原さん
    文献に目を通す杉原さん。「X800+」に限らず新製品の開発にあたっては、様々な文献や法律関係の文献をチェックしておく必要がある。

デンタルマガジンで載せられなかった白熱した座談会の模様は『DENTAL PLAZA』に掲載しています。
ぜひそちらもご覧ください。

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